■要約
アサヒ衛陶<5341>は、300年前の江戸時代享保年間に創業された屋根瓦製造販売業の流れを汲み、会社設立から70年が経過している衛生陶器、水栓金具の中堅企業である。日本の新設住宅着工戸数は、1973年に190万戸のピークを付け、その後は右肩下がりの傾向が続く。リーマンショックの影響を受け、2009年に着工戸数が100万戸を切って以来、大台を回復することはない。同社は、国内で特徴ある商品を投入して差別化を図るも、より大きな成長と高い収益性が実現可能な新興市場での再成長を目指す。
1. 2019年11月期の業績動向
2019年11月期の連結業績は、売上高が2,426百万円(前期比15.6%減)となったため、営業損失281百万円(前期は165百万円の損失)を計上した。期初に営業黒字を予想していたものの、5期連続して最終利益が水面下にとどまった。2019年7月に2019年11月期第2四半期決算を発表した際、通期予想を下方修正し、翌8月に人員削減を含む事業構造改革策と新たな中期経営計画(以下、新中期経営計画)を発表した。
2. 事業構造改革
2019年11月期下期に、事業構造改革の一環として役員報酬カット、低採算事業からの撤退、商品ラインナップの縮小、不良在庫の廃棄処分、ベトナム人工大理石工場のビナマーブル工場及び仙台営業所の廃止、並びに香川事業所及び本社事務所の機能縮小を行った。収益性が悪く社内的な工数を要する事業から撤退し、人員数を71人から45人に、香川事業所では28人から16人に減少させることを発表した。2020年11月期は、これらの施策により経費が前期比290百万円減少することから、売上高が2,400百万円と前期比1.1%減少するも、営業利益が70百万円と黒字転換を見込んでいる。
3. 新中期経営計画
「中期経営計画2020年~2022年」では、国内事業の縮小均衡を図り、海外事業を成長ドライバーとする。国内事業は収益性を重視し、2020年11月期以降微増収の予想としている。一方、海外事業は、向こう3期の売上高推移が4億円、10億円、16億円と急拡大する計画を立てている。販売子会社を置くベトナムを中心に受注見込み工事案件が24億円あり、確実な取込みを図る。ベトナムでは2019年1月にショールームを開設し、受注活動を強化しており、2019年夏から2020年1月までに、4回の大口納入予定案件についてリリースしている。これは、ベトナム国内における病院、ホテル、集合・戸建住宅に関する9プロジェクトで合計7,710室、納入予定額187万米ドルになる。加えて、近隣のミャンマーやバングラデッシュでも代理店網の構築を進めており、展示会への出展などにより着々と納入予定案件を積み上げている。また、2019年11月には東アフリカのウガンダにも進出した。日本製では過剰品質になってしまうが、ベトナム市場向け商品は現地ニーズに適合する。なお、国連が進めているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、投資のテーマになっており、新興国におけるジャパン・クオリティの衛生設備の普及は、17のゴールの6番目に登場する「安全な水とトイレを世界中に」に合致する。
■Key Points
・アジアの生産委託先から調達するファブレスメーカー
・2019年11月期第2四半期に通期予想を下方修正し、下期に大規模リストラ断行
・海外事業の急拡大がグループの成長ドライバーに
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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アサヒ衛陶<5341>は、300年前の江戸時代享保年間に創業された屋根瓦製造販売業の流れを汲み、会社設立から70年が経過している衛生陶器、水栓金具の中堅企業である。日本の新設住宅着工戸数は、1973年に190万戸のピークを付け、その後は右肩下がりの傾向が続く。リーマンショックの影響を受け、2009年に着工戸数が100万戸を切って以来、大台を回復することはない。同社は、国内で特徴ある商品を投入して差別化を図るも、より大きな成長と高い収益性が実現可能な新興市場での再成長を目指す。
1. 2019年11月期の業績動向
2019年11月期の連結業績は、売上高が2,426百万円(前期比15.6%減)となったため、営業損失281百万円(前期は165百万円の損失)を計上した。期初に営業黒字を予想していたものの、5期連続して最終利益が水面下にとどまった。2019年7月に2019年11月期第2四半期決算を発表した際、通期予想を下方修正し、翌8月に人員削減を含む事業構造改革策と新たな中期経営計画(以下、新中期経営計画)を発表した。
2. 事業構造改革
2019年11月期下期に、事業構造改革の一環として役員報酬カット、低採算事業からの撤退、商品ラインナップの縮小、不良在庫の廃棄処分、ベトナム人工大理石工場のビナマーブル工場及び仙台営業所の廃止、並びに香川事業所及び本社事務所の機能縮小を行った。収益性が悪く社内的な工数を要する事業から撤退し、人員数を71人から45人に、香川事業所では28人から16人に減少させることを発表した。2020年11月期は、これらの施策により経費が前期比290百万円減少することから、売上高が2,400百万円と前期比1.1%減少するも、営業利益が70百万円と黒字転換を見込んでいる。
3. 新中期経営計画
「中期経営計画2020年~2022年」では、国内事業の縮小均衡を図り、海外事業を成長ドライバーとする。国内事業は収益性を重視し、2020年11月期以降微増収の予想としている。一方、海外事業は、向こう3期の売上高推移が4億円、10億円、16億円と急拡大する計画を立てている。販売子会社を置くベトナムを中心に受注見込み工事案件が24億円あり、確実な取込みを図る。ベトナムでは2019年1月にショールームを開設し、受注活動を強化しており、2019年夏から2020年1月までに、4回の大口納入予定案件についてリリースしている。これは、ベトナム国内における病院、ホテル、集合・戸建住宅に関する9プロジェクトで合計7,710室、納入予定額187万米ドルになる。加えて、近隣のミャンマーやバングラデッシュでも代理店網の構築を進めており、展示会への出展などにより着々と納入予定案件を積み上げている。また、2019年11月には東アフリカのウガンダにも進出した。日本製では過剰品質になってしまうが、ベトナム市場向け商品は現地ニーズに適合する。なお、国連が進めているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、投資のテーマになっており、新興国におけるジャパン・クオリティの衛生設備の普及は、17のゴールの6番目に登場する「安全な水とトイレを世界中に」に合致する。
■Key Points
・アジアの生産委託先から調達するファブレスメーカー
・2019年11月期第2四半期に通期予想を下方修正し、下期に大規模リストラ断行
・海外事業の急拡大がグループの成長ドライバーに
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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