S&P 500月例レポート (2017年11月配信)
S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
かの人物を好きかどうかは別として、S&P 500指数と世界の市場は米大統領選後に20%上昇
市場参加者が11対11というスコアをあっさり受け入れたため、均衡を破るための副大統領の1票は必要ありませんでした。S&P 500指数の終値は、10月の22営業日の半分に当たる11日で最高値を更新しました。これは2013年5月以来のことで、月間での最高値更新が11日を上回ったのは、1930年以降でわずか6回です(1961年と1998年に、13日という月がありました)。月の半分というのも素晴らしいことですが、10月16日から20日までの週は、まさに完璧でした。この週には最高値が毎日更新されたのです。これは、同指数の1928年以降の歴史における18回目の快挙で、1998年3月以来のことです。
上昇の理由に関する異論はほとんどなく、企業収益がもっぱらの理由とされました。S&P 500指数構成企業のうち、2017年第3四半期の決算発表が終了したのは、現時点で時価総額の69.2%に相当する銘柄(構成銘柄数の52.4%)で、そのうちの74%が市場予想を上回る業績を上げています(過去の平均は67%)。また、第3四半期は過去最高益の更新が期待されています。
さらに重要なこととして、売上高は65%の企業で予想を上回って前年同期比5.6%増が見込まれており、過去最高を更新する状況です。経費削減や自社株買いだけで1株当たり利益を増やし続けることはできないため、現在の売上高の伸びは重要な要素となります。
小売りセクターの決算はまだ発表されておらず、予想では、2017年第4四半期の最高益の更新とともに、年末商戦での支出の増加が見込まれますが(そしてそのような兆候も次々と現れていますが)、継続的な売上高の増加に感謝するには、感謝祭の頃までもうしばらく待つ必要があるでしょう。
「好調な決算発表シーズン以上に相場を盛り上げるものはない」とはいうものの、10月は他にもさまざまなイベントや問題、ショーやドラマが繰り広げられました。予算決議案が可決され、税制改革法案をめぐる審議が本格化する中、市場は政治的なイベントを注視して消化しましたが、大きく反応することはありませんでした。米環境保護局(EPA)は、オバマ政権が進めたクリーンパワープラン(裁判所により差し止められ、発効していません)の撤廃案を発表し、連邦通信委員会(FCC)は、米国のテレビ局や新聞社の所有規制に関して2017年11月に多くの制約や管理を撤廃する大幅な変更を行うと報道され、医療保険制度改革法(ACA、通称オバマケア)の見直しをめぐっては、トランプ大統領が補助金の停止を発表し、議会が救済案を模索しています。
米連邦公開市場委員会(FOMC)がインフレの気配を待つ一方で、スペインのカタルーニャ州では独立に向けた動きが強まりました。他にも幾つかの地域が同様の状況にあり、地図が塗り替えられる、あるいは各地で流血騒ぎ(通貨や債務は言うまでもなく)が起きる可能性があることから、その機運が広がるかどうかに市場の関心が集まりました。各国での選挙は一部の現政権サイドにとって望ましい結果となり、日本の安倍首相と中国の習近平国家主席には、勝利に加え、権力の強化と任期の延長がもたらされました。オーストリアでは31歳のセバスティアン・クルツ氏が首相に選出され、政権が右寄りとなりました。
興味深かったのは(そして潜在的に影響が予想されるのは)、内輪もめが続く共和党に関する名称変更案です。2名の共和党上院議員(フレーク氏とコーカー氏)が再選を目指さないことを表明するとともに、トランプ大統領を激しく非難しました(ジョージ・ブッシュ元大統領や現職のジョン・マケイン上院議員に続くものです)。議会とトランプ政権が折り合いをつけるに連れて、去る人が増える可能性があります。
そこで重要になるのは、来年の中間選挙でトランプ大統領に近い候補が選出されるか、それとも民主党か、という問題です。市場の統計によると、昨年11月の大統領選以降、S&P 500指数とグローバル市場はいずれも20%上昇し、S&P 500指数は12ヵ月中11ヵ月、グローバル市場は12ヵ月すべてでプラスになっています。このような状況の下で出てきた党名の変更案は(ただし、バーで飲んでいる中立的な立場のトレーダーたちの提案ですが)、「俺の党だ。嫌なら出て行け」というものです。
●10月のまとめ
好調な業績が相場を支え、S&P 500指数の終値は、10月の22営業日中11日で最高値を更新しました。年初来では、210営業日中の50日で最高値を更新しています。
10月のS&P 500指数は2.22%(配当込みのトータルリターンは2.33%)の上昇となり、7ヵ月連続のプラスでした(2016年11月以降の12ヵ月間では11ヵ月でプラスとなり、唯一0.04%のマイナスだった2017年3月も、配当込みのトータルリターンは0.12%のプラスとなるため、配当込みでみると12ヵ月全てがプラス。一方、グローバル市場は12ヵ月全てでプラス)。最高値の更新は11回(前月は9回)、3ヵ月間の上昇率は4.25%(トータルリターンは4.76%)、年初来では15.03%(同17.91%)、過去1年では21.12%(同23.63%)の上昇でした。
