■事業概要
1. 会社概要
イード<6038>は、Webメディア・コンテンツの運営を行うCMP事業と、リサーチ及びECソリューションを提供するCMS事業の2つの事業を展開するコンテンツマーケティング企業で、設立は2000年となる。M&A戦略を推進しており、2021年6月末時点の連結子会社は4社((株)エンファクトリー/(株)ネットショップ総研/マイケル(株)/Interface in Design, Inc)、連結従業員数は200名(臨時従業員含む)となっている。なお、2020年6月期まで子会社だった絵本ナビについては、2020年11月に保有株式の一部を投資ファンドに売却したことにより持分法適用関連会社に異動している(出資率は58.9%→30.9%)。
2. 事業内容
事業セグメントはCMP事業とCMS事業の2つで、CMP事業が売上高・利益の8割以上を占める主力事業となっている。なお両事業の連携としては、CMP事業のクライアント企業をCMS事業に紹介し、そのクライアント企業に対してCMS事業のソリューションサービスを提供するケースがある。
(1) コンテンツマーケティングプラットフォーム事業(CMP事業)
Webメディア・コンテンツを運営しながら、顧客企業のインターネット広告や各種データ・コンテンツをサイト利用ユーザーに配信する事業となる。売上高としては、Webメディア上に掲載するインターネット広告や、EC物販を含むデータ・コンテンツ販売が主なものとなっている。このため、いかに費用をかけずにWebメディアの媒体価値(PV数)を向上させていくことができるかが収益拡大のカギを握っている。
同社が運営するWebメディア・コンテンツ数は2021年6月末時点で21ジャンル70サイト(前期末比5サイト増)となっており、自動車やIT、エンターテインメント、暮らし、EC分野など幅広いジャンルのWebサイトを運営している。なかでも自動車分野のWebメディア「Response(レスポンス)」は日本最大級の総合自動車ニュースサイトで、同社が運営するWebメディアの中でも中心的な存在となっている。
(2) コンテンツマーケティングソリューション事業(CMS事業)
顧客企業に対してリサーチソリューションとECソリューションを提供する事業となる。リサーチソリューションに関しては、自動車向けが売上高の過半を占めている。リサーチ内容は、大規模な定量調査から個人に対する定性調査まで行い、マーケティングリサーチ、デザイン関連リサーチ、ユーザビリティ/人間中心設計、海外リサーチをメニューとして取り揃え、インターネットを活用したリサーチからリアルな行動観察まで幅広い分野をカバーしている。自動車以外では通信やエレクトロニクス分野のリサーチも行っている。一方、ECソリューションでは、EC事業者向けにECサイト構築システム「marbleASP」の提供を行っている。同サービスは低コスト、短納期、高拡張性が特徴で、会員数で数十万人規模のECサイトにも対応している。売上高はECサイト構築時の一時売上と、稼働後のシステム利用料(月額課金)で構成されている。
Webメディア・コンテンツを効率的に運用する自社開発システムが強み
3. 特徴と強み
(1) 「iid-CMP」
同社の強みは、CMP事業において数多くのWebメディアやコンテンツを効率的に運用するためのシステム、「iid-CMP」(イード・コンテンツ・マーケティング・プラットフォーム)を自社開発していることにある。「iid-CMP」では主に4つの機能により、Webメディアの早期収益化を実現可能としている。第1に、高い集客機能(SEO施策、SNS対応、Webページ高速表示、スマートフォンを含めた最適なユーザビリティとユーザーエクスペリエンス等)による売上アップの実現、第2に、ローコストオペレーション(システムの共同利用・CPUリソース分散機能、ポータルサイトへのニュース記事提供フォーマットの共有化、最適なネットワーク広告・アフィリエイト広告の共同運用等)によるコスト最適化、第3に、データベースの蓄積・管理機能(コンテンツにより取得したビッグデータ管理)、第4に、コンテンツマネジメント機能(ニュース記事・写真の投稿、文章校正・類似度チェック)による編集の効率化等である。
(2) M&A戦略
同社はM&AによりWebメディア・コンテンツの取得を積極的に進めている。M&Aについては、経営陣のこれまでの人的ネットワークを主な情報入手ルートとしており、常時5サイト程度を検討している。事業取得する場合は、投資回収期間で5年を目安に計画を策定し、取得後2年以内の黒字化達成を判断基準としている。
2021年6月期までに資本出資も含めて取得したWebメディア・コンテンツは58サイト(うち、43サイト継続、15サイト撤退)で、取得総額は1,798百万円(内訳は、事業取得総額993百万円、出資総額805百万円、撤退サイト含む)となっている。1サイト平均31百万円で取得した計算となる。そのほか、自社で事業開発したWebサイトが40サイト(うち、27サイト継続、13サイトは撤退)となっている。「iid-CMP」のプラットフォームを活用することで、これまで手掛けたWebサイトのほとんどで目標を達成している。こうした成功実績から、最近では相手先から声が掛かるケースも増えている。
そのほか、新規事業領域での協業を目的とした戦略的な出資も実施している。出資案件としては、クリエーター向けC2Cプラットフォーム「note」を運営するnote(株)のほか、シェアリングエコノミーサービスを展開するキャンピングカー(株)、音声広告プラットフォームを提供するロボットスタート(株)、集金業務のキャッシュレス化プラットフォーム「enpay」を運営する(株)エンペイなどがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 会社概要
