S&P 500 月例レポート

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最新投稿日時:2016/04/08 19:26 - 「S&P 500 月例レポート」(みんかぶ株式コラム)

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S&P 500 月例レポート

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FRBのおかげで見通しが好転した

世の中が幾つかの大きな事件に関するニュースで持ちきりとなる中、世界の市場は3月に全体的に上昇しましたが、取引への影響はそれぞれ全く異なりました。3月にブリュッセルで発生したテロ事件では31名の方が亡くなり、テロ対策における各国政府の協力体制が世界レベルで議論されるとともに、治安と人権の両立が大きく取り上げられましたが、直接的な影響を受けた国を含め、市場への影響は限定的でした。ただし、市場がこのような事件に慣れてしまい、今後さらに起こる可能性が予想されることが懸念されます。2つ目の事件は原油価格で、3月に大きく反発して一時41ドルを回復し、最終的に38.25ドルと、2月末の33.78ドルから上昇して3月の取引を終えました。エネルギーセクター(3月は9.18%高)への影響は直ちに表れ、原油価格の上昇は下落の時と同様に全セクターの株価を押し上げました。3つ目の大事件は中央銀行による2つの動きで、市場は原油価格よりもさらにすばやく反応しましたが、その影響は短命に終わりました。1つは金利引き下げで、欧州中央銀行(ECB)は預金金利をマイナス0.30%からマイナス0.40%に、政策金利を0.05%から0%に、限界貸出金利を0.30%から0.25%にそれぞれ引き下げました。もう1つは資産買い入れプログラムの対象を金融機関以外の企業の社債にも拡大すると同時に、月間の購入額を600億ユーロから800億ユーロ(870億ドル)に引き上げることが決まりました。今回のECBの決定は、2015年12月の失望感を一時的に埋め合わせましたが、直後にECBがしばらくは追加の利下げを行わないとの見方を示したことで、株式や通貨は逆の動きとなりました。他の中央銀行を見ると、米国の連邦準備制度理事会(FRB)は、今回の連邦公開市場委員会(FOMC)で大きな動きはありませんでしたが、2016年中に実施する利上げ回数が2回となる可能性を示唆し、2015年12月に想定していた4回から引き下げました。市場では動揺も見られましたが落ち着きを取り戻しました。3月末のイエレン議長のハト派的な発言では、金利引き上げが極めて緩やかなペースで行われ、今年上半期中に利上げが行われない可能性が示唆されました。ノルウェー中央銀行は政策金利を0.75%から0.50%に引き下げ、マイナス金利の可能性もあり得るとの見方を示しました。ハンガリーでも翌日物預金金利が0.15%ポイント引き下げられてマイナス0.05%となりました。日銀は国内経済の見通しを下方修正したものの、政策金利をマイナス0.1%に据え置きました(予想通り)。もう1つの大きな問題は、6月23日に国民投票が行われる英国のEU離脱問題ですが、英ポンドが下落するなど、ブリュッセルでのテロ事件を受けて状況は複雑化しています。地域別では、世界的なビジネス環境の悪化で輸出入データに影響が及んでいます。3月に発表された中国の2月の輸出は前年同月比25.4%減(ドルベース)、輸入は同13.8%減となりました。日本の輸出は同4.0%減、輸入は同14.2%減、米国でも輸出が同6.0%減、輸入が同6.1%減となりました。