11セクター中7セクターが値上がり(前月は8セクター)となりました。電気通信セクターは値下がりが続き、10月は8.69%下落(AT&Tの14.1%下落が影響)で、年初来でも16.05%値下がりしており、騰落率は最低となっています(AT&Tは20.9%下落)。最も好調だったのは情報技術セクターで、10月は7.67%、年初来では35.69%の上昇となり、騰落率首位となっています(アップルが年初来で46.0%、アルファベットが30.4%と31.7%、マイクロソフトが33.9%それぞれ上昇していることが寄与。一般消費財銘柄のアマゾンは47.4%の上昇)。
2016年11月の大統領選以降、S&P 500指数は20.36%(配当込みのトータルリターンは22.73%)上昇し、最高値を58回更新しています(2017年は年初来で50回、2016年は18回、2015年は10回、2014年は52回)。
10月は、グローバル市場全体が好調で、月間での上昇を12ヵ月連続に伸ばしました。10月のグローバル市場は1.97%(年初来で17.82%)の上昇となり、内訳は、新興国市場が2.53%(同27.19%)、先進国市場は1.90%(同16.85%)の上昇でした。
●金融市場の動き
10月のS&P 500指数は、9月末の2519.36(同月の上昇率は1.93%)から2.22%上昇し(配当込みのトータルリターンは2.33%)、2575.26で取引を終えました。同指数の3ヵ月間の上昇率は4.25%(同4.76%)、年初来の上昇率は15.03%(同16.91%)、また2016年11月8日の大統領選挙日の終値2139.56からの上昇率は20.36%(同22.73%)となっています。S&P 500指数は10月中に終値での最高値を11回更新しました(直近の高値更新は2017年10月27日で2581.07)。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は9月末の22405.09ドルから4.34%上昇し、23377.24ドルで10月の取引を終えました。年初来の上昇率(昨年末の終値は19762.60ドル)は18.29%となっており、10月中に12回終値での最高値を更新しました(直近の高値更新は2017年10月24日で23441.86ドル)。
原油価格は9月末の51.64ドル(8月末は47.07ドル)から5.4%上昇して54.44ドルで10月を終えました。2016年末の53.89ドルからの上昇率は1.0%となっています。米国10年国債の10月末の利回りは2.38%と、9月末の2.34%から上昇しました。月中には2016年12月末の2.45%を若干上回る水準で取引される場面もありました。金価格は10月に0.8%下落し、1トロイオンス1271.80ドルで取引を終えました。9月末の1282.50ドルから下落しましたが、2016年12月末の1152.00ドルからは10.4%上昇しています。
英ポンドは9月末の1ポンド=1.3399ドルから1.3285ドルに下落し(2016年12月末は1.2345ドル)、ユーロも9月末の1ユーロ=1.1814ドルから1.1651ドルに下落しました(同1.0520ドル)。円は9月末の1ドル=112.50円から113.70円に下落しました(同117.00円)。
VIX恐怖指数は月中の最高は13.20、最低は9.11となり、最終的に9月末の9.51から10.15に上昇して月を終えました(2016年12月末は14.04)。ボトムアップベースで算出したS&P 500指数の1年後の目標値は2755で(現在値から7.0%上昇)、またNYダウは2万5104ドル(同7.4%上昇)と、史上初の2万5000ドルの大台突破を目指しています。
●11月の見通し
2017年11月1日か2日には議会が税制改革法案を一部公表する見通しです。また、11月2日にはトランプ大統領による連邦準備制度理事会(FRB)の議長人事の発表が見込まれています。
企業収益は売上増を背景に堅調でしたが、小売業の業績は実店舗販売とネット通販で明暗が分かれる結果となるかもしれません。年末商戦はAmazonとWal-Martの一騎打ちとなる可能性もあります。注目すべき指標の1つが売上高全体の伸びですが、実店舗からネット通販へと消費者の購買行動がシフトしていることも重要です。
短期的に市場に影響を及ぼす不確定要因としては北朝鮮情勢、モラー特別検察官によるロシア疑惑捜査とそれに対する反応、そしてスペインのカタルーニャ州を発端とした欧州各地での独立をめぐる動きの広がりです。
過去を振り返ると、11月は59.6%の確率で月間騰落率がプラスとなっており、その平均上昇率は3.95%、また平均下落率は4.25%で、全体の平均騰落率はプラス0.68%となっています。
今後のFOMCスケジュールは、2017年12月12日-13日*、2018年1月30日-31日、3月20日-21日*、5月1日-2日、6月12日-13日*、7月31日-8月1日、9月25日-26日*、11月7日-8日、12月18日-19日*(*は記者会見が行われる)となっています。
●世界の動き
