好き嫌いを言えば

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最新投稿日時:2015/03/23 10:50 - 「好き嫌いを言えば」(みんかぶ株式コラム)

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好き嫌いを言えば

著者:矢口 新
投稿:2015/03/23 10:50

・私は権力者が嫌いだ。権威も嫌いだ

前週の「あなたは、宇宙人を信じるか?」について、知人から「あなたの言っていることは分かるが、私は鳩山氏が嫌いです」と言われた。それで私も「私は鳩山氏も、プーチン氏も嫌いです」と、つい応じてしまった。好き嫌いで言うならば、総じて、私は権力者が嫌いだ。権威も嫌いだ。ひがみ? かも知れない。私は彼らほど大きくも強くもなく、行動力もないからだ。
参照:あなたは、宇宙人を信じるか?
https://money.minkabu.jp/49445

私が相場に魅力を感じるのは、小さな人間でも、小さな人間なりにささやかな自己実現の場を持てるからだ。大小を資金力で表すのなら、大手金融機関に勤めていた頃の私は大きかったが、今は生活費を出すために、持っていたいものも売り払うような小さなことを行っている。私が専業のトレーダーになりたいという人に概ね否定的に答えているのは、それで生活するようになると、事情に左右されるトレードになったり、無理をすることにもなるからだ。

それでも、小さな資金でも、自分の判断で売買を行えば、自分の見方やテクニックの優劣を知ることができる。相場での権力や権威に勝つこともできるのだ。そして、トレードを繰り返せば確実に上達が実感できるようになる。出費が利益を上回れば、投資資金は減っていくが、それでも何らかの満足感や自信は得られるのだ。たとえ、大きな人々からは、痩せ犬の遠吠えだと思われようと。

それはともかく、クリミア事情について、もう一つ情報をご紹介したい。

(ここから引用)
池上彰は週刊文春の連載コラムの3月5日、12日両号で「クリミア半島はいま」を書いていて(最近行ったような書き方をしているが、ロシア側に確かめると行ったのは昨年夏頃のようで、その時は外務省はどう対応したのだろうか?そして、今になってこのコラムを書いて彼はどうしてスキャンダルの血祭りにあげられないのだろうか?答えは簡単で、彼は「鳩山」でないからだ!)、その中で、

▼クリミア半島はいまはロシアが実効支配していて、平穏である。

▼公共事業が増えて失業率が低下した。給料も平均で3倍になり、インフレはあるが、生活は前より楽になった。

▼一番変わったのは医療保険で、ウクライナ時代は治療費がほぼ全額自己負担だったのに対して、現在はすべて無料になった。高度な医療が必要な重病患者が出た際には、モスクワの医療機関に運んで治療が受けられるようになった。

▼小学校5年生のクラスで「ロシアになって良かったと思う人」と問うと、1人を除いて30人が挙手した。

──などの事実を伝えていて、その通りだろう。因みに、給料だけでなく年金もロシアの制度に組み替えられて、支給金がウクライナ時代の少なくとも2倍になった。
(引用ここまで)

この引用は「鳩山クリミア訪問に同行したジャーナリスト」のコラム内のものだが、やはり、池上彰氏の方が、「鳩山」同行ジャーナリスト氏よりもインパクトがあると思い引用した。本文もぜひ読んで頂きたい。
参照:鳩山クリミア訪問に同行したジャーナリストが明かす、現地の実情
http://www.mag2.com/p/news/9876

私は主に経済関係の英文メディアからの情報だけだが、これらの情報に違和感を覚えない。最近もブルームバーグは「戦争開始1年のウクライナの生活」というフォトエッセイを特集した。「平穏」なクリミアに比べ、武力クーデター後のウクライナはいくつかのアラブ諸国のように、自国民同士が殺し合う事態になっている。
参照:Life in Ukraine After One Year of War
http://www.bloomberg.com/news/photo-essays/2015-03-18/life-in-the-ukraine-after-one-year-of-war

・経済制裁の実体

経済制裁の実体とは何だろう? 以前はどの国も、自国の周りに貿易障壁を築いて、自国産業の利益を守ってきた。市場経済、自由貿易の掛け声で、各国の障壁は低くなったが、それでも守りたい産業はあるはずだ。

ある国が特定の産業を守りたい場合、あるいは特定の産業が国を動かして利潤を追求する場合、自国の周りの貿易障壁を築く代わりに、ライバル国の周りに貿易障壁を築き、資本規制を行えばどうだろう? それと自由貿易協定との組み合わせは、特定の産業保護に最大の効果を上げるはずだ。

つまり、より多くの国々を組織する力のある国は、自国の周りにしかなかった貿易障壁を同盟国を飲み込む形で拡大し続け、特定国だけを弾き出すことができるようになる。そして経済制裁という形で、1つずつライバルを潰していけば、実質的な世界制覇が完成する。

この方法の問題点は、被制裁国同士が結束して、被制裁国同盟内での自由貿易協定を作ってグループ化することだ。そうなると、以前の冷戦時に近い形となる。あるいは、特定国が孤立し過ぎてしまい、最終兵器に訴える可能性がでてくることだ。いずれにしても、結局は経済制裁を主導している国の利益にもならなくなる。私は対ロシア制裁を止めるべきだと考えている。

配信元: みんかぶ株式コラム

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