経済関連のニュースでは、米国で中国の経済指標が特に注視されるようになりました。2月下旬に開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の声明で緩和の意向を示していた通り、中国は1年間で5回目となる預金準備率の引き下げを実施し、預金準備率は0.50%ポイント引き下げられて17.0%となりました(これにより1,080億ドルの流動性の増加が予想されます)。中国の2月の輸出は前年同月比25.4%減(ドルベース)、輸入は同13.8%減となり、同国の貿易黒字は1月の632億9,000万ドルから2月は325億9,000万ドルに縮小しました。食品価格が重石となって伸び悩んでいた2月の消費者物価指数は前年同月比で2.3%上昇しました。ドイツの1月の鉱工業生産指数は前月比3.3%上昇と、6年ぶりの大幅な伸びとなりました。日本の輸出は2月に前年同月比4.0%減となって1月の同12.9%減から大きく改善し、輸入は同14.2%減となりました。FOMC会合とその金利予測の注目点は、今後2回の利上げで各0.25%ポイント、2016年末までに合計0.50%ポイント引き上げられるとFRBが予想したことで、これは、米国の設備投資は低調な状態が続いているものの、雇用の回復と共に経済は上向いており、インフレ率も低水準ながら上昇が予想されている状況で行われました。イエレン議長は講演(質疑応答を含む)の中で、世界の経済成長では中国が、コモディティ価格をめぐるリスクについては原油価格が、それぞれ懸念材料であるとの見方を示しました。また、コアインフレ率が足元の1.7%から2016~17年の大半の期間で2%に達するとの予想を示した上で、FRBは「物事を慎重に進める」との意向を明らかにしました。このところ他のFOMCメンバーからタカ的なコメントが出されていたこともあり、同総裁のハト派的な発言は市場を驚かせましたが、結果的に好感されました。結論としては、今年上半期中に利上げは行われず、大統領選挙の投票日が11月8日であることを考えると、年内に2回というのも現実性はないと思われます。


米国では他に、2月のサプライ管理協会(ISM)製造業景況指数が49.5となり、1月の建設支出は前年同月比10.4%増となりました。国内の自動車販売台数は年率換算で1,750万台となり、予想の同1,770万台は下回りましたが、依然として記録的なペースです。1月の消費者信用残高は予想の前月比165億ドル増に対して同105億ドル増にとどまり、12月の数値は同213億ドル増から同64ドル増に下方修正されました。消費者信用残高は主要な経済指標とはみられてはいませんが、予想からの乖離と大幅な下方修正で注目を集めました。これは、消費者による新規債務が予想されたほど多くないことを意味しています。1月の貿易統計では、輸入は前年同月比6.1%減、輸出は同6.0%減となりました。2月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比で横ばい、食品とエネルギーを除いたコア指数は同1.2%上昇でした。2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.0%上昇、食品とエネルギーを除いたコア指数は同2.3%上昇と、FRBが喜ぶ結果となりました。1月の求人労働移動調査(JOLTS)による求人件数は554万1,000件となり、雇用が上向いていることが示されました。2月の耐久財受注は前年同月比1.8%増となり、輸送機器を除くと同0.5%増でした。2015年第4四半期GDPの確報値は年率換算でプラス1.4%と予想(プラス1.0%)を上回る結果となり、個人消費が好調な一方で、企業利益が弱いことが示されました。1月の中古住宅販売仮契約件数は前月比2.5%減(予想は0.5%増)、2月の住宅着工件数は前月比7.2%増(予想は4.3%増)、着工許可件数は前月比2.9%減(予想は横ばい)となりました。2月の中古住宅販売件数は前年同月比7.1%減、年率換算で508万戸(予想は530万5,000戸)となり、1月の同2.2%増、年率換算547万戸から減少しました。2月の新築住宅販売件数は年率換算で51万2,000戸(予想は51万戸)となり、1月の数値は49万4,000戸から50万2,000戸に上方修正されました。3月のADP雇用統計は20万人増(予想は20万3,000人増)となり、2月の数値は21万4,000人増から20万5,000人増に下方修正されました。

M&A関連では、London Stock Exchange(LNSTY、3月は6.3%高)がDeutsche Boerse(DBOEY)と合併で合意したと発表しました。日本のキヤノン(CAJ、同0.9%高)は同じく日本の東芝(TOSYY、同5.7%高)の医療機器部門を62億ドルで買収すると発表しました。カナダのエネルギーインフラ企業TransCanada(TRP、同8.3%高)はColumbia Pipeline(CPGX、同38.3%高)を130億ドルで買収することを明らかにしました。ホテルと娯楽施設を運営するStarwood Hotels & Resorts Worldwide(HOT、同21.3%高)は、競合のMarriott International(MAR、同4.4%高)と中国の金融グループAnbang Insurance Groupが繰り広げた買収合戦の恩恵を受けました。最終的にAnbangが買収提案を取り下げ、Marriott側が現金と株式を組み合わせた136億ドルで買収することになりました。食品小売チェーンのFresh Market(TFM、同23.7%高)はプライベート・エクイティ会社Apolloに13億ドルで売却されることが明らかになりました。塗料大手のSherwin-Williams(SHW、同5.2%高)は同業のValspar(VAL、1週間で37.3%高)を93億ドルで買収すると発表しました。米国のデータ/情報プロバイダーのIHS(IHS、同19.4%高)と英国Markit Ltd(MRKT、同27.1%高)は、税率の低い国で会社を設立するインバージョンディール方式で合併を行うと発表し、新会社はロンドンに本社を置くことになります。日本の日本電信電話(NTT、同1.2%上昇)はDellのITサービス部門を30億ドルで買収すると公表しました。台湾のエレクトロニクス企業Foxconn Technology Groupはシャープを35億ドルで買収すると発表しましたが、出資額は1カ月に及ぶ協議の結果、当初の予定より減額されています。