カタルーニャ州がスペインからの独立を宣言しました。スペイン政府はラホイ首相に同自治州を直接統治する権限を付与、これを受けて首相はカタルーニャ州の州議会を解散し、2017年12月21日に新たに州議会選挙を行うことを宣言しました。前カタルーニャ州首相のカルレス・プチデモン氏はベルギーに出国しました。
それ以外の選挙を見ると、オーストリアの総選挙では中道右派と極右政党が勝利し、31歳のクルツ氏が新首相に就任する見通しです。安倍首相は10月22日の総選挙で快勝し、衆議院で絶対安定多数(衆議院全体の3分の2)を確保しました。同首相の勝利については不戦勝のようなものだとの見方も一部にありました。
中国共産党は(5年に1度の党大会で)習近平氏が国家主席として2期目(1期は5年間)を担うこと、また党規約に習氏の名前を盛り込むことを承認しました(習氏の名前が党規約に明記されることは、同氏への権力集中と長期政権への布石が打たれたことを意味します)。
ベネズエラ政府は債務不履行に陥ったものの、猶予期間中に5億8600万ドルの返済を実施しました。市場関係者は引き続き同国の債務残高とその返済能力に対して慎重な見方をしています。
●米国政治
トランプ大統領はティラーソン国務長官が「時間を無駄にしている」と発言し、北朝鮮との対話を拒否しました。メディアが大統領と国務長官が以前対立していたと報じていたため、10月4日にティラーソン氏は「辞任は考えたこともない」と釈明せざるを得なくなりました。トランプ大統領はイランが核合意を順守しているとは認められないとし、議会に「検討」を指示して対応を委ねました。大統領はプエルトリコを訪問してハリケーンによる被害状況を視察し、人道支援を約束しました。また、かつての財政破綻問題の解決の必要性についても言及しました(プエルトリコの債務残高は740億ドルで、1人当たり約2万1700ドル。米国の州政府の中ではマサチューセッツ州の債務残高が現時点で最も多く、1人当たり約1万1100ドル。全州政府の債務残高の平均は1人当たり3600ドル)。
EPAはオバマ前大統領が打ち出したクリーンパワープラン(裁判所により差し止められ、発効していません)の撤廃案を発表しました。FCCは2017年11月に、米国のテレビ局や新聞社の所有規制に関して大幅な規制緩和が実施されると報じられました。議会下院は上院可決済みの予算決議案を可決し、両院そろって所得税改革に向けて動き出しました。税制改革法案の詳細は11月初旬にも公表される見通しです。上院は消費者に銀行やカード会社を訴えることを認める規制を撤廃しました(賛否が50対50と拮抗しましたが、ペンス副大統領が決定票を投じ51対50で可決)。これは議会との軋轢が続いていたトランプ政権にとっては重要な勝利です。
米国議会は保険加入申請期間の終了に伴い、トランプ大統領が支払い停止を検討していたオバマケアに基づく補助金に関して、その復活に向けて作業を進めてきました。超党派での合意が成立するかに見えましたが、大統領の支持が得られず、議会は調整作業を続けています。
共和党の内輪もめも続いており、2名の上院議員(一貫してトランプ大統領を批判してきたフレーク氏と一時はトランプ氏を支持していたコーカー氏)は、2018年の選挙への不出馬を表明するとともに、大統領を激しく非難しました(ジョージ・ブッシュ元大統領や現職のマケイン上院議員に続くものです)。議会とトランプ政権が折り合いをつけるに連れて、去る人が増える可能性があります。そして、来年の中間選挙では、トランプ大統領に近い候補が選出されるか、それとも民主党か、という問題にも注目が集まるでしょう。
モラー特別検察官(元FBI長官)は昨年11月の大統領選でのロシア介入疑惑に絡み、トランプ陣営の元選挙対策本部長ポール・マナフォート氏を起訴しました。ロシア疑惑に関する捜査開始以降で初めての起訴となります。
●各国中央銀行の政策行動
次期FRB議長をめぐる憶測が10月も続きました(イエレン議長は2018年2月3日に任期満了を迎えますが、FRB理事会メンバーとしての任期は2024年1月31日まで継続されます)。本稿執筆時点の候補者は4名で、そのうちイエレンFRB議長、パウエル現FRB理事(最有力候補)、ケビン・ウォルシュ元FRB理事の3人はいずれもFRBメンバーとしての経験を持ち、金融政策に対してはそれぞれ異なるものの、比較的近い見解をもつ(利上げのペースに関して)とみられています。そのほかに、スタンフォード大学の経済学者ジョン・テイラー氏も候補者として名前が挙がっています。トランプ大統領の現在の経済担当大統領補佐官(および元ゴールドマン・サックス社長)であるゲイリー・コーン氏は候補者リストから外れたようです。
市場はFRBの2つの主な目標に関する候補者の見解に注目するでしょう。金利については、4人の候補者は揃って上昇すると見込んでいますが、想定される上昇ペースはそれぞれの候補者で異なっています。また、4兆5000億ドルに膨らんだバランスシートの縮小については、報道されている情報に基づけば、候補者の見解にはかなりばらつきがあります。
8月のJOLT(求人労働移動調査)によれば、求人件数は608万2000件で予想の616万件を小幅に下回ったものの、高い水準となりました。地区連銀経済報告(ベージュブック)は地域的な労働力不足、とりわけ熟練労働者が足りない状況が続いており、労働者を確保するためにボーナスが支給されていることを指摘しています。
