市場予想通り0.25%の利下げ
9月17-18日の米FOMCは0.25%の利下げを決定しました。FFレート(政策金利)の目標レンジは1.75-2.00%になりました。
FOMCの結果を受けて、米ドルは反発、米ドル円は一時108円台半ばまで上昇しました。それはいったんの材料出尽くしに加えて、「ドット・プロット(参加者の政策金利見通し)」などから追加利下げ期待が後退したからです。
米中貿易摩擦など不透明感が根強いなか、引き続き追加利下げの可能性はあります。ただ、それは今後の貿易交渉や経済情勢次第であり、現時点で既定路線ではなさそうです。
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声明文と票決
声明文は最初の利下げを行った前回7月分とほぼ同一でした。ただ、「家計支出は力強いものの、設備投資と輸出は弱まった」とし、「輸出」の弱さが新たに追加されました。貿易摩擦の影響が現れた格好でしょう。
票決は7対3でした。カンザスシティ連銀のジョージ総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁が前回同様に「据え置き」を主張して反対。今回はさらにセントルイス連銀のブラード総裁が0.50%の利下げを求めて反対しました。投票権を持つ5人の地区連銀総裁のうち、方向は違えども3人が反対票を投じるのは異例です。
「ドット・プロット」は近々の利下げ打ち止めを示唆!?
「ドット・プロット(参加者の政策金利見通し)」の中央値は、2019年末1.75-2.00%、2020年末1.75-2.00%、2021年末2.00-2.25%、2022年末2.25-2.50%です。それらを敢えてFOMCが想定する政策金利の行方だと解釈すれば、利下げは今回で打ち止め、21年と22年に1回ずつ利上げすることになります。
もっとも、19年だけみても、17人の参加者のうち7人が追加利下げを想定。残り10人が据え置きを想定しており、そのうち5人は今回の利下げも望んでいませんでした。それだけFOMC内部の見方が分かれていたことを示しています。
更に興味深いのは、追加利下げを想定した参加者が2019年末までで7人だったのに対して、2020年末までで8人と、1人増えるだけです。今後2回以上の利下げを想定した参加者は皆無でした。もっと言えば、今回0.50%の利下げを主張したブラード総裁ですら、それ以上の利下げは望んでいないことになります。
逆に、1.75-2.00%より上を想定した参加者は2019年末までに5人(この5人は今回の利下げを望んでいなかった)、2020年末までに7人です。少なくとも2人(=7人-5人)は来年の利上げを想定していることになります。
今後の状況変化に要注意
「ドット・プロット」は参加者個々人の見解に過ぎませんが、全体として大幅な追加利下げは想定していないことになります。7月の会見でパウエル議長が述べた、(利下げは)「サイクル中盤での調整」であり、「予防的措置」だということでしょう。
もちろん、今後の状況次第で大幅な利下げが必要になる可能性はあり、注意深く見守る必要はありそうです。