4000円を窺う場面があった。
セクターでは、銀行、非鉄、機械、海運、精密機器などを筆頭に全業種がプラス圏での推移となった。売買代金上位では、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>
といった日経平均高構成比銘柄のほか、東エレク<8035>や信越化<4063>などの半導体関連、村田製作所<6981>、キーエンス<6861>といったその他の電子部品セクターらを筆頭に全面高商状となった。米長期金利の上昇を受けて、三菱UFJ<8306>などの大手金融株も久々の大幅上昇となった。
15日発動予定の対中関税第4弾の延期については相当程度に織り込んではいたが、既存関税措置の減額まで示唆されたことで、市場は本番15日を前に大きくポジティブに反応する格好となった。また、トランプ米大統領は12日、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表やムニューシン財務長官らを集めて対中政策を協議し、米中は10月の閣僚級協議で、農産品や為替問題などに絞った「第1段階の合意」を目指すことで一致したという。中国側と最終的に合意できれば、13日にも文書に署名して発表するとのこと。その他、12日投開票の英下院総選挙の出口調査で、ジョンソン首相率いる与党・保守党が過半数を大幅に上回る見通しと伝わったことで先行き不透明感が払しょくされたことも影響したようだ。
こうしたなか特に注目すべきはやはり半導体であろう。フィラデルフィア半導体株指数は連日の大幅上昇で年初来高値を更新。台湾の半導体受託大手TSMCが10日に発表した月次売上高も堅調だったことで同社の株価も連日での上場来高値更新。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によれば、2019年7-9月期の半導体製造装置の世界出荷額は前年同期比では6%減であった一方、四半期ベースでは4-6月期から12%増と底入れ感が出てきている。2020年の見通しも、販売額が前年比5.5%増と回復見通しだ。昨日発表された機械受注は前月比6.0%減とプラス予想値を下回る結果だったが、こちらも中身をみてみると、半導体セクターが含まれる電気機械は前月比5.7%増と4ヵ月連続での改善となり、半導体市況の底入れ感が確認できる。
ただ、本日取引開始前に発表された日銀短観では、大企業・製造業の業況判断(DI)は0と、こちらも市場予想を下回る結果だった。他の経済指標などをみても、まだまだ製造業全体としては力強い回復の兆しは感じられない。先んじて回復基調をみせている半導体については、関連株は市況回復を先取りする形で総じて高値圏にあり、ここから積極的に手掛けていくには躊躇する段階で、もう一段の具体的な材料が欲しいところだ。15日に実際に既存関税措置の減額など踏み込んだ内容が出るのかを確認したい。なお、全面高商状のなか、唯一マザーズ指数だけが下落しているが、実態としては、これは指数インパクトのない直近IPO銘柄に資金が集まっているためで、個別でみればIPO銘柄中心に中小型株物色の流れも引き続き活発とみられる。来週以降、米中間に実際に具体的な進展がみられれば、本日の全面高商状にも一層の勢いがつき、本格的な年末ラリーとなろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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