イード<6038>は、Webメディア・コンテンツの運営を行うCMP事業と、リサーチ及びECソリューションを提供するCMS事業の2つの事業を展開するコンテンツマーケティング企業で、設立は2000年となる。M&A戦略を推進しており、2021年6月末時点の連結子会社は4社((株)エンファクトリー/(株)ネットショップ総研/マイケル(株)/Interface in Design, Inc)、連結従業員数は200名(臨時従業員含む)となっている。なお、2020年6月期まで子会社だった絵本ナビについては、2020年11月に保有株式の一部を投資ファンドに売却したことにより持分法適用関連会社に異動している(出資率は58.9%→30.9%)。
2. 事業内容
事業セグメントはCMP事業とCMS事業の2つで、CMP事業が売上高・利益の8割以上を占める主力事業となっている。なお両事業の連携としては、CMP事業のクライアント企業をCMS事業に紹介し、そのクライアント企業に対してCMS事業のソリューションサービスを提供するケースがある。
(1) コンテンツマーケティングプラットフォーム事業(CMP事業)
Webメディア・コンテンツを運営しながら、顧客企業のインターネット広告や各種データ・コンテンツをサイト利用ユーザーに配信する事業となる。売上高としては、Webメディア上に掲載するインターネット広告や、EC物販を含むデータ・コンテンツ販売が主なものとなっている。このため、いかに費用をかけずにWebメディアの媒体価値(PV数)を向上させていくことができるかが収益拡大のカギを握っている。
同社が運営するWebメディア・コンテンツ数は2021年6月末時点で21ジャンル70サイト(前期末比5サイト増)となっており、自動車やIT、エンターテインメント、暮らし、EC分野など幅広いジャンルのWebサイトを運営している。なかでも自動車分野のWebメディア「Response(レスポンス)」は日本最大級の総合自動車ニュースサイトで、同社が運営するWebメディアの中でも中心的な存在となっている。
(2) コンテンツマーケティングソリューション事業(CMS事業)
顧客企業に対してリサーチソリューションとECソリューションを提供する事業となる。リサーチソリューションに関しては、自動車向けが売上高の過半を占めている。リサーチ内容は、大規模な定量調査から個人に対する定性調査まで行い、マーケティングリサーチ、デザイン関連リサーチ、ユーザビリティ/人間中心設計、海外リサーチをメニューとして取り揃え、インターネットを活用したリサーチからリアルな行動観察まで幅広い分野をカバーしている。自動車以外では通信やエレクトロニクス分野のリサーチも行っている。一方、ECソリューションでは、EC事業者向けにECサイト構築システム「marbleASP」の提供を行っている。同サービスは低コスト、短納期、高拡張性が特徴で、会員数で数十万人規模のECサイトにも対応している。売上高はECサイト構築時の一時売上と、稼働後のシステム利用料(月額課金)で構成されている。
Webメディア・コンテンツを効率的に運用する自社開発システムが強み
3. 特徴と強み
(1) 「iid-CMP」
同社の強みは、CMP事業において数多くのWebメディアやコンテンツを効率的に運用するためのシステム、「iid-CMP」(イード・コンテンツ・マーケティング・プラットフォーム)を自社開発していることにある。「iid-CMP」では主に4つの機能により、Webメディアの早期収益化を実現可能としている。第1に、高い集客機能(SEO施策、SNS対応、Webページ高速表示、スマートフォンを含めた最適なユーザビリティとユーザーエクスペリエンス等)による売上アップの実現、第2に、ローコストオペレーション(システムの共同利用・CPUリソース分散機能、ポータルサイトへのニュース記事提供フォーマットの共有化、最適なネットワーク広告・アフィリエイト広告の共同運用等)によるコスト最適化、第3に、データベースの蓄積・管理機能(コンテンツにより取得したビッグデータ管理)、第4に、コンテンツマネジメント機能(ニュース記事・写真の投稿、文章校正・類似度チェック)による編集の効率化等である。
(2) M&A戦略
同社はM&AによりWebメディア・コンテンツの取得を積極的に進めている。M&Aについては、経営陣のこれまでの人的ネットワークを主な情報入手ルートとしており、常時5サイト程度を検討している。事業取得する場合は、投資回収期間で5年を目安に計画を策定し、取得後2年以内の黒字化達成を判断基準としている。
2021年6月期までに資本出資も含めて取得したWebメディア・コンテンツは58サイト(うち、43サイト継続、15サイト撤退)で、取得総額は1,798百万円(内訳は、事業取得総額993百万円、出資総額805百万円、撤退サイト含む)となっている。1サイト平均31百万円で取得した計算となる。そのほか、自社で事業開発したWebサイトが40サイト(うち、27サイト継続、13サイトは撤退)となっている。「iid-CMP」のプラットフォームを活用することで、これまで手掛けたWebサイトのほとんどで目標を達成している。こうした成功実績から、最近では相手先から声が掛かるケースも増えている。
そのほか、新規事業領域での協業を目的とした戦略的な出資も実施している。出資案件としては、クリエーター向けC2Cプラットフォーム「note」を運営するnote(株)のほか、シェアリングエコノミーサービスを展開するキャンピングカー(株)、音声広告プラットフォームを提供するロボットスタート(株)、集金業務のキャッシュレス化プラットフォーム「enpay」を運営する(株)エンペイなどがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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