3連休明けとなった3日の米株式市場でNYダウは4日ぶりに反落し、285ドル安となった。1日に米中が追加関税を発動し、中国が米国を世界貿易機関(WTO)に提訴するなどしたため、摩擦激化への懸念から売りが先行。8月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数がおよそ3年ぶりに節目の50を下回り、景気減速への警戒感が広がったうえ、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱も嫌気され、400ドル超下落する場面もあった。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで46円安からスタートすると、朝方には一時20554.16円(71.00円安)まで下落。ただ、円相場が1ドル=105円台後半で伸び悩み、中国・上海株や香港株が堅調に推移していることから、日経平均はプラス圏に浮上した。東証1部の値上がり銘柄は全体の2割強、対して値下がり銘柄は7割弱となっている。
個別では、任天堂<7974>が売買代金トップで3%近い上昇。5日朝に「ニンテンドースイッチ」新作ソフトの情報を配信する予定で、日経平均構成銘柄への採用期待もあって買いが向かったようだ。8月の国内「ユニクロ」既存店売上高が前年同月比9.9%
増となったファーストリテ<9983>のほか、武田薬<4502>や東エレク<8035>も堅調。月次売上が発表された銘柄ではアダストリア<2685>や良品計画<7453>の上げが目立った。また、アトラ<6029>が3日連続でストップ高を付け、東証1部上昇率トップとなった。一方、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、JT<2914>などがさえない。幸楽苑HD<7554>は8月既存店売上高が11カ月連続のプラスとなったものの、売りに押された。また、前日に決算発表した泉州電業<9824>などが東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、その他製品、海運業、精密機器など5業種のみ上昇。反面、金属製品、鉄鋼、石油・石炭製品などが下落率上位で、その他も全般軟調だった。
日経平均は朝安後に小幅高水準まで浮上して前場を折り返し、底堅いとみる投資家は多いだろう。スイッチ新作ソフトの情報配信を控える任天堂など、一部で物色が向かっている銘柄もある。しかし、日経平均に関してはファーストリテが1銘柄で約31円の押し上げ要因となっているところが大きい。東証1部全体で見ると7割近い銘柄が下落。前場の東証1部売買代金は概算で7400億円ほどとなっており、1日を通じても1兆5000~6000億円程度にとどまる公算が大きく、引き続き積極的な売買は手控えられているようだ。為替市場やアジア株式市場は比較的落ち着いているが、後場の日経平均は上値の重い展開となりそうだ。
米国では注目された8月ISM製造業景況指数が市場予想を下回り、節目の50を下回った。NYダウの下落はある程度想定内と捉えられているが、不安定感は拭えない。英国では欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」阻止に向けた緊急動議が下院で可決され、ジョンソン首相が解散総選挙を提案するなど政局混乱が続いている。日本株は日銀の緩和マネーや企業の自社株買い、相対的な出遅れ感などから比較的底堅いが、積極的に上値を追える状況でもないだろう。個人投資家は当面、材料株の短期物色でしのぐ格好になりそうだ。
(小林大純)
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