ドル円独自のものではなく、株式市場の動きやニュースのヘッドラインに振り回される一週間
■先週は、米中次官・閣僚級通商協議の進展期待が先行し、更には対中関税延長報道や暫定予算案に署名する可能性からドル円は一時、111円台をつける展開となりました。
しかし、トランプ大統領は国境壁建設費用に対する国家非常事態宣言が出たことや今後の米景気の行方が気になる結果となった小売売上高の9年ぶりのマイナスを背景に110円台ミドルまで下落する格好となりました。
■今週は、110円ミドルレベルの攻防戦を想定しています。
先週の動きを見る限り「米中通商協議進展」がひとつのキーワードになっています。
対中関税の期限が迫る中、お互いの妥協点の探りあいになっているようですが、実際は何一つ決まっていないように思えます。
ただ少なくてもこの関税問題においての影響は両国とも出始めていることは間違いなくありその結果、消費マインドの低下、物価下落といった負のスパイラルが始まっています。
■中国の株式市場は相変わらずの低調ぶりですが、米株式市場を見る限りそんな不安は一ミリも感じない現状です。
NYダウの週間足を見る限り8週連続の陽線になっています。
昨年10月から約3ヶ月で5000ドル下落しましたが、既に先週末現在で4000ドル戻す展開となっています。
つまり、今までの不安材料が全く無くなったような展開となっており、今後への期待感たっぷりの相場になっています。
果たしてこのまま米株式市場の勢いは止まらないまま史上最高値を狙うのか・・?というと相場は大半の想定はは反対に動くということを忘れてはいけないと考えています。
■既に米中通商協議の進展、そして合意は既に相場は織り込み済みで、むしろこのままズルズル協議が再延長することで、不安感のほうが先行し始めるのではないかとみています。
ニュースや報道等では「きわめて良好」といっているものの、問題となっている知的財産権や技術移転、通貨問題といったところが意とも簡単に解決は不可能だと思っています。
■今週も引き続き次官・閣僚級協議が再開するようですが、進展内容が一つも出ていな現状が今週も出るようであれば、進展から難航に切り替わり、相場も悲観し始めることで「売り優勢」の可能性もあります。
また、FRBの主要メンバーが講演等控えており、利上げサイクル休止報道が流れる中、各人がどのようなイメージを持っているのか、
特にクラリダ副議長のコメントには警戒したいです。経済指標としては21日の耐久財受注やPMI、中古住宅販売件数に注目したいです。
■最後にドル円のテクニカルです。
日足をみるとやはり、200日移動平均線(15日終値:111.28円)が意識されていたのがわかります。
今後も当面の大きな抵抗になりそうです。
下値は最近意識されていなかった50日移動平均線(15日終値:110.27円)や110円といった大台になりそうです。
一方、週間足でみると、陽線ではあるものの上髭の長いロウソク足になっているのが気がかりです。
今週はドル円独自のものではなく、株式市場の動きやニュースのヘッドラインに振り回される一週間になるのではないかとみています。