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「厳しい舵取りを迫られるKDDI」 ③

後手に回る「フェムトセル」解禁への対応

携帯電話キャリアのワイヤレス網だけでなく、固定網も含め通信業界に大きな影響を及ぼすものに「フェムトセル」がある。「フェムトセル」は一般家庭や企業の事務所などに置ける超小型の携帯電話基地局のこと。モバイルキャリアにとっては「電波の不感地域対策」という“錦の御旗”があるのだが、日本では通信法の枠組みから認められていない。基地局とは、通信事業者の管理下で、常時電源を落とさず(つまりは無停止電源装置を備え)、移動することもまかりならず、という性格のものでなくてはなない。これは“総務省が”というより、“NTTが”そういう規制でないと事業上厳しいから制度保障が継続されていると見るべきだろう。

国内での遅々とした議論や露出に比べ、海外での「フェムトセル」展開は急だ。単に「電波の不感地域対策」などという表面的な理由からではない。携帯電話の「オールIP化」へのショートカットとして見ているからだ。

携帯電話のネットワーク構成は、大きく「バックボーン」、「バックホール」、「ワイヤレスアクセス網」の3つの段階に分かれる。このうち、現在IP化が進んでいるのは基幹網の「バックボーン」のみの状況。一部に基地局のIP化が進められるものの、基地局-センター間の「バックホール」のIP化は進んでいない。「フェムトセル」を家庭や企業のブロードバンド回線に直結すれば、モバイルキャリアは入り口から全てデータをIPで扱えるうえ、ユーザーのブロードバンド“常時接続”のコストに、キャリア負担が転嫁されるため運用コストは大幅に削減できる。フェムトセルの費用負担が(リース契約の手段も含め)ユーザーに転嫁できれば、キャリアの設備投資は圧縮できるだけでなく、場合によっては売上増さえ見込めるものとなる。同時に、基地局が直接通信する端末数が低減されることにより、運用コストを低減できる。上限キャパシティの見直しによって、新たな構築コストもセーブできよう。海外では、米SprintNextelがWiMAXの基地局として、同じくAT&TはAppleからの要求に対応し3G基地局の早期整備のため、フェムトセル導入の動きが活発化、欧州での動きは更に早い。

NTTグループは持ち株に固定網、携帯網がぶら下げられた構成であり、オールIP化に向けたNGNの構築も部門ごとに進めた上で統合していく青写真を持っている。先に述べたとおり、携帯網のIP化が遅れてIP化された固定網にマージされる計画だが、整備された基地局資産(要償却資産)を抱えるドコモにとって、基地局のIP化を進めていくコストは馬鹿にならない。かといって、フェムトセル解禁で、これまで築き上げたファイバ網のユーザー接点を、他社に押さえられては、NTT東西も単なる“インフラ屋”になりさがってしまう。ここで言う“他社”とはファイバ網の解禁を迫るSBM、孫ソフトバンクに他ならない。NTTも自らフェムトセルのR&Dを進め、実証実験を繰り返しているが、2008年に“家庭まで含めた”フェムトセル解禁を要求するソフトバンクの姿勢は、世界の趨勢など“正論”を背景としているだけに、総務省は落としどころに苦慮するだろう。

かかる流れで、総務省はNTTのソフトランディングに、例えば「管理監督者を置くことができる事業者事務所に限り、フェムトセル設置を認可する」ような、折衷案を提示してくることになるだろう。事業者向けフェムトセルは同時に、IP-PBXやSIPサーバーの領域に踏み込むことも意味する。W-CDMAやHSPAなど3G/3.5Gだけでなく、WiFiインタフェースを持ったフェムトセルが音声をVoIPパケットとして扱うことは、事務所に直結するブロードバンド回線との親和性を考えれば何の違和感も無いどころか、すぐにでも進んでいく方向だ。企業向けだけに提供されているデュアルモード端末がここで効いてくるというわけだ。囲い込みを進めるモバイルキャリアの法人戦略にとっての“切り札”的戦略商品となり、激しい戦いが予想される。

これまでのところ、au/KDDIにフェムトセル開発の動きはほとんど見えてこない。一方、目を「携帯電話の法人戦略」に移して見えてくるのはWiFi内線施策だが、「その場しのぎ」の感が拭えない。企業に設置されるIP-PBXは、そのベンダーごとに「方言」を持っている。IP電話の構築に使われるSIPはその規定が“前びろ”に設計されており、ベンダー各社の扱い方に差があるためだ。この方言の吸収をau/KDDIでは、接続するIP-PBXごとにIP-PBXベンダーが個別に用意するミドルウェアを、端末のBREW上に準備することで実現するアプローチをとる。同じ会社が作りこむSIPだから接続性に問題が発生しようはずはないが、そもそも標準に沿ったカタチでフラットなIP網を構築しようとするフェムトセルの設計思想とは相容れない考え方だ。

運用のされ方次第で、通信事業者にとって大きなパラダイムシフトを起こしかねない「フェムトセル」。固定網も携帯網も1社で抱えるau/KDDIの準備は出来ているのか?少なくとも現在伝わってくる情報からは、ネガティブな兆候しか見て取れない。

「厳しい舵取りを迫られるKDDI」④(最終回)へ続く
http://minkabu.jp/blog/show/25716
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