FOMCの9月19-20日開催分(ハリケーン「ハービー」襲来後でしたが、雇用統計が発表される前で、会合後には記者会見が開かれました)の議事録が公表され、新しい情報はありませんでしたが、低水準のインフレ率と労働市場のタイト化に対する懸念が示されたことから、12月12-13日開催予定の会合で追加利上げ(予想は0.25%)が発表されるという見方が強まりました。
欧州中央銀行(ECB)の政策理事会は資産購入プログラムを(2017年12月から)2018年9月まで延長し、2018年1月からは購入額を月額600億ユーロから300億ユーロ(現在は約350億ドル)に縮小することを決めました。この資産購入プログラムは延長期限以降も購入額を縮小して続けられる可能性があります。国際通貨基金(IMF)は中国の2017年成長率見通しを従来の6.7%から6.8%に引き上げ、2018年の成長率見通しをこれまでの6.4%から6.5%に上方修正しました。日銀は金融政策決定会合で予想通り、金利とこれまでの政策を据え置きました。
●グローバル経済
ユーロ圏の8月の失業率は3ヵ月連続で横ばいの9.1%となりました。ドイツの8月の鉱工業生産は前月比0.7%増の予想を上回る同2.6%増となり、前年同月比では4.7%増となりました。英国の9月のインフレ率は3.0%と過去5年間の最高を記録し、イングランド銀行が2017年11月に政策金利(現在0.25%)を引き上げるとの観測が強まりました。英国の2017年第3四半期のGDP成長率は前期比0.4%、前年同期比では1.5%でした。日本の9月の卸売物価は前年同月比3.0%上昇しました。中国の2017年第3四半期GDP成長率は前年同期比6.8%となり、政府目標である6.5%を上回りました。
米国の経済指標関連では、9月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)が53.1となり、予想の53.0を僅かに上回りました(8月は52.8)。サプライ管理協会(ISM)製造業景況指数は予想の58.0を大幅に上回る60.8となりました(8月は58.8)。9月のサービス業PMIは55.3と、8月の56.0から低下しました。10月のマークイット総合PMIの速報値は予想の54.8を上回る55.7となり(9月は54.6)、同製造業PMIの速報値は9月の数字から2.89%上昇、同サービス業PMIの速報値は同1.5%上昇しました。9月のISM非製造業景況指数は59.8と、予想の55.5と8月の55.3の両方を上回りました。
9月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%上昇して予想と一致し、前年同月比では2.6%上昇しました。9月の消費者物価指数(CPI)は予想の同月比0.6%上昇に対して0.5%上昇し、前年同月比では2.2%上昇となりました。食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.1%の上昇となり、前年同月比では1.7%上昇しました。8月の建設支出は予想の0.3%増を上回る0.5%増、前年同月比では2.5%増となり、7月速報値の0.6%減は1.2%減に下方修正されました。
8月の貿易収支は輸出が0.4%増、輸入は0.1%減となり、その結果、424億ドルの赤字となりました(予想通り)。9月の財の貿易収支は輸出が0.7%増、輸入が0.9%増となり、641億ドルの赤字となりました。9月の輸入物価指数は予想の前月比0.5%上昇に対して0.7%上昇し、前年同月比では2.7%の上昇となりました。輸出物価指数は前月比0.8%上昇して予想の0.4%上昇を上回り、前年同月比では2.9%上昇しました。
9月の自動車販売台数は予想を上回り、Ford(F、発表週に2.4%高)は前月比8.7%増(予想は2.3%増)、General Motors(GM、発表週に11.2%高)は前月比11.9%増でした。自動車販売台数はハリケーンの影響を受けた地域の消費者による自動車の買い替え需要により、増加しました。
8月の製造業受注は予想の前月比1.0%増に対して1.2%増となりました(7月は3.3%減)。8月の卸売売上高は前月比1.0%増の予想に対して0.9%増でした。9月の耐久財受注は前月比2.2%増となって予想の1.0%増を上回り、前年同月比では8.3%増となりました。9月の小売在庫は自動車在庫の取り崩しによる影響を受けて、前月比0.6%増の予想に反して1.0%減少しました。9月の卸売在庫は前月比0.8%増の予想に対して0.3%増となりました。
9月の鉱工業生産は前月比0.3%増となり0.2%増の予想を上回り、製造業生産指数は前月比0.4%上昇の予想に対して0.1%上昇となりました。設備稼働率は8月の75.8%から上昇して76.0%となりました。9月の個人所得は前月比0.4%増で予想と一致し、個人消費支出は前月比0.9%増の予想に対して同1.0%増となりました。9月のPCE価格指数は予想通り前月比0.4%上昇し、前年同月比では1.6%上昇しました。9月の景気先行指数は予想の前月比0.1%上昇に対して0.2%低下しました。ミシガン大学消費者信頼感指数は9月の101.1から10月は100.7に低下し、予想の101.0を下回りました。10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は9月の120.6から125.9に上昇して、121.0の予想を大幅に上回りました。