注目されるのが、3月上旬に米エネルギー情報局(EIA)がブレント原油の平均価格の見通しを2016年については37ドルから34ドル、また2017年については50ドルから40ドルに下方修正したことです。また、サウジアラビア政府が(原油安に起因する)1,000億ドルの財政赤字を補填するために60億~80億ドルの融資を求めているとの報道もありました。同国政府が前回海外からの借り入れを実施したのは10年以上前のことです。佳境を迎えている米大統領選に向けた指名争いでは、トランプ氏(共和党)とクリントン氏(民主党)がトップを走っています。州ごとに実施される予備選や党員集会は今後も続きますが、共和党では過半数を獲得した候補がいない場合、ブローカード・コンベンション(協議と代議員による複数回の投票で決める方法)が行われる可能性もあります。オバマ氏は米国大統領として88年ぶりにキューバを訪問しました。両国の関係改善は続いており、米国企業はこの島国でのビジネスチャンスに期待を寄せています。ブラジルでは、ルセフ大統領の弾劾の可能性が同国経済の潜在的な押し上げ要因とみられており、政局動向に注目が集まっています。S&Pは3月31日の取引時間外に中国の信用格付け(現在は“AA”)の見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げると発表し、その理由として経済面と金融面でのリスクを挙げました。米国政府が保険会社MetLife(MET)を「大き過ぎて潰せない金融機関」(そして、それゆえに追加的な当局による監視および報告義務を負うことになる)に認定したことに対し、連邦裁判所判事はその撤回を求める判決を下しました。またコングロマリットのGeneral Electric(GE)も、その翌日に「システム上重要な金融機関」の指定解除を申請しました。ブリュッセル国際空港とEU本部近くの地下鉄の駅がテロリストによる爆破攻撃を受け、多数の市民が犠牲になりました。この事件を受けて、セキュリティ対策と国民の安全を守る政府の役割に対する懸念が全世界で再燃しました。

企業によるレイオフの発表はさらに続きました。S&P400中型株指数構成銘柄の化粧品等の製造大手であるAvon Products(AVP、同14.0%高)は、2,500人(全従業員数の約8%)の人員削減と米国にある本社の英国への移転を発表しました。また、Credit Suisseは従来のコスト削減計画を拡大し、追加で2,000人の人員削減を行うことを明らかにしました。航空機大手Boeing(BA)は4,000人の、また資産運用会社のBlackrock(BLK、同0.2%高)は400人の人員削減をそれぞれ発表しています。


個別銘柄では、ソーシャルネットワーク大手Twitter(TWTR、同8.7%安)が社員の大量離職に伴い「人材流出」が生じていることを明らかにしました。同社は大量離職への対応策として、社員に自社にとどまることを促す報酬上の措置を実施しています。カナダの製薬会社Valeant Pharmaceuticals(VRX、同60%安、2015年8月以来では90%安)は業績見通しの下方修正を発表し、これを受けてアイルランドの同業Endo International(ENDP、同32.7%安)の株価も下落しました。Valeantはその後、マイケル・ピアソンCEOの辞任を発表しており、決算内容の修正を行うこともそれまでに明らかにしています。ヘッジファンドのスターボード・バリューは、インタ―ネット検索・広告大手のYahoo!(YHOO、同15.8%高)に対して、同社の取締役全員の解任を目指した委任状争奪戦を開始しました。報道によると、ファストフードレストランチェーン大手のYum Brands(YUM、同12.9%高)は、中国事業の一部株式の売却に向けて複数のプライベート・エクイティ会社と協議を開始しました。また、事務用品小売り大手Staples(SPLS、同18.2%高)と同業Office Depot(ODP、同29.8%高)の合併に関して、米連邦裁判事の1人が両社の合併阻止を目指している米連邦取引委員会(FTC)の行動を批判する発言を行いました。

