■今後の見通し
1. 2019年12月期は増収増益予想、数量増と販売価格改定効果
サカタインクス<4633>の2019年12月期の連結業績予想は、売上高が2018年12月期比7.1%増の173,600百万円、営業利益が同17.4%増の6,000百万円、経常利益が同8.5%増の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.5%増の5,000百万円としている。なお2019年12月期から、タイの子会社(ETERNAL SAKATA INX)及びブラジルの子会社(クリエイティブ)を新規連結対象とする。想定為替レート(期中平均)は1米ドル=110円(2018年12月期実績は1米ドル=110円43銭)としている。数量増効果、新規連結効果、コストダウン効果等に加えて、販売価格改定効果の本格化を見込んでいる。
なお2019年12月期第2四半期累計の連結業績予想は、売上高が前年同期比7.7%増の85,000百万円、営業利益が同16.1%減の2,250百万円、経常利益が同15.3%減の3,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.3%減の2,000百万円としている。上期は昨年に引き続き原材料価格高騰の影響を受け、第2四半期累計ベースでは増収減益予想、そして下期は一部原材料価格の下落と販売価格改定効果により増収増益の会社計画である。
2. 2019年12月期上期が営業利益のボトムで下期の収益改善期待
半期別の売上高と営業利益の推移を見ると、売上高はやや下期の比率が高くなる傾向もあるが、数量増効果でおおむね順調に推移している。一方で営業利益は、2017年12月期上期から原材料価格高騰の影響を受け、さらに2018年12月期には米中貿易摩擦による制裁関税の影響も加わり、利益水準を切り下げた。
そして会社計画によると2019年12月期は、上期は依然として原材料価格が高い水準にあるため第2四半期累計が減益予想だが、下期には一部原材料価格の下落と販売価格改定効果の本格化を見込んでいる。半期ベースで見ると2019年12月期上期が営業利益のボトムとなりそうだ。下期の収益改善本格化が期待される。
3. セグメント別動向
2019年12月期通期のセグメント別予想(連結調整前、為替影響排除前、2018年12月期比)及び重点施策は以下のとおりである。なおブラジルの子会社クリエイティブを新規連結対象とすることに伴い、従来のセグメント名称である印刷インキ(北米)を印刷インキ(米州)に変更した。
印刷インキ・機材(日本)は、売上高が0.6%減の54,626百万円、営業利益が2.4%増の1,153百万円としている。拡販、コストダウン、販売価格改定効果等で増益予想である。重点施策のトータルソリューション提案に加えて、新聞・オフセット分野では高濃度・高演色性インキや高感度UVオフセットインキの拡販、パッケージ分野では植物由来成分含有ボタニカルインキシリーズの拡販を推進する。さらに地球環境問題を背景に紙袋の需要増加が今後予想されるため、新たな展開としてボタニカルインキシリーズの紙器用インキ「エコプラーダ」「エコピーノ」の拡販も推進する。
印刷インキ(アジア)は、売上高が19.5%増の38,430百万円、営業利益が45.7%増の2,227百万円としている。パッケージ分野を中心とする数量増効果、タイの子会社(ETERNAL SAKATA INX)の新規連結効果、販売価格改定効果等で増収増益予想である。パッケージ分野ではグローバル顧客向け高性能環境配慮型製品を拡充する。また重点施策として、高機能・高品質な地域密着型製品の開発・投入、地産地消の推進、ネットワークを生かした販売拡大、グループシナジーによる原材料コストの削減、未進出エリアへのビジネス拡大等を推進する。なおバングラデシュに新工場を建設するため、2019年1月に用地を取得した。従来はインドの子会社からパッケージ用インキを輸出していたが、需要の高まりに現地生産で対応する。2020年内の完工を予定している。
印刷インキ(米州)は、売上高が8.9%増の48,965百万円、営業利益が7.9%増の1,070百万円としている。高性能ラミネート用フレキソインキ、グラビアインキの新製品、高感度UV・EB硬化型インキ等の拡販を推進し、パッケージ分野を中心とする数量増効果、販売価格改定効果等で増収増益予想である。重点施策として、南米市場への積極展開、TPM活動推進による生産性向上・コストダウン等を推進する。なおブラジルのクリエイティブを連結対象とする。
印刷インキ(欧州)は、売上高が3.9%増の9,668百万円、営業利益が624百万円の赤字(2018年12月期は791百万円の赤字)としている。フランス、スペインを中心にグラビアインキ、UVフレキソインキ、UVオフセットインキ等の拡販を推進する。生産体制の再編に伴ってコストが重複発生しているが年内中の改善を進めるとともに、数量増効果等で赤字縮小を目指している。また、重点施策として販売体制強化、生産体制再編による効率化、東欧・中東・アフリカ等未進出エリアへのビジネス拡大、ブランド力強化等を推進する。
機能性材料は、売上高が11.8%増の13,624百万円、営業利益が10.1%減の1,098百万円としている。需要が好調に推移して増収だが、市場環境による製品ミックス変動や競争激化に伴う価格低下等の影響で減益予想としている。重点施策として、インクジェットインキではプリンターメーカーとの関係強化、グローバルな生産・販売体制の強化、産業用途への拡大、カラーフィルター用顔料分散液では高品質製品の市場投入、レジストメーカーとの関係強化、新規ディスプレイ用発光材料の開発、ディスプレイのフィルム化・IoT発展に貢献する新規材料群の研究、機能性コーティング剤ではエネルギー・光学・エレクトロニクス系コーティング分野への参入を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 2019年12月期は増収増益予想、数量増と販売価格改定効果
