■要約
ココナラ<4176>は2012年の設立で、個人の知識・スキルをオンラインで売買するマッチング型プラットフォーム「ココナラ」のサービスを提供している。当初は「占い」を中心とした相談・プライベート系が中心であったが、ここ2~3年はフリーランスや副業需要を取り込みながら制作・ビジネス系カテゴリ(デザイン、Webサイト制作等)が大きく成長、CtoCのマッチング型プラットフォームとして圧倒的なポジションを確立している。流通額の25%※を同社が手数料として受け取り、これが営業収益となる。登録会員数は2022年2月末で279万人。2021年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に上場し、2022年4月に東証グロース市場に移行した。
※従来は出品者から25%程度を徴収していたが、2021年4月12日から出品者20%、購入者5%の手数料に変更した。なお、電話相談サービスに関しては手数料率が50%となっている。
1. 2022年8月期第2四半期累計業績の概要
2022年8月期第2四半期累計(2021年9月~2022年2月)の連結業績は、営業収益で前年同期比43.0%増※1の1,787百万円、営業損失で448百万円(前年同期は127百万円の利益)となった。「ココナラ」の流通高は制作・ビジネス系を中心に同35.3%増の5,950百万円と想定レンジの上限に近い水準で推移し、営業収益は同38.9%増の1,615百万円となった。KPIとしている購入UU数※2は第2四半期で前年同期比22.1%増、1人当たり購入額※3は同10.7%増と好調を持続しており、ココナラ経済圏が着実に拡大していることが窺える。利益面では、テレビコマーシャル(以下、TVCM)を中心に広告宣伝費が前年同期比750百万円増加したほか、積極的な人材採用により人件費・採用費が同163百万円増加したことで損失を計上したが、会社計画の範囲内で推移した。
※1 2022年1月にベンチャー投資を行う(株)ココナラスキルパートナーズを設立したことに伴い連結決算を開始。前年同期の単体業績との比較。
※2 購入UU数:各期間内に有料サービスを購入したユニークユーザー数
※3 1人当たり購入額:各期間内の購入UU×1人当たりの購入金額
2. 2022年8月期の業績見通し
2022年8月期の連結業績は営業収益で前期比32.9%増の3,650百万円、営業損失で1,290百万円(前期は89百万円の利益)を見込んでいる。「ココナラ」の流通高拡大に向けた積極投資を継続していく方針で、流通高は前期比27.7%増の12,256百万円を見込む。利益面では、広告宣伝費が前期の497百万円から1,815百万円(うち、TVCM関連費用は174百万円から1,355百万円)に増加するため損失を見込むが、TVCM関連費用を除いた営業利益では黒字を維持する見通しだ。広告宣伝費以外にも高成長を継続していくため、エンジニアを中心に人員の増強を進めていく。第3四半期も流通高は順調に拡大しているもようで、営業収益は会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。
3. 成長戦略
同社がターゲットとするオンライン完結型のサービスEC市場は、足元の1,000億円規模から2030年にはEC化率上昇や法人利用の浸透に伴って9,600億円~1.6兆円に拡大すると、同社では試算している。将来的に「ココナラ」をAmazonや楽天市場のような圧倒的強さを有する総合カテゴリ型のサービスECプラットフォームに育成していくことを目指しており、中長期の目標として流通高1,000億円、営業利益率30%の水準を初めて打ち出した。今後も年率30%で成長したとすると2030年8月期に1,000億円を達成できることになる。テイクレートを25%とすると営業収益は250億円となり、そうなれば営業利益率も2ケタ台に乗せているものと予想される。目標達成に向けて「ココナラ」の機能強化を進めていくと同時に、利用会員数拡大のための積極的なマーケティング施策を継続していく方針だ。特に、中小企業を中心とした法人の開拓に注力していく考えで、2021年8月に専用サイト「ココナラビジネス」を立ち上げたほか、中小企業を顧客基盤として持つ企業や金融機関等との提携戦略も今後進めていくことにしている。法人需要を取り込むことができれば、流通高で年率3割超の成長ペースも実現可能と見られ、今後の展開が注目される。
■Key Points
・個人の知識・スキル・経験を商品化し、オンライン販売するプラットフォーム「ココナラ」の開発・運営企業
・「ココナラ」の高成長が続き、2022年8月期の営業収益は会社計画を上回る可能性
・中長期目標として「ココナラ」の流通高1,000億円、営業利益率30%を掲げ積極投資を継続方針
・高スキル人材のマッチングを組み合わせたベンチャーキャピタル(VC)事業を始動
