■ジャストプランニング<4287>の今後の見通し
(3) 観光地
訪日外国人観光客が増加するなか、観光地での「街ごとキャッシュレス化」を実現するツールとして「Putmenu」の普及拡大に向けた取り組みを進めている。2018年11月に、5省庁の後援を受けて観光促進を推進する「温泉総選挙」を運営する(株)ジャパンデザインと観光地のキャッシュレス化推進で連携していくことを発表したが、その第1弾として、妙高市(新潟県)の「街ごとキャッシュレス化」に取り組んでいく。
2019年5月に開催された地方活性化イベント「艸原祭(そうげんさい)」※1で「Putmenu」を試験的に導入したが、外国人からの評判も上々だったようだ。今冬には妙高スキー場の飲食店やリフト券、各種レンタルサービスで「Putmenu」の利用が可能となるほか、周辺の旅館や飲食店、交通機関などでも利用できるようになる。妙高のプロジェクトをモデルケースとして導入から運用方法などのプロセスをパッケージ化し、その他の観光地に横展開していく計画となっている。地域の観光協会からの関心は高いため、同プロジェクトの導入効果が明確になれば、普及が進んでいくものと予想される。同社では各地域のDMO※2と連携しながら導入を進めていく予定としている。
※1 池の平温泉のいもり池周辺で開催される春の訪れを告げるお祭りで、毎年約2万人が来場する。伝統芸能等のステージイベントや屋台村の開設、フィナーレでは火文字と妙高山をバックにした花火が打ちあがる。
※2 DMO(Destination Management Organization):地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的アプローチを取り入れた観光地域づくりを行う舵取り役となる法人。
なお、収益モデルとしては、スキー場やイベント会場等では流通額の一定比率をレベニューシェアする方式とし、宿泊施設や飲食店舗等では月額固定料金制も検討している(顧客単価が異なるため、今後のデータ検証により最適化していく方針)。観光地にとっては、「Putmenu」を導入することで街全体に設置されたビーコンやGPSを通じて利用者の体験経路や消費動向等のデータを収集・分析し、観光地の更なる活性化に向けた施策を打つことも可能となる。このため、妙高での今後のプロジェクトの動向が注目される。
(4) その他
そのほかにも混雑が予想される各種イベント会場など、様々な利用シーンへの導入拡大が期待される。2019年4月には新たにホテルのレンタルスマートフォンサービスとの連携も開始している。具体的には、ハウステンボス内の「変なホテル」全客室(200室)に備え付けられているスマートフォン「handy」(無料)に「Putmenu」のアプリを組み込み、宿泊客が同端末を用いてホテル内で販売しているお土産物等の注文・購入を可能とした。「handy」はhi japan(株)が提供するサービスで、現在、国内ホテルの約3割に当たる1,700施設、24万室への導入が決定しているため、「変なホテル」での導入効果(ホテルにおける物販売上の増加)が確認されれば、他のホテルへ導入が進むことも期待される。
また、次世代ドライブスルーへの導入の可能性についても検討を進めている。コネクティッドカーアプリと「Putmenu」を連結することで、目的の店舗に到着する10分前の時点で予め選択した商品を自動注文し、店舗に到着した際にIoT技術により本人認証と決済処理をオンラインで行い、商品を受け取る流れとなる。従来のドライブスルーよりも大幅な時間短縮が可能となり、店舗側から見れば顧客満足度の向上につながるサービスとなる。
以上、見てきたように「Putmenu」は各利用シーンにおいて導入が徐々にではあるが進んでおり、一部では導入効果も確認され、今後の普及拡大に期待が持てる状況となっている。同社では東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた今後1年間が事業拡大に向けた好機になると見ており、広告宣伝費も含めて先行投資を積極的に投下していく計画としている。このため、収益化の時期としては早くても2021年1月期以降となる。料金プランについては導入先によって固定制とレベニューシェアの2通りとなるが、仮に月額2.5万円とすると1,000店舗導入で年間売上高が3億円となる計算だ。レベニューシェア方式で同規模の売上高を獲得するには流通額で75億円程度(手数料率4%前提)が必要となるが、2018年の訪日外国人の旅行消費額は約4兆5千億円となっており、今後、各市場において「Putmenu」の導入が進めば、数年後に「まかせてネット」と並ぶ収益柱に育つポテンシャルは十分あると考えられる。
ASP事業の回復とPutmenu事業の収益寄与により、業績は2021年1月期以降成長ステージに入る見通し
3. 目標とする経営指標
同社は目標とする経営指標について、売上高経常利益率で35%の水準を目指している。ここ数年は主力事業である「まかせてネット」等のASP事業の低迷が続いたことで収益性も低下していたが、2021年1月期以降は再び収益性も向上していくものと予想される。「まかせてネット」の契約店舗数回復や顧客単価アップによるASP事業の回復に加えて、Putmenu事業の収益化が見込まれるためだ。Putmenu事業についても基本的にはストック型のビジネスモデルであり、一旦導入されれば継続的な収益が見込め、導入件数の拡大により利益成長スピードも加速していくと予想されるだけに、今後の動向に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
