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最新投稿日時:2014/06/23 11:05 - 「過去に捉われるな!」(みんかぶ株式コラム)

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過去に捉われるな!

著者:矢口 新
投稿:2014/06/23 11:05

チャートは過去の値動きの記録。相場では最高値、最安値だけでなく、直近の高値、安値も重視する。ファンドマネージャーやディーラーたちは、値ごろ感や値覚えなど、過去の価格を重視する。とはいえ、相場で生き残るには、常に未来志向でなければならない。

いい思い出も、辛い思い出も、死ぬ時にはみな同じ。善いことも、悪いことも、過ぎ去ればみな同じだ。今あるものを大切にするには、忘れることも大事なことかと思う。

塩漬け対策

昔買った銘柄が、未だに大きな評価損を抱えている。しばしば「どうしましょうか?」との相談を受ける。

評価損は抱えてはいけない。実現損は過去の損だが、評価損は過去を引きずっている損で、どこまで膨らむか分からないからだ。そう答えると、「では、売るしかないのでしょうか?」と聞かれる。そうとも言えない。

損切りは、評価損が膨らまないために行う。その為には、売り買いを始めた時点で、前もって損切る場所を決めておく。例えば、谷越え確認で買うのなら、谷底だと思った安値を下抜けた時、自分の見方が間違っていたことが分かる。買った根拠がそれだけなのなら、下抜けでは売らねばならない。そうして損失額を限定する。

テクニカル的に、谷越え確認の方法はいくつもある。私の場合には、ほとんど最小限の根拠でも買うことが多い。なぜなら、確認に時間をかけていれば、損切った時の損失も大きくなるので、挽回が大変になるからだ。

一方、疑わしいような谷越え確認でも、買うことがある。それは下抜けも想定内として、買い下がり感覚で買う時だ。そんな時は、下抜けても損切らない。そうする銘柄は、ファンダメンタルズが抜群で、どうしても買いたくなってしまうような銘柄だ。それで、私も評価損を抱えることがある。もっとも、ナンピン買いは行わない。買い下がり感覚では、他の上げそうな銘柄を買う。リスク分散になるからだ。

損切りは、評価損が膨らまないために行う。大きくなってしまった評価損を実現していては、挽回が困難になる。損切ることで過去の損に追いやっても、挽回する気力も体力もない場合がある。

私の場合は、毎日、谷越え確認の銘柄を探すことにしている。毎日、塩漬けの銘柄と、勢いのある銘柄とを比較し続ける。あの時点で塩漬け銘柄を売って、入れ替えておけば今頃は、、、という思いを繰り返し、繰り返し、味わうことになる。そして、いつかたまらずに入れ替えが完了し、塩漬けで苦しんでいた過去が、馬鹿げたものに思えてくる。

未来志向でないと過去の損は挽回できない。未来に向かえる刺激があると、過去の損はいつの間にか忘れてしまう。

過去の真実

物事を判断するにはベースがいる。相場について語られていることは、必ずしもすべてが真実ではない。真実という言葉を使うことが適切かどうかが分からないくらい、様々な情報が溢れ、適当な解釈がなされている。相場は上げるか下げるか、半数は常に儲かっているといえるので、嘘の情報や適当な解釈を信じている人も多い。

相場での私の判断のベースは、実際の売買だ。知識と経験とがぶ厚いベースとなり、状況を判断し、将来の予測や目先の行動に役立てている。知識の中には、学生時代に読んだ「世界の歴史20数巻」や「中国の歴史10数巻」を始め、聖書や神話、哲学や文学、歴史小説、NHKの大河ドラマ、語学、経済、自然科学など幅広いが、相場での経験からして、すべてを信じているわけではない。それでも、相場についての自分の判断、見方には相当自信が持てるところまできた。

何が真実かは分からない。分かりやすい例が、日中戦闘機の異常接近やベトナムと中国の船舶衝突だ。当事者双方は全く逆のこと、「相手が接近してきた」と主張し、それぞれの国民は自国の報道を信じている。私はあえて、どちらを信じるとは言わないでおこう。原発事故などを鑑みても、自国の政府や報道が絶対に嘘を言わないとは断定できないからだ。いずれにせよ、仮に日中戦闘機の異常接近が全面戦争に繋がったなら、勝った方の言い分が真実として歴史に残るのは、まず間違いない。このことを極論すれば、絶対に勝つ自信があれば、嘘の報道はし放題だといえるかもしれない。歴史は作るものだと言う人もいる。

今起きていることですら、情報は常に操作されている。昔のこと、例えば、南京事件や慰安婦問題も、どこまで歴史的事実かは分からない。こう書くと、腹を立てる人は日本人のなかにも多いとは思う。しかし、私は911テロ、イラク戦争、アフガニスタン侵攻、クリミア併合、そして、日中戦闘機の異常接近などの各国の報道を目の当たりにして、歴史の大半は嘘かもしれないとさえ思っている。間違いがないのは、今の政府や権力者の都合で、「事実」はいいように利用されていることだ。日本人として、日本政府は信じたいが、私の判断ベースからは100%信じられるとは言い切れない。

韓国政府は慰安婦問題を利用している。過去の事実は「らしい」としか分からないが、現在の時点で、過去の問題を利用しているのは「事実」だ。米国に慰安婦像を建て、日本の非道を喧伝している。効果的だろうか?

