Pウォーター Research Memo(3):「顧客純増」の強みが水源分散化、物流効率化、製造原価低減に好影響

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最新投稿日時:2021/06/23 15:03 - 「Pウォーター Research Memo(3):「顧客純増」の強みが水源分散化、物流効率化、製造原価低減に好影響」(フィスコ)

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Pウォーター Research Memo(3):「顧客純増」の強みが水源分散化、物流効率化、製造原価低減に好影響

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/23 15:03
■会社概要

4. 強み
プレミアムウォーターホールディングス<2588>の強みの根源は、「高い顧客獲得力による顧客純増」である。この強みがあることにより、水源分散化や物流効率化、無駄のない工場設備投資などが可能となり、好循環が生まれている。

(1) 高い顧客獲得力による顧客純増
同社は宅配水市場でのシェアを近年大きく伸ばしている。高い顧客獲得能力を培ってきた元を辿ると、エフエルシーがデモンストレーション販売では国内トップクラスであったことに遡る。顧客獲得方法は様々であるが、同社は大型商業施設や大手量販店、ホームセンターなどでのデモンストレーション販売で約6割の顧客を獲得している。同社専用のブースを期間限定で出展し、同社の従業員が対応する。営業ノウハウやその教育もさることながら、従業員の育成とモチベーションを考慮して作り込まれた従業員評価制度があり、能力を引き出す仕組みが充実している。そのほか、約4割の新規顧客を獲得する手法がテレマーケティング、Webである。特にコロナ禍により在宅時間が増えた消費者に対して、これらの手法の有効性が増している。具体的には不動産会社や家電量販店などとの委託契約により、入居後や大型家電購入後に顧客へフォローの電話をする。その際、了承を得た顧客に対して宅配水を推奨する。環境の変化に柔軟に対応し、多様な販売チャネルから顧客を獲得できるのが同社の強みと言えるだろう。

自社の営業部隊による販売(直販)が従来は主体だったが、近年は代理店による販売(代販・取次)が増えており、2021年3月期には初めてその割合が50%を超えた。業界で最大規模のナチュラルミネラルウォーターブランドであることの認知が高まったことにより、取次店販売の依頼が増えた。取次店としては、家具、各種通販、家電量販店、不動産、鉄道、電力など多様な事業会社と取引を拡大中である。また宅配水事業を行う他社への製品提供(OEM)も増えている。

(2) 水源の分散化(全国6水源体制)
同社は水の安定供給及び地産地消を狙いとして水源を分散する方針を取っている。富士吉田(山梨県)、南阿蘇(熊本県)、金城(島根県)、朝来(兵庫県)、北アルプス(長野県)の全国5ヶ所が稼働している。5つの水源を持つことも業界では特異な存在である。水源を増やす難しさは、一定以上の顧客が確保できなければ工場の稼働率は上がらず製造コストが高くなってしまう点にある。その点で同社は保有顧客を増加させることができているため、工場稼働率を落とすことなく水源の開拓が可能である。2021年1月には、岐阜県本巣郡北方町に土地を取得し、年内にも新工場を稼働させる計画だ。6水源合わせると最大で約220万ユーザーまで供給可能な体制が整ってくる。また、2016年の熊本地震の際に南阿蘇の供給がストップする事態があったが、九州地方に配送する宅配水をほかの水源からバックアップで供給することができた。このことからも、分散化が災害時にも強いことを証明した。

同社は成分や安全性には独自の厳しい基準を設定している。ミネラルバランス、硝酸・亜硝酸値、水量(供給量)、水質などの厳しい基準をクリアできる水源は多くはないのが実情である。特に、硝酸及び亜硝酸は毒性が指摘されているため、同社独自の高い基準を設けて管理する。富士吉田工場が食品安全に関するマネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000の認証を取得している。

(3) 地産地消による物流の効率化
宅配水業界にとって、近年の物流費の上昇は大きな経営課題である。同社は1 WAY方式の配送を行うため、大手の配送業者に配送を委託しており、売上収益に占める配送費の比率は20%を超える(2021年3月期で25%弱)。配送業者からは絶えず値上げプレッシャーがあるため、物流費をコントロールすることの重要性は高い。同社が打ち出す大きな方向性は「水源の分散化による配送距離の短縮化」いわゆる「地産地消」である。製造地と消費地が近ければ配送費も抑制できる。2021年中には6水源体制となる計画であり、南阿蘇工場から九州地方、金城工場から中四国地方、朝来工場から近畿地方と北陸地方の一部、岐阜北方から岐阜県および北信越地方の一部、富士吉田工場から東海地方から東(北海道除く)、北アルプス工場から北海道地方へそれぞれ配送する体制が整う。エリア内で、定期的にまとまった物量が確保できるため、トラックの積載効率も高くなり、物流費高騰を回避できる要因となっている。

(4) 無駄のない工場設備投資による原価低減
同社は、製造原価の低減にも取り組んできた。2016年からプリフォーム射出成型機を導入し、容器の内製化を行い、原価低減に成功している。この設備投資は約4億円の投資であった。容器1本当たり20円削減を想定した投資だったが、大きな設備投資も商品の本数が少なければ、無駄な投資となってしまう。同社では初年度に1,000万本出荷し、約1.6億円の利益向上を達成した。投資から3年目には投資回収し、利益を生み出し続けている。このように、顧客純増による出荷規模拡大は様々な面で好循環を生んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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配信元: フィスコ

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