2017年第3四半期のGDP成長率の速報値(11月29日に改定値、12月21日に確報値が発表)は前期比年率3.0%となり、同2.5%の予想を上回りました。GDP成長率はハリケーンの悪影響にもかかわらず高い水準を記録し、2014年以降で初めて2四半期連続で3%以上を記録しました(2017年第2四半期は3.1%)。
●住宅市場
10月のNAHB住宅市場指数は68となりました。これに対して予想は前月と同じ64でした。9月の新築住宅着工件数は113万件(年率換算)と、予想の117万件に届きませんでした。住宅着工許可件数も同様に予想の124万件を下回り、121万件となりました。8月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は前月比0.4%上昇(予想は0.6%上昇)、前年同月比では5.9%上昇となりました。
米連邦住宅金融局(FHFA)発表の8月の住宅価格指数は前月比では予想の0.4%上昇を上回って0.7%上昇となり、前年同月比では6.6%上昇しました。9月の中古住宅販売件数は540万戸(年率換算)と、予想の530万戸を上回り、前月比では0.7%増、前年同月比では1.5%減となりました。9月の新築住宅販売件数は66万7000戸(年率換算)と、減少予想の55万5000戸を上回りました。8月は56万1000戸でした。マイナス材料は、9月の中古住宅販売仮契約指数が予想の前月比0.4%上昇に対して横ばい、前年同月比では3.5%低下したことです。
●雇用関連
9月のADP民間雇用者数は、前月比14万人増の予想に対して13万5000人増となり、8月は当初の23万7000人増から22万8000人増に下方修正されました。
8月の雇用統計は非農業部門就業者数が予想の18万人増に対して15万6000人増と、失望的な結果となりました。9月は10万人増の予想に対して3万3000人の減少となりましたが、市場(の大半)はこれについては問題ないと受け止めました。2010年9月以来となる新規就業者数減少のきっかけとなったのはハリケーンです。ウォール街はこれを一時的要因と捉えており、いずれ改善すると見込んでいます。
非農業部門就業者数は予想を下回ったものの、雇用統計には幾つか明るいデータもあります。失業率は8月の4.4%から4.2%に低下し、2001年2月以来の低水準となりました。平均時給は26.55ドルと、前月比では予想の0.3%増に対して0.5%増、前年同月比では2.9%増となりました(賃金上昇圧力の兆候がやや見られる背景には労働市場の逼迫だけでなく、低賃金労働者不足の可能性もあります)。週平均労働時間は34.4時間で前月と変わらず、労働参加率は8月の62.8%から63.1%に上昇しました。2017年第3四半期の雇用コスト指数は、予想通り、前期比で0.7%上昇し、前年同期比では2.6%の上昇となりました。
●M&A関連
食品サービスのAramark(ARMK)は、リネンサプライおよびサービス企業Avendra〔Marriott(MAR)が所有〕ならびにユニフォームレンタルおよびリネンサプライ企業AmeriPrideの競合2社をそれぞれ13億ドルと10億ドルで買収すると発表しました。
保険会社Harford Financial Services(HIG)はAetna Group(AET)から生命保険および損害保険部門を14億5000万ドルで買収すると発表しました。報道によると、ドラッグストア・チェーンのCVS Health(CVS)は、その医療保険会社Aetna(AET)に対する買収交渉を進めており、買収価格は660億ドルとなる模様です。
住宅建設大手Lennar(LEN)は同業のCalAtlantics Group(CAA)を現金と57億ドルの株式交換を通じて総額93億ドル(債務を含む)で買収すると発表しました。
ソフトウエア・ソリューションのRockwell Automotive(ROK)はEmerson Electric(EMR)による270億ドルの買収提案を拒否したと発表しました。百貨店大手Nordstrom(JWN)は非上場化の計画を中断しました。市場が注目していた日用品メーカーProtector & Gamble(PG)の株主総会では、投資家ネルソン・ペルツ氏の取締役就任は否決されました。
●企業業績
企業業績に対するウォール街の期待は高く、業績が伸びるだけでなく過去最高を付けると予想されていました。これは予想を下回る結果になれば売りにつながることを意味します ― そして市場が過去最高を更新したことから、この期待は(全般的に)満たされたと判断できます。
本稿執筆時点で、S&P 500指数の時価総額の69.2%に相当する銘柄(構成銘柄数の52.4%)が決算を発表し、この段階で利益は過去最高を記録すると思われます。さらに重要なこととして、売上高も過去最高を記録しそうに見えます(経費削減や自社株買いだけでは1株当たり利益の増加は持続しません)。利益はハリケーンの影響を受け、損保会社は保険金支払額を実際に費用として計上し(そして計上する予定)、また将来の費用のための引当金を計上しました(したがってキャッシュフローは2017年第4四半期決算に反映されるでしょう)。決算を発表した317銘柄のうち利益が予想を上回ったのは233銘柄と、73.5%に相当します(長期平均は67%)。また現時点で、2017年第4四半期の利益予想の下方修正は僅かで、再び好決算(ならびに過去最高益)となることがうかがわれ、2017年は過去最高益になると見込まれるものの、PERは20.5倍です。
