7月6日、米国は当初の予定通り中国からの輸入品(340億ドル相当)に対し
25%の追加関税措置を発動しました。
対象は自動車、半導体、医療機器、機械など818品目に上りますが
このうちおよそ200億ドルは外国企業の生産品で、勿論米国企業も含まれます。
(中国で組み立てられるアップル製品等、一部の米国企業製品は課税対象外)
因みに中国人民銀行は、米国が500億ドル規模の追加関税措置を実施した場合
中国のGDPを押し下げる効果は0.2ポイント程度だと試算した上で
追加関税の応酬が始まったとしても
資本市場や為替市場に与える影響は限定的だと述べています。
何れにしても、この問題が表面化して既に2か月以上経過していることや
米国には中国での売り上げ比率が50%を超える企業もあること。
さらには輸入部品を使用する米国内製造業のコストアップなどから
貿易戦争に反対する世論が高まっているのも事実だけに
脅しは続けても、追加関税の要求は徐々にトーンダウンすると予想しています。
<2018年後半の株式市場予測>
①米中貿易戦争も500億ドル規模は織り込み済み
今後5000億ドル規模という途方もない追加関税が実施されない限り
この問題が株価に与える影響は、ヘッジファンドの介入さえ無ければ
極めて限定的だと考えます。
②最悪の事態を避けるため、米中2国間協議が再開されるとの報道あり
③米中間選挙(11月)までトランプ政権は株価を下げたくない筈で
恐らく追加減税やインフラ投資の話題で急場を凌ぐのではないでしょうか
④中間選挙で共和党が勝利すれば
公約である10年で2000億ドル規模のインフラ投資が実行に移され
米国だけでなく、世界経済にとって追い風になることは間違いありません
⑤東京市場で日本株を売買する外国人のうち70%は欧州系で
介入するヘッジファンドもまた欧州系が中心です
さらに今彼等の関心事は「安倍首相三選の有無」であり
三選なら日本株をオーバーウェイト、退陣ならアンダーウェイトに
それぞれ位置付けると断言しているヘッジファンドもあるそうです
⑥日本を取り巻く地政学的リスクは決して侮れませんが
少なくとも北朝鮮問題は米国が強硬姿勢を続けており
再び緊張が高まる恐れは無いと考えます
以上から曲がり屋の年末株価予想は以下の通りです
①米中貿易戦争は意外に長引かないと予想
中国の報復はトランプ大統領の支持母体である中西部の農家を直撃するため
トランプ大統領も妥協点を模索せざるを得ない
②新興国経済の体力はかなり強化されており、米国利上げの影響は限定的
③消去法的に安倍首相三選の可能性が高い
細田派、麻生派は安倍氏支持、竹下派はキャスティングボートを握る作戦か
④2015年に起こったチャイナショックの再現は可能性が低い
http://www.smam-jp.com/documents/www/market/report/marketreport/china/news180710ch.pdf
という訳で、日経平均は年末に年初来高値を付ける可能性があると思います。
勿論①~④の条件が満たされた場合という条件付きですが
個人的には25000円~27000円と予想して置きます。
<補足>
石破氏は金融緩和に反対の立場であり
石破総裁なら日経平均は2014年10月の追加緩和以前の水準
15500円へ向かう可能性が高いと予想しています。
また岸田氏も財政再建派なので18000円以下。
それ以外は予測不能ですが、18000円以上はまず無いだろうと考えています。