国民の年金を食い物にしていると言われても仕方がないGPIF

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最新投稿日時:2014/05/13 11:40 - 「国民の年金を食い物にしていると言われても仕方がないGPIF」(みんかぶ株式コラム)

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国民の年金を食い物にしていると言われても仕方がないGPIF

著者:矢口 新
投稿:2014/05/13 11:40

抜粋:GPIFは短期ポートフォリオ新設を、国債大量売却も-植田教授
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N5F6146JTSED01.html

先月まで年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )の運用委員会の委員長を4年間務めた東京大学大学院の植田和男教授は、物価・金利の上昇リスクがある過渡期には、国債をいったん大量に売却するなど長期の運用方針から離れた対応が必要になると言う。

GPIFの資産構成比率を定めた基本ポートフォリオは、長期金利が「3-5%」程度で安定した後の「50-60年」にわたる運用方針だ、と植田教授(62)は説明。景気変動の周期に近い5年程度の投資戦略については運用委員会で「折に触れて議論したが結論には至らなかった」が、安倍晋三内閣と日本銀行の黒田東彦総裁が2%の物価目標を掲げる中ではインフレ率と長期金利の水準が「がらりと居所を変える可能性がある」と指摘した。

GPIF改革をめぐる「一連の流れは官邸の強いバックアップを受けている」ため、従来なら「言い出しても通らない雰囲気だった思い切ったことも実現できる可能性がある」と指摘。これまで運用委員の「頭の中にはあった」という、基本ポートフォリオから「かなりずれた」期間限定のポートフォリオ策定をGPIF内部から提案する意義があると話した。

植田教授は、短期のポートフォリオを定めて国債を「相当大量に」売却した後、現金で保有するか、国内株や外貨建て資産に振り向けるかは「人によって意見が分かれ、難しい」と語る。最も安全なのは現金のまま金利が上がるのを待ち「利回りが向上した国内債を買い直すことだが、政府は国内株に投じてほしいだろう」と言う。「官邸は明らかにGPIFを使って短期の株価や為替レートを支えることで日本経済を支援できたら、という意識があると推察される」とも話した。

植田教授は短期的な投資戦略は「行き当たりばったり」ではなく、基本ポートフォリオとは全く異なる「ある種の理屈に基づく」必要があるとも指摘。「プロセスについても非常に厳しい説明責任が必要だ」としている。また、短期ポートフォリオの新設以外にも、保有国債のデュレーション(平均残存期間)短縮や、乖離(かいり)許容幅の一時的な拡大、年金財政への拠出金枠の戦略的な増額と活用などもあり得ると説明した。

GPIFは従来、保有資産の構成比率が市場実勢に応じて目標値から乖離しても途中では何もせず、許容幅の上限・下限に達したら適宜リバランスするのが唯一の「機械的な作業」だったと、植田教授は言う。しかし、短期的な投資戦略の策定や運用は「責任は重いが、GPIFの内部で十分できる」と言い、早めに動かないと意味がないが、インフレリスクの程度も見極めつつ、段階的に実施すべきだと述べた。

(以下、矢口)
「最も安全なのは現金のまま金利が上がるのを待ち利回りが向上した国内債を買い直すこと」は、年金の運用手法として適切な提案だろうか?

日本ではデフレ、超低金利が少なくとも10年タームで続いてきた。デフレ時に債券を持つことは、原則的には間違いではない。また、インフレ政策に転じた時、債券を売って現金化することも間違いではない。確かに最も安全な運用かもしれない。ところが、どちらも必要なリターンが得られない。

驚くのは長期金利が「3-5%」程度で安定した後の「50-60年」にわたる運用方針と、GPIF設立以降にはない金利水準を、年金運用に当て嵌めてきたことだ。実際には「1%以下」の長期金利が続いているのに、全く見直しすら行わなかったことだ。

また、今後は「言い出しても通らない雰囲気だった思い切ったことも実現できる可能性がある」ともある。

リターンがなくても安全、架空の利回りでの方針でもOK、通らない雰囲気ならば言わないなど、コメント全体に共通して流れているのは、120兆円を運用しているという使命感の欠如だ。大金というだけなく、多くの人々の生活がかかっている恐ろしさに対する信じられないほどの鈍感さだ。

「責任は重いが、GPIFの内部で十分できる」とは、思えない。まず、投資そのものをよく知らないし、「言い出しても通らない雰囲気」になれば、また黙るような体質だからだ。「政府は国内株に投じてほしいだろう」と、どこまでも政府の方針通りで、自己の判断を示そうとしない。誰も責任を取らない、無事に勤めあげて、その間の報酬を確保したいという人たちの性質には3分の理があるので、簡単には変わらないかと思う。

年金は税金と同じだ。政府官僚の使い方、運用の仕方に多くを期待することはできない。やはり、自分の身は自分で守るしかないのを痛感するコメントだった。

配信元: みんかぶ株式コラム

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