23日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、196ドル高となった。S&P500指数は過去最
高値を更新。新型コロナウイルス変異株「オミクロン型」の入院リスクや重症化率は従来のデルタ株等と比べ低いという調査結果が相次いで出たことや、米製薬大手メルク(MRK)の新型コロナ経口薬の緊急使用が承認されたことで安心感が広がった。また、12月のミシガン大学消費者態度指数(確報値)が上方修正されるなど、経済指標が良好な内容だったことも投資家心理の改善につながった。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで37円高からスタートすると、朝方には一時28870.13円(71.76円高)まで上昇。ただ、ここ数日と同様に薄商いのなか一段の上値追いの動きは限られ、戻り待ちの売りも出て小高い水準でもみ合う展開が続いた。
個別では、レーザーテック<6920>が売買代金トップで3%超の上昇。半導体関連では東エレク<8035>も堅調で、揃って取引時間中の上場来高値を更新している。その他売買代金上位では三井ハイテク<6966>や神戸物産<3038>、ZHD<4689>の上昇が目立ち、任天堂<7974>やソニーG<6758>は小じっかり。業績上方修正や増配を発表したローランドDG<6789>が東証1部上昇率トップとなり、親会社の品川リフラ<5351>による完全子会社化が発表されたイソライト工業<5358>はストップ高水準での買い気配が続いている。一方、川崎船<9107>が2%超下落し、郵船<9101>、ソフトバンクG<9984>、商船三井<9104>、トヨタ自<7203>は小安い。品質不正に関する調査結果の第2報等を公表した三菱電<6503>に売りが出ているほか、ネットプロHD<7383>などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、機械、精密機器、電気機器などが上昇率上位。一方、保険業、陸運業、海運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の47%、対して値下がり銘柄は45%となっている。
米市場では新型コロナ「オミクロン型」への懸念後退につながるニュースや良好な経済指標を受け、主要株価指標が揃って3日続伸。S&P500指数は過去最高値を更新し、東京市場もこうした流れを引き継いだ。ただ、日経平均は米株価指標と比べ上値の重さが鮮明で、東証株価指数(TOPIX)に至っては-0.01%で前場を折り返した。ここまでの日経平均の日中値幅は66円ほどにとどまっており、東証1部売買代金は8700億円あまりと前日以上に低調だ。なお、前日の東証1部売買代金は1日を通じ1兆8853億円と、7月6日以来の低水準だった。東証1部の値上がり銘柄数は値下がり銘柄をやや上回る程度で、業種別騰落率では下落しているセクターの方が多い。
前日も触れたが、海外投資家の多くはクリスマス休暇中(欧米アジアの主要株式市場も振替休場となる)。また、年末を前に持ち高を大きく動かす機関投資家は限られる。主な取引参加者は残った個人投資家や機械的に売買するタイプの機関投資家のみとみられ、このことは東証1部売買代金、それに売買代金上位の顔ぶれや値動きを見てもわかるだろう。
前日の日経平均は後場に入り強含み、高値引けとなったが、先物手口を見ると外資系証券各社がTOPIX先物をやや買い越ししていた。香港などのアジア株が堅調だったことを受けた買い戻しとみられる。株価指数先物の取引も低調となっているため、多少の買い戻しでも相場に与える影響が大きいと考えられる。
ここから年末年末にかけて目立ったイベントはなく、年明け1月5日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表まで休暇を決め込む米ファンドマネジャーが多いという。S&P500指数の高値更新は短期筋の買いや売り方の買い戻しが演出した「実需筋のいないラリー」なのかもしれない。
日本株はというと、前日もネット証券では日経レバETF<1570>が売り超だった。
日経平均が28500円を上回り、個人投資家が利益確定売りのスタンスであることが上値を抑えている要因の1つであると考えられる。もっともS&P500指数が高値更新したくらいであるから、海外勢の先物買い戻しによりもう一段戻りを試す可能性はあるだろう。
ただ、年明け以降はFOMC議事要旨の内容に加え、各種物価統計、1月25~26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果などを見極めたいとする声が多い。先日取り上げたとおり、米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)が実施した調査によれば、多くのファンドマネジャーが最大のリスクとして意識しているのは新型コロナ「オミクロン型」などではなく「タカ派的な中央銀行」である。年末の「実需筋なきラリー」の賞味期限がいかほどか、注意する必要があるだろう。
(小林大純)
<AK>
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