■今後の見通し
1. 2022年3月期業績の見通し
フォースタートアップス<7089>の2022年3月期の連結業績予想については、フォースタートアップスキャピタル及びフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合の運営費用が僅少であり、連結業績に与える影響は軽微であるとし、2021年8月に上方修正した単体予想値と同額とした。この結果、売上高は2,200百万円、営業利益は450百万円、経常利益は450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は310百万円を見込んでいる。既述のとおり通期予想に対する進捗率は、売上高で49.7%、営業利益で70.4%、経常利益で70.2%、親会社株主に帰属する当期純利益で70.3%と、利益面を中心に好調に推移している。下期は人員増、オフィス拡張など積極的な先行投資を実施することで、さらなる成長を目指している。
人材紹介需要は安定成長が続いており、受注は引き続き高水準で推移していることや、主力サービスであるタレントエージェンシーで継続的な売上成長を実現していることなどから、通期計画達成の可能性は高く、上方修正も期待できると弊社では予想している。
なお、さらなる成長を目指し、下期に人員増やオフィス拡張などの積極的な先行投資を予定している。ヒューマンキャピタリストやエンジニアのほか、高いスキルを有したトップタレントなど、幅広い分野での人材確保は同社にとっての課題であることから、社内外の教育研修を通じた育成を含め、人材強化を推進していく。人員増や人材育成は売上規模拡大や1人当たり生産性向上に直結する要素であることから、これらの取り組みを通じて同社のトップラインは中長期的に伸長すると弊社では見ている。
2. ベンチャーキャピタル・起業家とのネットワークに起因する強み
イノベーションの創出源泉となる新たなテクノロジーは移り変わりが激しく、その結果としてスタートアップ企業の人材ニーズも大きく変動する。スタートアップ企業に人的資源を最適配置するには、スタートアップ企業自体だけでなく、成長産業に対する広範かつ深い理解が重要である一方、情報のキャッチアップコストや候補者とのマッチングコストが高いという特徴がある。また、スタートアップ企業は大手企業と比較して平均年収帯域が低い傾向にある。この領域で収益性の向上を図るためには、スタートアップ企業に関連した幅広い情報収集力や企業側・候補者側双方をマッチングさせる仕組みが必要と同社では考えている。
このような課題を解決するために同社は、ベンチャーキャピタルや起業家等と密な連携を行う情報収集ネットワークを構築している。ベンチャーキャピタルは投資背景等のスタートアップ企業に関する客観的な情報を保有しており、起業家は企業の将来的な展望や起業背景等の内面的な情報を保有していることから、ベンチャーキャピタルや起業家と緊密に連携することで、スタートアップ企業に関する様々な情報のタイムリーなキャッチアップが可能となる。具体的には、複数のベンチャーキャピタルと定期的に情報を交換するほか、起業家との勉強会を定期的に開催するなどしている。
同社では他社のデータベースも活用しており、すべてが内製化されてはいないものの、これらの強みを背景に同社事業の模倣困難性は高くなっている。上記の強みは同社が創業期から築いてきた、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業との取引の積み上げがベースとなっている。また、スタートアップ関連市場が拡大するにつれて同社は取引をさらに積み上げ、多種多様な情報がデータベースにアップデートされる。このようなフローを通じて、同社の強み・独自性・模倣困難性はさらに高まると弊社では見ている。
3. 「STARTUP DB」の活用
国内のスタートアップマーケットの特徴として、スタートアップ企業に関する客観的な情報の不足があると同社では考えている。この課題に対し同社では、スタートアップに関する客観的な情報を収集した統一データベース「STARTUP DB」を無料(一部有料)で公開している。「STARTUP DB」では、スタートアップ企業の事業内容や役員情報、資金調達情報、登記簿情報から算出した想定時価総額などを掲載しており、マスコミとも連携して情報を積極的に発信している。なお、2021年4月末現在の掲載企業数は13,000社超となる。
同社内では「STARTUP DB」の公開情報に加え、ベンチャーキャピタル・起業家とのネットワークを通じて収集した情報をもとに、独自のアルゴリズムを用いて各スタートアップ企業を数値化し、この情報を整理・序列化することで社内データベースとして蓄積している。そのうえで、特に成長性が高いと考えるスタートアップ企業(以下、有力スタートアップ企業)に対して優先的に人材紹介サービスを提供している。
また、同社のエンジニア組織も強みの1つである。社内のエンジニア組織である「TechLab.」は、スタートアップ企業を支援する「STARTUP DB CLUB」、大企業向けデータ提供サービスの「STARTUP DB ENTERPRISE」の提供のほか、社内のヒューマンキャピタリスト向けに「業務支援ツール」、転職者向け転職支援ツール「TALENTSHIP」の開発にも従事している。同社は人材・資金面でのスタートアップサポートがメインであるものの、ベースにあるのは社内のテクノロジーであり、技術力の向上も積極的に図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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1. 2022年3月期業績の見通し