2018年に関しては(予想PERは17.8倍)、15.0%の増益が見込まれており、極めて好調です(予想を盲信するのであれば)。大きな期待を抱くことが素晴らしいのは今に始まったことではありませんが、税制改革が実施される可能性がある点を踏まえると、この予想が実現する可能性はあるでしょう。
売上高に関しては、結果はさらに良好で(小売りセクターはまだ決算発表を終えていませんが)、314銘柄のうち予想を上回ったのは203銘柄と、64.6%に相当し、売上高は前年同期比で5.6%増と、四半期ベースで過去最高となる見込みです。企業は経費削減や自社株買いを通じて最終の1株当たり利益を増やせることは実証しましたが、1株当たり利益を増やすためにはある時点で売上高を増やす必要に迫られます(利益を押し上げるために買収する場合は別です― シナジー効果を戻さないように)。
●個別銘柄
小売り大手のWal-Mart(WMT)は年末商戦に備えて自社サイトを一新したほか、オンラインで購入した食料品の受け取り場所を1000ヵ所増やすことと、総額200億ドルの自社株買いを実施することを発表しました。年末商戦を前にWal-Mart対Amazon(AMZN)の対決の様相がみられ、Wal-Martは33億ドルで買収したJet.comの活用や新店舗方針で対抗姿勢を見せています。小売業界全体としては、両社の攻防も売り上げの伸びにはつながらず、むしろ両社と同じ水準では競争に加われない小規模企業からのシェアの奪い合いになる可能性が懸念されます。
General Electric(GE)のJohn Flannery新CEO(前CEOはJeff Immelt氏)はビジネスモデルの転換を目指しており、幹部数人を入れ替えました。第3四半期の利益は予想を下回り、利益見通しを下方修正したことに加え、総額200億ドルの資産を売却し、10億ドルのコスト削減を行う意向を明らかにしました。株価は年初来で24.6%下落しています。
医薬品メーカーのPfizer(PFE)は、2017年11月にコンシューマー・ヘルスケア事業を売りに出す意向を明らかにし、売却額は150億ドル程度になると推定されます。
銀行大手のCitigroup(C)は、2008年の金融危機に遡る旧Lehman Brothersの資産17億ドルを同社の管財人に返済しました。自動車メーカーのFord(F)のCEOは、総額160億ドルのコスト削減を実施し、今後はトラック、SUV、電気自動車に注力する計画を明らかにしました。ストリーミング配信企業のNetflix(NFLX)は、視聴料を値上げし、複数のプロジェクトの財源として総額16億ドルの社債を発行することを発表しました。
通信大手Verizon(VZ)傘下のYahooは、2013年の情報流出で、2016年に発表した10億人ではなく、30億人に上る全ユーザーが被害を受けていたことを明らかにしました。
宅配サービスを手掛けるUPS(UPS)は、年内に宅配料を4.9%値上げすると発表しました。同業のFedEx(FDX)も先月値上げを発表しました。保険会社のAnthem(ANTM)は、2020年に薬剤給付管理部門(IngenioRx)を設立し、Express Scripts Holdings(ESRX)との関係を解消する意向を明らかにしました。
通信大手のAT&T(T)は、DIRECTVの契約者数が減少しており、有線通信契約からケーブル契約への「無線化」の流れが続いていることを明らかにしました。同社の株価は10月に14.1%下落し、年初来では20.9%の下落となっています。メキシコ料理チェーンのChipotle Mexican Grill(CMG)は、利益が予想を下回り、株価は10月に11.7%下落しました。年初来では27.9%の下落となっています。ヘルスケアサービスを提供するAcadia Healthcare(ACHC)は、利益が予想を下回ったことを受けて株価は10月に34.3%下落し、年初来の上昇分が帳消しになりました(年初来で5.3%の下落)。
●IPO市場
データセンターサービスを提供するSwitch(SWCH)は、14~16ドルというIPO価格の予想レンジに対して17ドルで上場しました。一時24.90ドルまで上昇しましたが、IPO価格から12.5%高の19.13ドルで10月を終えました(最安値は18.51ドル)。
IPO銘柄は10月に大きく変動しました。ストリーミングサービスを提供するRoku(ROKU)は、9月にIPO価格14ドルで上場した後、9月最終週には一時29.80ドルまで上昇しましたが、10月は23.2%安の20.38ドルで月の取引を終えました。6月にIPO価格10ドルで上場した(予想レンジの15~17ドルを下回る)食品配送サービスのBlue Apron(APRN)は、約5000人の従業員のうち300人を削減すると発表し、4.77ドルで10月を終えました。月間の下落率は12.5%、IPO価格からは52.3%下落しています。