性的被害がからむ事件で、平和時の現在の米国で大問題となっているのは、遠い地域の過去の戦争時の問題ではない。3大問題を挙げるとすれば、米大学キャンパス内での女子学生暴行の蔓延。米軍内における女性兵士暴行の蔓延。カソリック神父による少年への性虐待だ。3つ目は現在も進行中がどうかは分からないが、前の2つは現時点でも進行中だといえる。そんな米国で、過去の日本を非道だと責める人々は、政治利用か、あるいは、過去ではなく、今の日本人が嫌いなだけかと思う。

米国だけが酷いのではない。世界各地で性的被害は進行中だ。アフリカの戦争当事国はもとより、南アフリカなどでも、女性の性的被害は多い。インドやパキスタンでのケースは数多く報道されている。IMFの前のトップ(リップスキー専務理事代行の前任者)は、ホテルの女性スタッフ暴行嫌疑で失脚したが、フランスの幼女売春組織の経営に関わっていたことも報道された。日本を含め、弱者が事件の被害者になるケースは多い。恐ろしい世の中だ。

韓国政府は何が目的で慰安婦問題を利用するのだろう。パラリンピックの佐藤真海選手は、「なくしたものを悔やむより、今あるものを大事にしたい」と語った。そう言う彼女の笑顔は輝いていた。私自身なくしたものを悔やむことがあったので、目を覚まさせてくれた言葉だった。反省もし、勇気も得た。

日中、日韓、両国との過去はどんなものでも、もう取り返せないものだ。拘りは何も生まない。今あるのは私たちや子供たちの未来だ。なくしたものを悔やむより、今あるものを大事にしたいと思う。

戦国時代

私は太平洋戦争が終わって10年近くたってから生まれたので、戦争は過去のものだと思っていた。特にベトナム戦争が終わってからは、世界は基本的に平和だと思っていた。しかし、世界各地にあがる「火の手」を見るていると、むしろ現代は戦国時代だという認識でいた方がいいとさえ思ってしまう。日本から見れば、平和憲法のある日本は特別に例外だが、世界から見れば、日本は世界を構成する1つの国に過ぎず、戦国時代に例外扱いはして貰えない。

スイスは永世中立国だが、同時に皆兵制で、核シェルターなどの整備も世界一だ。いつでも戦えるのだ。また、第2次大戦中は各国のスパイがスイスで暗躍したように、世界中の情報が集まっている。それだけではない。匿名口座の情報開示が進んだとはいえ、未だに世界の徴税逃れともいわれる資金の行先のトップがスイスで、2.3兆ドルと、2位のシンガポール・香港を合わせた1.4兆ドルを大きく上回っている。いわば、世界の富裕層から担保を押さえている状態だ。スイス相手では、戦って得るものよりも、失くすものの方が多いことを認識させることで、保てている中立だともいえる。

日中戦闘機の異常接近は、危険な兆候だ。日経BPには、日中有事の可能性を考える記事が出ていた。
参照:「日中有事」の可能性は
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140617/266921/?n_cid=nbpnbo_mlt

まさかとは思いたい。しかし、世界では「流血」が日毎に日常的になってきている。2013年には世界の難民キャンプで暮らしている人々が第2次大戦後初めて5000万人を突破、前年比600万人増の5120万人となった。永遠に戦争を放棄すると宣言するだけで、永遠の平和が約束される可能性は極めて低い。現実を直視すれば、それなりの覚悟を持つことも必要だ。

米国が守る? 世界1位の経済が、2位と3位が揉めて、困ったり、どちらか片方の肩を持ったりすると考えるのは現実的ではない。TPP交渉で示す米国の態度がより実像に近いと認識するべきだろう。日本、中国、韓国、北朝鮮が適度の緊張関係にあることは、米国にとっては好都合だと考える方が論理的だ。

過去はどんなものでも、もう取り返せないものだ。拘りは何も生まない。今あるのは私たちや子供たちの未来だ。今あるものを大事にしたいと思う。

利益も損失も過ぎれば同じ

投資運用も長くやっていると、喜び、怒り、哀しみ、楽しみで溢れたものとなる。苦しさや誇らしさも伴っている。そして、「欲と恐怖」が大敵だ。

昔買った銘柄が、未だに大きな評価損を抱えている。しばしば「どうしましょうか?」との相談を受ける。評価損は抱えてはいけない。実現損は過去の損だが、評価損は過去を引きずっている損で、どこまで膨らむか分からないからだ。そう答えると、「では、売るしかないのでしょうか?」と聞かれる。そうとも言えない。

損切りは、評価損が膨らまないために行う。大きくなってしまった評価損を実現していては、挽回が困難になる。損切ることで過去の損に追いやっても、挽回する気力も体力もない場合がある。

未来志向でないと過去の損は挽回できない。未来に向かえる刺激があると、過去の損はいつの間にか忘れてしまえるものだ。

いい思い出も、辛い思い出も、死ぬ時にはみな同じ。善いことも、悪いことも、過ぎ去ればみな同じだ。誰にとっても失くした過去よりも、今ある未来の方が大切なはずだ。今あるものを大切にするには、忘れることも大事なことかと思う。

みんなの外為|矢口氏 FXコラム
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配信元: みんかぶ株式コラム

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