9月1日は防災の日
熊本地震でも問題となったのは、住宅耐震化工事の遅れだ。耐震化というのは、1981年にできた「新耐震設計基準」に基づいて設計された新しい建物と、この基準ができる前の建物であっても、壁の補強など改修工事を済ませた建物ならば、耐震性があると認められるというものだ。熊本県の耐震化率は、全国平均の82%よりもやや低い76%にとどまっていた。耐震化率は都市部が高く、周辺に行くほど低くなる傾向がある。
こうしたなか、国土交通省は24日、40歳未満の若年層に限り、中古住宅を購入し、リフォーム工事や耐震改修をした場合、最大65万円を補助する新たな制度を創設する方針を決めた。耐震化工事費用の平均額は約150万円程度とされており、新たな補助制度の導入で工事が促進されることになりそうだ。
耐震化工事関連の個別銘柄としては、住宅資材総合大手の大建工業<7905>がある。同社は、火山性ガラス質材料と鉱物質繊維で作られた構造用面材「ダイライト」を開発し販売している。この商品は耐震性に加え、難燃性で軽量、施工性にも優れている。
兼松日産農林<7961>の環境パイル工法は、円柱状に成形した木材を圧入専用重機で地盤中に無回転で圧入し、これを地盤補強材(杭材)として利用する工法。従来の木杭を用いた地盤補強技術は、腐朽やシロアリなどの影響が懸念され、耐久性に問題があるとされていたが、防腐・防蟻処理を施した木製補強材を用いることでこれを克服している。
このほかに、三井不動産<8801>系の住宅メーカーで、ツーバイフォーのリーディングカンパニーである三井ホーム<1868>は、耐震設計に強みを発揮しているのに加え、リフォーム・リニューアル部門の売上高比率が全売上高の15%に達するなど、耐震化工事でも実績がある。