保守的な会社見通しから「再上方修正」の期待も追い風に
・東洋刃物(5964)
情報産業用刃物を主力に産業機械・部品なども手掛ける刃物専業としては大手の設備投資関連の同社。
11月30日に発表された15年3月期9月中間期は、情報産業用刃物の持ち直しや、鉄鋼用刃物、産業用機械・部品の好調が牽引し、売上高25億4000万円と前年同期比8.6%増、営業利益は1億8300万円と前年同期の「1900万円赤字から黒字転換」での通過となった。
緑化造園事業の方でも、東日本大震災の復興工事の連動する形で好調に推移しており、15年3月期9月中間期に売上高2億3900万円(前年同期比11.8%増)と2ケタ増で推移しており、今後も良好な展開が期待できる。
注目しておきたいポイントは「10月31日に発表された上方修正内容」だろう。
15年3月期計画は、売上高50億1000万円(前期比5.3%増)、営業利益2億4500万円(前期は5900万円の赤字)と増収の黒字転換の見通しに変更しているが、9月中間期までの営業利益は1億8300万円と、進捗率を勘案すれば再上方修正の可能性は「非常に高い」といえよう。
また、同社は13年3月期、14年3月期と2期連続赤字を計上しており、長期借入金残高の水準が高い事から、継続前提の「疑義注記」が付いている。
これに対し、会社側では「高精度精密製品など付加価値製品の売り上げ拡大・原価削減・人件費など固定費削減」を行い収益性の向上を図っている他、取引金融機関との長期借入金の変更契約を締結し、今年の7月以降の「返済条件の緩和」などの対策を推進している。
その結果、9月中間段階での黒字計上が15年3月期黒字見通しとなっている事を考えれば、解消後に「ストップ高」となるケースが良く見られる「疑義解消」が視野に入る展開も十分あるだろう。
週足では三角保ち合い形成から上放れのタイミングを迎えている。「突飛高」が続出している東証2部銘柄のなかでも「変化率妙味」のある銘柄として、今後の動向に注目してみたい。
本村