金利は3月に上昇しました。FRBは年内に0.25%ずつの2回の利上げを示唆しましたが、エコノミストやストラテジストの一部からは、年内の利上げは1回ないしは行われない可能性もあるとの指摘も出されています。そうした中、米国10年国債利回りは2月末の1.73%から上昇して1.77%で3月の取引を終えましたが、2015年末の2.27%、2014年末の2.17%から低下した水準にとどまっています。また、30年債の利回りは横ばいの2.61%で3月の取引を終えました(2月末は2.61%、2015年末は3.02%、2014年末は2.75%)。ドルは大幅に変動し、対ユーロでは下落して1ユーロに対して1.1380ドルとなりました(2月末は1.0882ドル、2015年末は1.0861ドル、2014年末は1.2098ドル)。対英ポンドでは上昇して1ポンドに対して1.4366ドルとなりました(同1.3931ドル、1.4776ドル、1.5582ドル)。円はドルに対してわずかに下落して1ドルに対して112.55円(同112.51円、119.80円、105.20円)となり、人民元は上昇して1ドルに対して6.4501元(同6.5761元、6.4391元、6.2052元)となりました。金価格は下落して1,233.60ドル(同1,241.20ドル、1,060.50ドル、1,183.20ドル)となりました。原油価格は大幅に変動して一時1バレル40ドルを超え、最終的に1バレル38.25ドル(同33.78ドル、37.04ドル、53.27ドル)で、またガソリン価格は引き続き上昇して1ガロン2.066ドル(同1.730ドル、2.034ドル、2.299ドル)で3月の取引をそれぞれ終えました。3月のVIX恐怖指数は13.95(同20.55、18.21、19.20)と2月末から大きく下落して月を終えました。
 

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投資家が押さえておくべきポイント

・3月のS&P500指数は6.60%の大幅上昇となり、3月としては2009年同月の8.54%の反発以来最大の上昇率を記録しました。第1四半期のS&P500指数は2月11日までに年初来で10.51%下げた後、FRBの市場を支援する姿勢を受けて、それ以降は12.61%上昇して結局0.77%のプラスとなりました(配当を含めたトータルリターンはプラス1.35%)。S&P500指数の時価総額は、3月に1兆300億ドル、年初来では590億ドル増加しました。

・多くの中央銀行が株式市場のマーチマッドネス(3月の狂乱)に貢献しました。ノルウェー中銀は政策金利を0.75%から0.50%に引き下げ、マイナス金利導入の可能性を示唆しました(マイナス金利を導入する中銀が増えています)。ハンガリー中銀も翌日物預金金利を0.15%からマイナス0.05%に引き下げました。日銀は日銀当座預金金利をマイナス0.1%に据え置き、国内の景気判断を下方修正しました。米国では、市場を支援する姿勢を取ってきたFOMCが、政策金利の見通しを従来の半分の水準に引き下げ、年内の利上げが12月時点の想定の4回よりも少ない2回となることを示唆しており、今後も支援する姿勢を維持したい意向のようです。3月末のイエレン議長の講演を受けて、一部では利上げ幅はさらに半分になる、すなわち年内の利上げ回数は1回にとどまるとの観測も浮上しています。

・世界的にビジネス環境が悪化する中で、各国で輸出と輸入が減少しました。中国の2月の輸出はドル建てで前年同月比25.4%減、輸入は同13.8%減、日本の輸出は同4.0%減、輸入は同14.2%減、また、米国の輸出は同6.0%減、輸入は同6.1%減となりました。

・米国の2015第4四半期のGDP成長率確報値は前期比年率1.4%増となりましたが、2016年第1四半期のGDP成長率予想は、同1%を下回る水準に低下しています。

