―新型コロナ規制緩和の動き加速、「県民割」などに絡む需要増に期待膨らむ―
旅行関連株への関心が再び高まっている。新型コロナウイルス感染第7波の収束が依然見通せないなか、ここにきて水際対策の緩和など感染対策の規制緩和に向けた動きが出始めているためだ。株式市場では米インフレ懸念やウクライナ情勢などの地政学リスクを意識した展開が続いているものの、ウィズコロナの流れはこうしたものとは別次元で進んでおり、これを追い風とするリオープン銘柄の魅力は相対的に増している。なかでも、投資家の視線が真っ先に向かいやすい 旅行関連株に改めて目を向けておきたい。
●水際対策緩和や観光支援策延長へ、秋の需要動向は良好
直近、政府は日本への入国や帰国時に求めているPCR検査について、9月7日から3回目のワクチン接種を受けていることを条件に免除すると発表した。また、1日当たりの入国者数の上限を現在の2万人から5万人に引き上げることや、添乗員がいないツアーにおける外国人旅行客の入国を認めることも検討しているという。
水際対策の緩和に加え、国内では各都道府県の旅行を支援する政府の観光支援策「県民割」が9月末まで延長されることとなった。また、新型コロナの感染拡大を理由に実施が見送られていた東京都民向けの県民割(都民割)についても、9月から再開されることが明らかとなっている。
観光需要の回復に追い風となる動きが続々と出るなか、今後迎える秋の旅行シーズンの予約状況は良好だ。旅行会社大手エイチ・アイ・エス <9603> [東証P]が発表した9~11月の旅行予約動向(8月1日時点)によると、国内旅行の予約者数は前年比2.4倍となっている。同社では、今年はコロナ禍以前と同様に遠方への旅行が復活しているという。
●まずは空運・鉄道株、HISやアドベンチャなど
旅行関連株では、まずは日本航空 <9201> [東証P]やANAホールディングス <9202> [東証P]といった空運株、JR東日本 <9020> [東証P]をはじめとする 鉄道株を押さえておく必要がある。3銘柄とも今期は最終黒字転換を見込んでおり、足もと4-6月期決算では業績の改善が確認されている。
主力どころの銘柄としては、旅行会社のHISやKNT-CTホールディングス <9726> [東証S]、旅行関連サイト運営のアドベンチャー <6030> [東証G]やオープンドア <3926> [東証P]、エアトリ <6191> [東証P]などが挙げられる。このなか、テーマパーク「ハウステンボス」を運営する傘下企業の売却手続きを進めているHISに注目。
業績が急拡大しているアドベンチャも見逃せない。前22年6月期は営業2.4倍増益と高変化を遂げ、続く23年6月期も37%増益と大幅増益の見通しにある。今期配当は前期比2円増の22円を予想しており、増配基調を継続する見込みだ。これら以外では、ホテルの予約管理システムを手掛ける手間いらず <2477> [東証P]に目を配っておきたい。
●ハナツアーJなど小型株にも注目、穴株的な銘柄も
関連小型株では、韓国を中心とするインバウンド向けに旅行手配サービスを提供するHANATOUR JAPAN <6561> [東証G]の注目度が高い。同社は、新型コロナ規制緩和に関する報道を巡って株価を動意させることが多い。ツアー予約サイト運営のベルトラ <7048> [東証G]、ネット専業旅行会社の旅工房 <6548> [東証G]なども。
小型で、かつ穴株的な側面を持つ関連銘柄もマークしておきたい。BRUNO <3140> [東証G]は、キッチン家電をはじめとするインテリア商品やトラベル商品などの生活雑貨を販売。インテリア商品ブランド「BRUNO」が国内外で好調なほか、トラベル商品は旅行需要や出張機会の増加を背景に売り上げを伸ばしており、事業環境は良好だ。23年6月期は売上高、営業利益ともに過去最高を更新する見通しにある。
タカチホ <8225> [東証S]は観光土産品の卸で業界首位級。足もと、4-6月期好決算を受けて株価は動兆しきりとなっている。4-6月期は売上高が前年同期比6割増、営業損益は黒字転換に加えて通期計画超過で着地。行動制限の緩和による観光客の増加を追い風に業績を大きく伸ばした。小型株特有の足の軽さを強みに人気化することも予想される。このほか、旅行ガイドブックを手掛ける昭文社ホールディングス <9475> [東証S]、乗り換え案内サービス運営の駅探 <3646> [東証G]、鉄道経路検索ソフトのジョルダン <3710> [東証S]などを挙げておきたい。
株探ニュース
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