フォースタートアップス<7089>の2022年3月期の連結業績予想については、フォースタートアップスキャピタル及びフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合の運営費用が僅少であり、連結業績に与える影響は軽微であるとし、2021年8月に上方修正した単体予想値と同額とした。この結果、売上高は2,200百万円、営業利益は450百万円、経常利益は450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は310百万円を見込んでいる。既述のとおり通期予想に対する進捗率は、売上高で49.7%、営業利益で70.4%、経常利益で70.2%、親会社株主に帰属する当期純利益で70.3%と、利益面を中心に好調に推移している。下期は人員増、オフィス拡張など積極的な先行投資を実施することで、さらなる成長を目指している。
人材紹介需要は安定成長が続いており、受注は引き続き高水準で推移していることや、主力サービスであるタレントエージェンシーで継続的な売上成長を実現していることなどから、通期計画達成の可能性は高く、上方修正も期待できると弊社では予想している。
なお、さらなる成長を目指し、下期に人員増やオフィス拡張などの積極的な先行投資を予定している。ヒューマンキャピタリストやエンジニアのほか、高いスキルを有したトップタレントなど、幅広い分野での人材確保は同社にとっての課題であることから、社内外の教育研修を通じた育成を含め、人材強化を推進していく。人員増や人材育成は売上規模拡大や1人当たり生産性向上に直結する要素であることから、これらの取り組みを通じて同社のトップラインは中長期的に伸長すると弊社では見ている。
2. ベンチャーキャピタル・起業家とのネットワークに起因する強み
イノベーションの創出源泉となる新たなテクノロジーは移り変わりが激しく、その結果としてスタートアップ企業の人材ニーズも大きく変動する。スタートアップ企業に人的資源を最適配置するには、スタートアップ企業自体だけでなく、成長産業に対する広範かつ深い理解が重要である一方、情報のキャッチアップコストや候補者とのマッチングコストが高いという特徴がある。また、スタートアップ企業は大手企業と比較して平均年収帯域が低い傾向にある。この領域で収益性の向上を図るためには、スタートアップ企業に関連した幅広い情報収集力や企業側・候補者側双方をマッチングさせる仕組みが必要と同社では考えている。
このような課題を解決するために同社は、ベンチャーキャピタルや起業家等と密な連携を行う情報収集ネットワークを構築している。ベンチャーキャピタルは投資背景等のスタートアップ企業に関する客観的な情報を保有しており、起業家は企業の将来的な展望や起業背景等の内面的な情報を保有していることから、ベンチャーキャピタルや起業家と緊密に連携することで、スタートアップ企業に関する様々な情報のタイムリーなキャッチアップが可能となる。具体的には、複数のベンチャーキャピタルと定期的に情報を交換するほか、起業家との勉強会を定期的に開催するなどしている。
同社では他社のデータベースも活用しており、すべてが内製化されてはいないものの、これらの強みを背景に同社事業の模倣困難性は高くなっている。上記の強みは同社が創業期から築いてきた、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業との取引の積み上げがベースとなっている。また、スタートアップ関連市場が拡大するにつれて同社は取引をさらに積み上げ、多種多様な情報がデータベースにアップデートされる。このようなフローを通じて、同社の強み・独自性・模倣困難性はさらに高まると弊社では見ている。
3. 「STARTUP DB」の活用
国内のスタートアップマーケットの特徴として、スタートアップ企業に関する客観的な情報の不足があると同社では考えている。この課題に対し同社では、スタートアップに関する客観的な情報を収集した統一データベース「STARTUP DB」を無料(一部有料)で公開している。「STARTUP DB」では、スタートアップ企業の事業内容や役員情報、資金調達情報、登記簿情報から算出した想定時価総額などを掲載しており、マスコミとも連携して情報を積極的に発信している。なお、2021年4月末現在の掲載企業数は13,000社超となる。
同社内では「STARTUP DB」の公開情報に加え、ベンチャーキャピタル・起業家とのネットワークを通じて収集した情報をもとに、独自のアルゴリズムを用いて各スタートアップ企業を数値化し、この情報を整理・序列化することで社内データベースとして蓄積している。そのうえで、特に成長性が高いと考えるスタートアップ企業(以下、有力スタートアップ企業)に対して優先的に人材紹介サービスを提供している。
また、同社のエンジニア組織も強みの1つである。社内のエンジニア組織である「TechLab.」は、スタートアップ企業を支援する「STARTUP DB CLUB」、大企業向けデータ提供サービスの「STARTUP DB ENTERPRISE」の提供のほか、社内のヒューマンキャピタリスト向けに「業務支援ツール」、転職者向け転職支援ツール「TALENTSHIP」の開発にも従事している。同社は人材・資金面でのスタートアップサポートがメインであるものの、ベースにあるのは社内のテクノロジーであり、技術力の向上も積極的に図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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