・M&Aがようやく勢いを増しつつあり、M&Aをめぐる企業の攻防も激しくなっていますが(誰かから求められることは常に良いことです)投資銀行の2016年第1四半期のEPSに寄与するには遅すぎたようです。Yahoo!は、旧態依然とした委任状争奪戦を突き付けられました。

・市場は企業の人員削減に対して、Avon(AVP)とBoeing(BA)には買いで、Blackrock(BLK)とCredit Suisse(CS)には売りで反応しました。

・VIX恐怖指数は、多くの投資家が近いうちに同指数が目を覚ますことに賭ける中、まるで鎮静剤を服用したかのように「何も問題などない」といった様子で推移して13.95で月を終えました。もっとも、Valeant Pharmaceuticals(VRX)の3月の60.0%という下落(2015年8月からは90.0%の下落)に目を覚ます思いをした投資家もおり、これはバイオ医薬品株の投資家の一部にとっても同様でした。

・原油価格は2月末の1バレル33.78ドルから3月中旬には大きく上昇して一時41.66ドルを付けた後、38.11ドルで月の取引を終えました。これはかなりの反発と言えますが、上昇に大噴出する油井のような勢いはなく(特に2015年末の37.04ドルと比べれば)、原油価格は引き続き当面は値固めを目指すことになります(ウォール街ではよくあるように)。

・自社株買い戻しによるEPSへの多大な影響は、2015年第4四半期にさらにやや強まりました。昨年第4四半期には、S&P500指数構成企業のうち株式数の減少が4%以上のEPSの押し上げにつながった企業の割合が、それまでの各7四半期の20~23%から25%に拡大しました。

・強気相場は7歳の誕生日を祝いましたが、過去強気相場が継続した期間は平均で5年未満となっており、お祝いに米国退職者協会(AARP)の会員資格を購入してあげるタイミングかもしれません。

・S&P500指数構成企業の2015年の設備投資額は前年比2.8%減となりました。ただし、エネルギーセクターの26.7%減を除けば、8.2%増加しました。

・2016年3月30日夜現在、S&P新興国総合指数は月初来で11.85%上昇しており、3月の上昇率は2011年10月の12.23%上昇以来最高となる可能性があります。2011年10月当時は上昇に先立って、同指数は9月に15.19%、8月に8.89%下落していました。

・オバマ大統領がキューバを公式訪問する中(米国の大統領としては88年ぶり)、企業の間ではキューバでのビジネスチャンスに熱狂的な目が向けられました。そうしたビジネスチャンスの中にはキューバのビンテージ車のアンティークカー取引もありますが、過去最高販売台数の更新が続く米国の自動車業界は買い替え需要に対する強い期待が寄せられました。

・米大統領選挙の州毎の予備選挙(別名、じわじわとした水責め)では、トランプ(共和党)、クリントン(民主党)の両最有力候補が本戦に向けて前進する結果となりました。共和党の指名候補争いは、党大会での決選投票に持ち越される可能性が依然として強く残されています。市場は予想される結果にまだ反応を示していませんが、大勢が判明すれば、資産配分を見直して反応することになります。世界でもこれに匹敵する政治イベントが英国で展開されていますが、英国での投票が米大統領選よりも4カ月早いことは明るい材料です(英国のEU離脱を問う国民投票は6月23日、米国の大統領選挙は11月8日)。

・多発テロ事件が発生して大きく取り上げられる中、安全保障と市民を守る上での政府の役割に対する懸念が再度高まりました。ウォール街からは、こうしたイベントは今や想定内であり、市場を混乱させることはないとの悲しいコメントが聞かれました。


4月のフューチャー・ショック
・過去の実績を見ると、4月は62.5%の確率で上昇しており、上昇した月の平均上昇率は4.39%、下落した月の平均下落率は3.82%で、全体の平均騰落率はプラス1.31%となっています。
 
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FOMCの会合:
4月26-27日、6月14-15日※、7月26-27日、9月20-21日※、11月1-2日、12月13-14日※
米国大統領選の投票日は2016年11月18日

※議長の記者会見が通常、米東部時間午後2時30分に行われます。また、四半期ごとの経済見通しの改定が2時に発表されます。
 

ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・
インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

本翻訳は、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。
SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはこちらをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム

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