1. 事業概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポートを手掛けている。
創業以来、金融機関や大手企業を中心としたメインフレーム向けの製品が安定収益源となっており、高い収益性を誇っている。また、過去においては、顧客のジョブ管理や帳票管理など、ITシステム運用の自動化、効率化に貢献することで同社の業績も着実な成長を遂げてきた。
システムのオープン化やダウンサイジング化の進展、クラウドの普及、ビッグデータの活用など外部環境の変化を受けて、それまでのITシステム運用の自動化、効率化に貢献する分野(生産性向上など)に加えて、顧客の企業価値向上に直接貢献する分野(市場拡大や競争力の向上など)へと事業領域を拡充。ITの「攻め」と「守り」の両面において、顧客のデジタル変革ニーズに対応するための事業体制の確立が、同社の強みとなっている。最近では、サービスモデルの強化(既存製品のクラウド化によるサブスクリプションモデルへの転換)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)などにも取り組んでいる。
事業セグメントは(1)クラウド事業、(2)プロダクト事業、(3)ソリューション事業、(4)メインフレーム事業、(5)システムインテグレーション事業の5つに区分される。創業以来の主力である(4)メインフレーム事業の構成比は、他の事業の伸長により低下傾向にある一方、成長分野である(1)クラウド事業が大きく伸びてきた。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) クラウド事業
データ活用、システム運用、労務管理・バックオフィス業務などの領域において、同社グループの製品及びサービスをクラウドサービス(利用料課金型)で提供している。主力製品として、統合的なサービスマネジメントプラットフォームである「LMIS」※1や人材派遣業界等向けのSaaS型勤怠管理サービス「DigiSheet」※2、業務効率化ニーズに対応した経費業務管理サービス「らくらくBOSS」※3を展開。ほかにも、働き方改革のニーズに対するセキュリティ機能を備えた「infoScoop×Digital Workforce」※4の販売を推進するとともに、事業の強みを活かした新サービスをグループ全体で開発中である。また、クラウド型データセンターを運営するアイネット<9600>※5との協業により、アイネットのクラウド基盤上でのサーバの運用管理やセキュリティ対策、障害発生時の対応まで幅広くサポートする「ユニリタクラウドサービス」の提供も開始している。
※1 「LMIS」は、ITサービスに限らず、企業が提供するすべてのサービスを管理するサービスマネジメントプラットフォームである。
※2 子会社の(株)アスペックスが提供。
※3 子会社の(株)無限が提供。
※4 「infoScoop×Digital Workforce」はシングルサインオンやID管理機能を持ち、業務効率向上とセキュリティ強化に貢献するクラウドサービスである。
※5 2017年5月に資本業務提携を締結。
(2) プロダクト事業
自社開発のオープン系パッケージソフトを中心とした製品の販売を行っている。データ活用領域では、非定型でリアルタイムに生成される膨大なデータを連携させ分析・活用するためのソフトウェア製品並びにサービスを提供するとともに、システム運用領域では、基幹業務システムを正確・効率的に稼働させるために必要なソフトウェア製品並びにサービスを提供している。製品の使用権の許諾料(ライセンス料)及び製品価格の一定割合の保守料が収益源となっている。主力製品には、ジョブ管理ツール「A-AUTO」(自動化領域)※1やデータ連携・統合ツール「Waha! Transformer」(ETL領域)※2のほか、子会社によるバス事業者向けIoT型ソリューション※3、BCP対応製品※4なども展開している。
※1 「A-AUTO」は、異なるプラットフォームで稼働するシステムのジョブを統合管理し、自動実行制御を実現するバッチ処理のジョブ管理ツール。
※2 「Waha! Transformer」は、業務で利用される様々な形式のデータを必要な形式にノンプログラミングで変換する国産ETLツール。
※3 IoT技術を活用したバス事業者向けソリューション。バス位置検索システム(路線検索、運行位置情報検索等)のほか、バス乗降者数をリアルタイムで計測できるシステムも開発。子会社の(株)ユニ・トランドが提供。
※4 ビジネス・コンティニュイティ・プランの略。災害や不祥事などの緊急事態が発生した際、特定の重要な業務を中断しないこと、または万一活動が中断した場合でも事業の中断によるロスを最小化するために策定される計画。子会社の(株)ビーティスが提供。
(3) ソリューション事業
「クラウド事業」及び「プロダクト事業」の拡大に当たって、両事業の前後の工程を担うものであり、顧客のデジタル変革を支援するためのシステム運用やデータマネジメントのコンサルティングのほか、同社グループの製品及びサービスに付随する導入支援・技術支援を通じて、顧客に付加価値の高いソリューションを提供している。すなわち、「ソリューション事業(コンサルティング)」でマーケットにアプローチし、両事業の製品・サービスの販売につなげ、その後、「ソリューション事業(技術支援、アウトソーシング等)」で一貫したサービスを提供する形となっている。したがって、「クラウド事業」及び「プロダクト事業」拡販の前後の工程となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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