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ココナラ<4176>は2012年の設立で、個人の知識・スキルをオンラインで売買するマッチング型プラットフォーム「ココナラ」のサービスを提供している。当初は「占い」を中心とした相談・プライベート系が中心であったが、ここ2~3年はフリーランスや副業需要を取り込みながら制作・ビジネス系カテゴリ(デザイン、Webサイト制作等)が大きく成長、CtoCのマッチング型プラットフォームとして圧倒的なポジションを確立している。流通額の25%※を同社が手数料として受け取り、これが営業収益となる。登録会員数は2022年2月末で279万人。2021年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に上場し、2022年4月に東証グロース市場に移行した。
※従来は出品者から25%程度を徴収していたが、2021年4月12日から出品者20%、購入者5%の手数料に変更した。なお、電話相談サービスに関しては手数料率が50%となっている。
1. 2022年8月期第2四半期累計業績の概要
2022年8月期第2四半期累計(2021年9月~2022年2月)の連結業績は、営業収益で前年同期比43.0%増※1の1,787百万円、営業損失で448百万円(前年同期は127百万円の利益)となった。「ココナラ」の流通高は制作・ビジネス系を中心に同35.3%増の5,950百万円と想定レンジの上限に近い水準で推移し、営業収益は同38.9%増の1,615百万円となった。KPIとしている購入UU数※2は第2四半期で前年同期比22.1%増、1人当たり購入額※3は同10.7%増と好調を持続しており、ココナラ経済圏が着実に拡大していることが窺える。利益面では、テレビコマーシャル(以下、TVCM)を中心に広告宣伝費が前年同期比750百万円増加したほか、積極的な人材採用により人件費・採用費が同163百万円増加したことで損失を計上したが、会社計画の範囲内で推移した。
※1 2022年1月にベンチャー投資を行う(株)ココナラスキルパートナーズを設立したことに伴い連結決算を開始。前年同期の単体業績との比較。
※2 購入UU数:各期間内に有料サービスを購入したユニークユーザー数
※3 1人当たり購入額:各期間内の購入UU×1人当たりの購入金額
2. 2022年8月期の業績見通し
2022年8月期の連結業績は営業収益で前期比32.9%増の3,650百万円、営業損失で1,290百万円(前期は89百万円の利益)を見込んでいる。「ココナラ」の流通高拡大に向けた積極投資を継続していく方針で、流通高は前期比27.7%増の12,256百万円を見込む。利益面では、広告宣伝費が前期の497百万円から1,815百万円(うち、TVCM関連費用は174百万円から1,355百万円)に増加するため損失を見込むが、TVCM関連費用を除いた営業利益では黒字を維持する見通しだ。広告宣伝費以外にも高成長を継続していくため、エンジニアを中心に人員の増強を進めていく。第3四半期も流通高は順調に拡大しているもようで、営業収益は会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。
3. 成長戦略
同社がターゲットとするオンライン完結型のサービスEC市場は、足元の1,000億円規模から2030年にはEC化率上昇や法人利用の浸透に伴って9,600億円~1.6兆円に拡大すると、同社では試算している。将来的に「ココナラ」をAmazonや楽天市場のような圧倒的強さを有する総合カテゴリ型のサービスECプラットフォームに育成していくことを目指しており、中長期の目標として流通高1,000億円、営業利益率30%の水準を初めて打ち出した。今後も年率30%で成長したとすると2030年8月期に1,000億円を達成できることになる。テイクレートを25%とすると営業収益は250億円となり、そうなれば営業利益率も2ケタ台に乗せているものと予想される。目標達成に向けて「ココナラ」の機能強化を進めていくと同時に、利用会員数拡大のための積極的なマーケティング施策を継続していく方針だ。特に、中小企業を中心とした法人の開拓に注力していく考えで、2021年8月に専用サイト「ココナラビジネス」を立ち上げたほか、中小企業を顧客基盤として持つ企業や金融機関等との提携戦略も今後進めていくことにしている。法人需要を取り込むことができれば、流通高で年率3割超の成長ペースも実現可能と見られ、今後の展開が注目される。
■Key Points
・個人の知識・スキル・経験を商品化し、オンライン販売するプラットフォーム「ココナラ」の開発・運営企業
・「ココナラ」の高成長が続き、2022年8月期の営業収益は会社計画を上回る可能性
・中長期目標として「ココナラ」の流通高1,000億円、営業利益率30%を掲げ積極投資を継続方針
・高スキル人材のマッチングを組み合わせたベンチャーキャピタル(VC)事業を始動
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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