●その他
全米小売業協会(NRF)は、今年の年末商戦の小売売上高は前年比3.6~4%増加し(過去5年間の平均は同3.5%増)、同期間中に小売企業各社が雇用する臨時従業員数は前年の57万5000人から減少して50万~55万人になるとの見通しを示しました。
著名投資家のジョージ・ソロス氏(87歳)は、180億ドルの資産を自身が主催する慈善団体のOpen Society Foundationに移管しました。
ビットコインは6400ドルを上回り、年初来で500%以上上昇しています。間近に迫る分裂(「ハードフォーク」と呼ばれています)に伴い、新しいコインが誕生する予定です。
米国の2017会計年度(2016年10月~2017年9月)の財政収支は6660億ドルの赤字(過去6番目の赤字幅)となりました。歳入が3兆3000億ドル、歳出は4兆ドルでした。米国の9月の貯蓄率は3.1%となり、8月の3.6%から低下して10年ぶりの低水準に落ち込みました(2015年は6.3%)。
●利回り、金利、コモディティ
ECBが量的緩和の縮小(および期間の延長)を決め、米国では12月(12-13日にFOMC開催)の利上げが示唆され、ウォール街(特に為替トレーダー)がトランプ大統領による次期FRB議長の指名を見守る中、米国の金利は10月に上昇しました。米国10年国債の10月末の利回りは2.38%となり、前月末の2.34%から上昇しました。月中には、一時2016年末の2.45%をわずかに上回る場面もありました。米国30年国債の10月末の利回りは2.87%と、前月末の2.86%から上昇しました(2016年末は3.07%)。
外国為替市場では、ユーロは9月末の1ユーロ=1.1814ドルから1.1651ドルに下落し(同1.0520ドル)、英ポンドは9月末の1ポンド=1.3399ドルから1.3285ドルに下落しました(同1.2345ドル)。円は9月末の1ドル=112.50円から113.70円に下落し(同117.00円)、人民元は9月末の1ドル=6.6366元から6.6355元に上昇しました(同6.9448元)。
金価格は1トロイオンス1271.80ドルで取引を終え、9月末の1282.50ドルから下落しました(同1152.00ドル)。原油価格はボックス圏で推移しましたが、9月末の1バレル=51.64ドルから54.44ドル(過去1年間の取引レンジは43ドル~58ドル)に上昇して10月を終えました(2016年末は53.89ドル)。米国のガソリン価格(全等級)は、10月末は1ガロン=2.602ドルと、9月末の2.701ドルから下落しました(同2.419 ドル)。
VIX恐怖指数は月中の最高は13.20、最低は9.11となり、最終的に9月末の9.51から10.15に上昇して月を終えました(同14.04、2016年11月8日の米大統領選直前は23)。
●配当
10月に支払われた配当総額(落ち日ベース)は前年同月比で10.33%増加し、1-10月累計では前年同期比7.42%増となっています。10月の平均増配率は11.01%で、9月の8.78%から上昇しました。なお、8月は銀行が牽引して13.78%、7月は16.62%でした。1-10月累計の平均増配率は11.64%となり、1-9月累計の11.73%から低下しました(1-8月累計は11.89%)。今年の残り2ヵ月を考えると、2017年の配当総額は2016年を上回って過去最高を更新する見通しで、前年比伸び率も2016年の5.44%増から加速しており、2017年は7%を上回る伸びが見込まれます。
現時点において、ワシントンの話題の中心は所得税制改革と利益還流であり(同時または個別)、2017年全体(または一部)に遡及的効果をもたらす可能性もありますが、2017年の配当総額に大きな影響が及ぶことはないと思われます。
●グローバル市場
グローバル市場は10月も上昇が続き、力強いパフォーマンスを上げ、月間での上昇を12ヵ月連続に伸ばしました。グローバル市場が月間で下落したのは、1.99%下落した2016年10月が最後となっています(トランプ大統領は就任以降、グローバル市場の下落を目にしていません)。10月は先進国、新興国ともに同様のパフォーマンスとなり、米国市場がグローバル総合指数を若干上回りました(米国市場はグローバル市場の50.48%を構成)。
グローバル市場は10月に1.97%上昇し、上昇率は9月から変わらなかったものの、8月の0.17%上昇(過去1年間でグローバル市場が下落に最も近づいた月)からは拡大しました。48の市場のうち30の市場で騰落率はプラスとなり、9月の31市場を下回りました(8月は30市場)。米国市場は9月と同様に2.07%上昇した一方、米国を除くグローバル市場は1.87%上昇しました。
過去3ヵ月間では、グローバル市場が4.15%上昇、米国市場が4.36%上昇、米国を除くグローバル市場が3.93%上昇となっています。ただし、年初来では、グローバル市場が17.82%上昇した一方、米国市場は14.67%の上昇にとどまり、米国を除くグローバル市場は21.22%上昇と、3ヵ月以前の米国市場の出遅れが明確になっています。2016年11月8日の米大統領選以降では(間もなく就任1周年)、米国を除くグローバル市場が21.66%上昇と、米国市場の20.93%上昇を若干アウトパフォームしています。