サカタインクス<4633>の2019年12月期の連結業績予想は、売上高が2018年12月期比7.1%増の173,600百万円、営業利益が同17.4%増の6,000百万円、経常利益が同8.5%増の7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.5%増の5,000百万円としている。なお2019年12月期から、タイの子会社(ETERNAL SAKATA INX)及びブラジルの子会社(クリエイティブ)を新規連結対象とする。想定為替レート(期中平均)は1米ドル=110円(2018年12月期実績は1米ドル=110円43銭)としている。数量増効果、新規連結効果、コストダウン効果等に加えて、販売価格改定効果の本格化を見込んでいる。
なお2019年12月期第2四半期累計の連結業績予想は、売上高が前年同期比7.7%増の85,000百万円、営業利益が同16.1%減の2,250百万円、経常利益が同15.3%減の3,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.3%減の2,000百万円としている。上期は昨年に引き続き原材料価格高騰の影響を受け、第2四半期累計ベースでは増収減益予想、そして下期は一部原材料価格の下落と販売価格改定効果により増収増益の会社計画である。
2. 2019年12月期上期が営業利益のボトムで下期の収益改善期待
半期別の売上高と営業利益の推移を見ると、売上高はやや下期の比率が高くなる傾向もあるが、数量増効果でおおむね順調に推移している。一方で営業利益は、2017年12月期上期から原材料価格高騰の影響を受け、さらに2018年12月期には米中貿易摩擦による制裁関税の影響も加わり、利益水準を切り下げた。
そして会社計画によると2019年12月期は、上期は依然として原材料価格が高い水準にあるため第2四半期累計が減益予想だが、下期には一部原材料価格の下落と販売価格改定効果の本格化を見込んでいる。半期ベースで見ると2019年12月期上期が営業利益のボトムとなりそうだ。下期の収益改善本格化が期待される。
3. セグメント別動向
2019年12月期通期のセグメント別予想(連結調整前、為替影響排除前、2018年12月期比)及び重点施策は以下のとおりである。なおブラジルの子会社クリエイティブを新規連結対象とすることに伴い、従来のセグメント名称である印刷インキ(北米)を印刷インキ(米州)に変更した。
印刷インキ・機材(日本)は、売上高が0.6%減の54,626百万円、営業利益が2.4%増の1,153百万円としている。拡販、コストダウン、販売価格改定効果等で増益予想である。重点施策のトータルソリューション提案に加えて、新聞・オフセット分野では高濃度・高演色性インキや高感度UVオフセットインキの拡販、パッケージ分野では植物由来成分含有ボタニカルインキシリーズの拡販を推進する。さらに地球環境問題を背景に紙袋の需要増加が今後予想されるため、新たな展開としてボタニカルインキシリーズの紙器用インキ「エコプラーダ」「エコピーノ」の拡販も推進する。
印刷インキ(アジア)は、売上高が19.5%増の38,430百万円、営業利益が45.7%増の2,227百万円としている。パッケージ分野を中心とする数量増効果、タイの子会社(ETERNAL SAKATA INX)の新規連結効果、販売価格改定効果等で増収増益予想である。パッケージ分野ではグローバル顧客向け高性能環境配慮型製品を拡充する。また重点施策として、高機能・高品質な地域密着型製品の開発・投入、地産地消の推進、ネットワークを生かした販売拡大、グループシナジーによる原材料コストの削減、未進出エリアへのビジネス拡大等を推進する。なおバングラデシュに新工場を建設するため、2019年1月に用地を取得した。従来はインドの子会社からパッケージ用インキを輸出していたが、需要の高まりに現地生産で対応する。2020年内の完工を予定している。
印刷インキ(米州)は、売上高が8.9%増の48,965百万円、営業利益が7.9%増の1,070百万円としている。高性能ラミネート用フレキソインキ、グラビアインキの新製品、高感度UV・EB硬化型インキ等の拡販を推進し、パッケージ分野を中心とする数量増効果、販売価格改定効果等で増収増益予想である。重点施策として、南米市場への積極展開、TPM活動推進による生産性向上・コストダウン等を推進する。なおブラジルのクリエイティブを連結対象とする。
印刷インキ(欧州)は、売上高が3.9%増の9,668百万円、営業利益が624百万円の赤字(2018年12月期は791百万円の赤字)としている。フランス、スペインを中心にグラビアインキ、UVフレキソインキ、UVオフセットインキ等の拡販を推進する。生産体制の再編に伴ってコストが重複発生しているが年内中の改善を進めるとともに、数量増効果等で赤字縮小を目指している。また、重点施策として販売体制強化、生産体制再編による効率化、東欧・中東・アフリカ等未進出エリアへのビジネス拡大、ブランド力強化等を推進する。
機能性材料は、売上高が11.8%増の13,624百万円、営業利益が10.1%減の1,098百万円としている。需要が好調に推移して増収だが、市場環境による製品ミックス変動や競争激化に伴う価格低下等の影響で減益予想としている。重点施策として、インクジェットインキではプリンターメーカーとの関係強化、グローバルな生産・販売体制の強化、産業用途への拡大、カラーフィルター用顔料分散液では高品質製品の市場投入、レジストメーカーとの関係強化、新規ディスプレイ用発光材料の開発、ディスプレイのフィルム化・IoT発展に貢献する新規材料群の研究、機能性コーティング剤ではエネルギー・光学・エレクトロニクス系コーティング分野への参入を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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