(3) 観光地
訪日外国人観光客が増加するなか、観光地での「街ごとキャッシュレス化」を実現するツールとして「Putmenu」の普及拡大に向けた取り組みを進めている。2018年11月に、5省庁の後援を受けて観光促進を推進する「温泉総選挙」を運営する(株)ジャパンデザインと観光地のキャッシュレス化推進で連携していくことを発表したが、その第1弾として、妙高市(新潟県)の「街ごとキャッシュレス化」に取り組んでいく。
2019年5月に開催された地方活性化イベント「艸原祭(そうげんさい)」※1で「Putmenu」を試験的に導入したが、外国人からの評判も上々だったようだ。今冬には妙高スキー場の飲食店やリフト券、各種レンタルサービスで「Putmenu」の利用が可能となるほか、周辺の旅館や飲食店、交通機関などでも利用できるようになる。妙高のプロジェクトをモデルケースとして導入から運用方法などのプロセスをパッケージ化し、その他の観光地に横展開していく計画となっている。地域の観光協会からの関心は高いため、同プロジェクトの導入効果が明確になれば、普及が進んでいくものと予想される。同社では各地域のDMO※2と連携しながら導入を進めていく予定としている。
※1 池の平温泉のいもり池周辺で開催される春の訪れを告げるお祭りで、毎年約2万人が来場する。伝統芸能等のステージイベントや屋台村の開設、フィナーレでは火文字と妙高山をバックにした花火が打ちあがる。
※2 DMO(Destination Management Organization):地域の多様な関係者を巻き込みつつ、科学的アプローチを取り入れた観光地域づくりを行う舵取り役となる法人。
なお、収益モデルとしては、スキー場やイベント会場等では流通額の一定比率をレベニューシェアする方式とし、宿泊施設や飲食店舗等では月額固定料金制も検討している(顧客単価が異なるため、今後のデータ検証により最適化していく方針)。観光地にとっては、「Putmenu」を導入することで街全体に設置されたビーコンやGPSを通じて利用者の体験経路や消費動向等のデータを収集・分析し、観光地の更なる活性化に向けた施策を打つことも可能となる。このため、妙高での今後のプロジェクトの動向が注目される。
(4) その他
そのほかにも混雑が予想される各種イベント会場など、様々な利用シーンへの導入拡大が期待される。2019年4月には新たにホテルのレンタルスマートフォンサービスとの連携も開始している。具体的には、ハウステンボス内の「変なホテル」全客室(200室)に備え付けられているスマートフォン「handy」(無料)に「Putmenu」のアプリを組み込み、宿泊客が同端末を用いてホテル内で販売しているお土産物等の注文・購入を可能とした。「handy」はhi japan(株)が提供するサービスで、現在、国内ホテルの約3割に当たる1,700施設、24万室への導入が決定しているため、「変なホテル」での導入効果(ホテルにおける物販売上の増加)が確認されれば、他のホテルへ導入が進むことも期待される。
また、次世代ドライブスルーへの導入の可能性についても検討を進めている。コネクティッドカーアプリと「Putmenu」を連結することで、目的の店舗に到着する10分前の時点で予め選択した商品を自動注文し、店舗に到着した際にIoT技術により本人認証と決済処理をオンラインで行い、商品を受け取る流れとなる。従来のドライブスルーよりも大幅な時間短縮が可能となり、店舗側から見れば顧客満足度の向上につながるサービスとなる。
以上、見てきたように「Putmenu」は各利用シーンにおいて導入が徐々にではあるが進んでおり、一部では導入効果も確認され、今後の普及拡大に期待が持てる状況となっている。同社では東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた今後1年間が事業拡大に向けた好機になると見ており、広告宣伝費も含めて先行投資を積極的に投下していく計画としている。このため、収益化の時期としては早くても2021年1月期以降となる。料金プランについては導入先によって固定制とレベニューシェアの2通りとなるが、仮に月額2.5万円とすると1,000店舗導入で年間売上高が3億円となる計算だ。レベニューシェア方式で同規模の売上高を獲得するには流通額で75億円程度(手数料率4%前提)が必要となるが、2018年の訪日外国人の旅行消費額は約4兆5千億円となっており、今後、各市場において「Putmenu」の導入が進めば、数年後に「まかせてネット」と並ぶ収益柱に育つポテンシャルは十分あると考えられる。
ASP事業の回復とPutmenu事業の収益寄与により、業績は2021年1月期以降成長ステージに入る見通し
3. 目標とする経営指標
同社は目標とする経営指標について、売上高経常利益率で35%の水準を目指している。ここ数年は主力事業である「まかせてネット」等のASP事業の低迷が続いたことで収益性も低下していたが、2021年1月期以降は再び収益性も向上していくものと予想される。「まかせてネット」の契約店舗数回復や顧客単価アップによるASP事業の回復に加えて、Putmenu事業の収益化が見込まれるためだ。Putmenu事業についても基本的にはストック型のビジネスモデルであり、一旦導入されれば継続的な収益が見込め、導入件数の拡大により利益成長スピードも加速していくと予想されるだけに、今後の動向に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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