パフォーマンスの違いは小さいものの、大統領選から2016年年末にかけては米国市場がアウトパフォームし、グローバル市場の上昇分の89%を占めた一方、年初来での米国市場の寄与は41%まで縮小しています(大統領選以降ではグローバル市場の上昇分の47%に寄与)。長期的にみると、過去3年間ではグローバル市場が19.57%上昇した一方、米国市場は27.12%上昇し、米国市場を除くグローバル市場は12.19%上昇と、米国市場がなお上昇分の多くを占めています。
グローバル総合指数のセクターのパフォーマンスをみると、引き続きリターンには大きなばらつきが見られたものの、11セクター中9セクターで騰落率がプラスとなり、9月の7セクター、8月の6セクターを上回りました。
電気通信サービスセクターが2.70%下落で騰落率最下位となりましたが、同セクターは年初来では0.48%上昇と、プラス圏を維持しています。ヘルスケアセクターも0.88%下落しましたが、年初来では17.49%上昇しています。
エネルギーセクターは(原油価格の上昇が小幅にとどまる中でも)9月に8.08%反発した後、10月も0.69%上昇しましたが、年初来では2.43%の下落(年初来で下落している唯一のセクター)と、騰落率最下位にとどまっています。
生活必需品セクターは、10月は0.15%と小幅に上昇し、年初来では10.04%の上昇、また、一般消費財セクターは、10月は1.72%上昇し、年初来では16.88%の上昇となっています。情報技術セクターは上昇基調を維持し、6.78%上昇で騰落率トップとなりました。同セクターは年初来では38.23%、過去3年間では59.62%上昇しています(全セクターで最高)。金融セクターは金利上昇に伴い1.40%上昇しましたが、年初来では15.96%上昇と、なお平均を下回っています。
新興国市場は引き続き変動が大きかったものの、9月の0.73%の下落の後(8月は2.78%上昇)、10月は2.53%上昇し、先進国市場をアウトパフォームしました。23の市場のうち15市場で騰落率がプラスとなり、9月の11市場から増加しましたが、8月の17市場は下回りました。新興国市場は過去3ヵ月間では4.62%、年初来では27.19%、過去1年間でも21.19%上昇しています。また、以前の下落から回復が進む中、過去2年間では30.92%、過去3年間でも9.37%上昇しています。
国別では、インドが7.31%上昇で騰落率トップとなり、年初来でも37.23%上昇しました。騰落率2位は5.46%上昇したペルーで、同市場は年初来では30.01%上昇しています。3位は5.45%上昇した台湾で、年初来では26.50%の上昇となっています。
一方、コロンビアが8.46%下落で騰落率最下位となりました。年初来では依然として3.10%上昇していますが、過去3年間では39.25%下落しています。メキシコは、10月は7.92%の下落、年初来では14.25%の上昇となり、ブラジルは、10月は3.42%の下落、年初来では21.90%の上昇となりました。
注目すべき点として、ロシアは1.32%下落しましたが、年初来では0.67%上昇とプラス圏を維持し、過去3年間でも2.98%上昇しています。
●先進国市場
先進国市場も堅調でしたが、新興国市場ほどの力強さはなく、9月の2.29%の大幅上昇の後(8月は0.13%下落)、10月は1.90%の上昇(米国を除くと1.69%の上昇)となりました。10月は25の市場のうち15市場で騰落率がプラスとなり、9月の20市場から減少しましたが、8月の13市場を上回りました。先進国市場全体は、過去3ヵ月間では4.10%(米国を除くと3.76%)、年初来では16.85%(同19.76%)、昨年の米大統領選以降では21.24%(同21.57%)上昇しています。
韓国は北朝鮮との緊張が続いたにもかかわらず8.25%上昇し、騰落率トップとなりました。同市場は年初来では37.81%上昇しています。騰落率2位は4.78%上昇(年初来では23.35%上昇)したシンガポールで、3位は4.35%上昇(同18.72%上昇)した日本でした。
ニュージーランドが2.94%下落で騰落率最下位となり、過去3ヵ月でも5.09%下落していますが、年初来では12.14%上昇しています。騰落率ワースト2位は2.14%下落(同18.27%上昇)したフィンランドで、3位は1.59%下落(同16.75%上昇)したスイスでした。
注目すべき点として、スペインはカタルーニャ州の独立問題が続く中で0.32%下落しましたが、年初来ではなお24.54%上昇しています。また、英国はブレグジットに向けた交渉が続けられる中で0.64%上昇し(同13.91%上昇)、ドイツも1.51%上昇(同26.30%上昇)しました。
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト
このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはこちらをご参照ください。
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