26日の米株式市場でのNYダウは15.73ドル高(+0.04%)と小幅ながら3日続伸し、S&P500指数と揃って連日で史上最高値を更新。良好な企業決算や10月消費者信頼感指数の改善が好感された。ただ、最高値圏での利益確定売りのほか、目標株価引き下げを受けたSNSサイト運営のフェイスブックの下落が全体を押し下げ、上げ幅は限定的となった。一方、フェイスブックのネットワーク再構築計画による恩恵への期待から、半導体メーカーのエヌビディアが急伸し、ナスダック総合指数も+0.05%と小幅ながら続伸。
米株の連日の最高値更新劇を受けながらも、前日の急伸の反動が優勢となり、日経平均は50円安の29056.01円でスタート。早い段階で29000円を割り込むと、上海株・香港株が軟調なこともあり、じりじりと下げ幅を拡げる展開がその後も続き、前場中頃には28870.25(235.76円安)まで下げる場面があった。ただ、前引けにかけては押し目買いも入り、やや下げ渋った。
個別では、ソフトバンクG<9984>や、任天堂<7974>、レーザーテック<6920>、ソニーG<6758>、東エレク<8035>などの値がさ株やハイテク株に大きく下落している銘柄が目立ち、日本郵船<9101>や川崎汽船<9107>などの大手海運株も軒並み急落。7-9月期営業利益及び上方修正後の通期計画値がともに小幅ながら市場予想を下振れた日本電産<6594>は小高く始まった後はすぐに売りに押され、3%超の下落。業績予想の下方修正がネガティブサプライズとなったキヤノン<7751>は急落。
一方、7-9月期の上振れに加え市場予想を大幅に上回る水準にまで通期計画を上方修正した新光電工<6967>が急伸し、東証1部値上がり率トップに。また、新光電工の好決算が刺激材料となったイビデン<4062>も急伸している。2度目となる通期計画の上方修正を発表したシマノ<7309>も大幅高で値上がり率上位に。そのほか、好決算や業績上方修正を材料に日立建機<6305>、日東電工<6988>、松風<7979>、ホシデン<6804>などが大幅上昇で値上がり率上位に並んでいる。
セクターでは海運業、非鉄金属、電気機器などが下落率上位となっている一方、食料品、輸送用機器、保険業などが上昇率上位に並んでいる。東証1部の値下がり銘柄は全体の67%、対して値上がり銘柄は28%となっている。
日経平均は一時200円超下げ、29000円を割り込んだ。しかし、前日に500円超上昇していたこともあり、反動安は想定内といったところ。決算シーズンが本格化しはじめ、個別株物色が中心となっているため、今後も日経平均は29000円を挟んだ水準での一進一退が続きそうだ。
日本でも決算発表が前日からかなり増えてきたが、これまでの日米の企業決算の内容は総じて良好といえそうだ。米国では金融大手から医薬、消費財メーカーの好決算からはじまったが、その後も電気自動車(EV)のテスラ、動画配信サービスのネットフリックスなどのハイテク株の好決算が相次ぎ、株価も上場来高値を更新する動きが見られている。また、前日の取引終了後には検索グーグルを運営するアルファベットとソフトウェアのマイクロソフトの大型テック企業が決算を発表したが、内容は概ね予想を上回り、マイクロソフトは時間外取引で大きく上昇している。市場への影響力が絶大なGAFAMやテスラなどの決算と株価反応が良好であることは投資家心理の下支えに大きく寄与してくれる。
また、東京市場でも、新光電工、日東電工、日立建機などの電子部品株や景気敏感株で良好な決算が確認されたことは好材料。残念ながら、注目度の高い日本電産については、市場予想をやや下振れたことで株価は下落しているが、こちらも、先行き不透明感がくすぶる中でも通期計画を上方修正してきたこと自体はポジティブに捉えられる。本日は、指数は弱含んでいるものの、決算銘柄だけに限ってみれば、上昇している銘柄が多くみられ、相場全体の雰囲気も見た目程には悪くない様子。日本では決算発表がまだ始まったばかりではあるが、今後の主力株の反応でもポジティブな反応ものが優勢となれば、決算一巡後には日本株を再評価する動きが出てくるかもしれない。
さて、後場の日経平均は引き続き29000円を挟んだ水準での弱含みの推移が続きそうだ。決算前に、本日大きく下落している値がさ株やハイテク株に積極的な押し目買いが入るとは考えにくく、香港ハンセン指数が大きめに下げていることもあって、冴えない動きを強いられよう。なお、本日は信越化<4063>、エムスリー<2413>、ファナック<6954>、富士通<6702>などの決算が予定されている。
<AK>
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