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最新投稿日時:2014/05/26 10:55 - 「まどろみ」(みんかぶ株式コラム)

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まどろみ

著者:矢口 新
投稿:2014/05/26 10:55

若い頃から花粉症だったが、30歳台後半になって初めて喘息の発作が起きた。複合汚染のせいかと思っている。それから20年ほど経った。普段はスカッシュや水泳するなど、元気なのだが、例年5月と11月は喘息が悪化し、日中でも横になることが多い。

浅い眠りは、多くの夢を見る。仕事や気にかかることが夢に出てきて、昼のうちからうなされることもある。

・安倍政権、JA全中の廃止も視野に

安倍政権は中央会制度の廃止も議論の俎上に、農協の改革を提言した。なぜか、このようなことも、夢に出てきた。ウィキペディアは、農協の上部組織を以下のようにまとめている。

○全国農業協同組合中央会(JA全中):単位農協(JA)および連合会の指導、監査、広報活動
都道府県農業協同組合中央会:都道府県ごと

○全国農業協同組合連合会(JA全農):経済事業(販売、購買)
経済農業協同組合連合会(経済連):県ごと(8県)

○全国共済農業協同組合連合会(JA共済連):共済事業

○全国厚生農業協同組合連合会(JA全厚連):厚生事業(主に医療=病院など)
都道府県厚生農業協同組合連合会 – 都道府県ごと(35都道府県)

○農林中央金庫:農協、漁協貯金の中央金庫(運用機関)
都道府県信用農業協同組合連合会(信連):信用事業、都道府県ごと(35都道府県)

全農は商社、全共連は保険会社、農中は銀行の役割を担っている。ここで、経済的な実体に乏しい全中をなくせば、TPPへの抵抗勢力を弱めることができるとの目論見だろう。農協組織はよく分からないので、私はどちらの側にもつかない。

ところで、原発事故後の放射能汚染と、その風評被害を最も受けた産業は、農業と漁業かと思う。原発再稼働では、そういった不安を抱えながら日本の食料自給率の向上を担っていくことになる。

あまり誰も言わないが、私は日本の景気回復に最も貢献したのが脱原発だと見ている。脱原発により天然ガスなどの輸入が増え、貿易赤字となったからだ。貿易赤字とは輸入超の意味で、日本が損している訳ではない。現に日本はデフレから脱却し、最高益を計上する企業も数多い。

2011年から貿易赤字となり、ドル円は底を打った。2012年後半からドル円の本格反発が始まり、2013年4月から異次元緩和が起きた。つまり、円安には黒田日銀よりも、脱原発の方が効果的なのだ。その円安が日本を持ち上げた。

ここで、原発再稼働でエネルギー輸入が減り、再び円高になると、日本の農産物を海外に売ることが難しくなる。同時に、海外の農産物が割安となる。この時、TPPで関税が下げられていたなら、日本の農業は壊滅的な打撃を受ける。

逆に、脱原発で円安が進めば、TPPでの関税率下げのデメリットをはるかに上回る競争力を得ることができる。私は日本の農業の国際競争力がどれほどのものかは知らない。知っているのは、日本を代表する製造業のほとんどすべてが、円高では競争力を失ったことだ。このことは、どんな農業改革をしても、円高になれば、日本の農業は「お終い」になることを示唆している。

脱原発は過半数の国民が願っている。残りも半分も、実は脱原発で日本が豊かになると知れば、ほとんどが脱原発になるかと思う。

原発の存在で最も被害を受けた産業、日本の農業、漁業が、脱原発に動けば、日本は変わるかも知れない。農業、漁業と再生エネルギーとは相性が良い。バイオや海藻は有望なエネルギー源だ。太陽光パネルと農地の共存も可能だという。農協組織はその事業化へのすべてを持っている。

「安全、安定、安価」なエネルギー供給神話は崩壊した。それでも電力は円高を望んでいる。しかし、円高は日本を破滅に導く。JA全中は食料自給率の向上だけでなく、エネルギー自給率の向上も掲げればいい。JAが脱原発の先頭に立って、勝負をかければ、日本は変わるという、とんでもない夢を見た。昼間から、寝言を言っていたそうだ。


・「美味しんぼ」描写、「言論の自由」56%

「美味しんぼ」が休載となった。一方で、56%の人々が「美味しんぼ」の描写は「言論の自由」で保障される範囲内だと見なすとの報道があった。

この問題自体は前回も軽く触れたので繰り返さない。
参照:ウクライナ情勢のラベルに注意
http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11854550414.html

問題は、「知る権利」が十分に満たされていたなら、人気漫画家がわざわざ正義感を出すまでもなく、また発言したところで、誰も風評などには惑わされなかっただろうことだ。隠すから風評被害が起きる。原発の情報公開は不十分だ。政治家は非難の鉾先を間違えているのだ。

私は日本と英米メディアしか知らないが、それでも、日本のメディアの情報量の少なさにはがっかりする。特にテレビは、申し合わせたように同じニュースを取り上げて、何日も報道する。たぶん、欧州言語や、アラブ系のメディアに触れていれば、世の中が違うように見えているかと思う。英米メディアだけでも、それなりに世界が違って見える。

まどろみの夢では、数多くのチャンネルがあるのに、どこを回しても全く同じニュースを流していた。のっぺらぼうの悪夢だった。

・親と子

90年代に一世を風靡したミュージシャンが薬物使用で逮捕された。あるテレビ局は路上で被疑者の父親にインタビューしようとしていた。50歳台半ばの大人の行為に、父親までを晒す必要があるのだろうか?

以前、芸人の親が、生活保護を受けていたことを思い出した。その人独自のケースはよく知らないが、納得のいくような、いかないような出来事だった。

例えば、事業経営や高給取りなどで、十分すぎるほど税金を納めた人がいるとする。その頃、その人は国に貢献している、年金や社会保障制度を支えているとの自負があったはずだ。とはいえ、人生は浮き沈み、破綻や解雇などで、収入の道が途絶えたとする。その人に子供がいたとして、子供の世話になるべきなのだろうか?

これまで多額の納税をしてきたのは、こういった「まさかの時」のための備えだと聞かされてきた。ところが、困った時に子供や周りの人々に頼らず、預けていた自分のカネのつもりで生活保護を受けたら、袋叩きの如く責められた。

私なら、子供が勘違いを始めたなら距離を置く。また、子供の世話にはなりたくない。どうにもすっきりしない夢だった。

・「デフレは極めて低い失業率の裏返しだ」、白川前日銀総裁

白川前日銀総裁は、「金融政策の効果はかなり限られている」と言う。そう思うなら、なぜ、中央銀行の総裁職を受けたのだろう。また、ほとんど何もしなかった前総裁が、何を根拠にそういった発言ができるのだろう。根拠は経済学だというのなら、実務のトップには相応しくない人選だった。政策担当者に相応しいのは評論家ではなく、実務のリスクを取る人間だ。その面で、私は黒田総裁を評価している。

こんな夢にはうなされる。二度と見たくない悪夢だった。

配信元: みんかぶ株式コラム

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