~医薬品製剤用の機械で世界の最先端を走り、高採算の医薬品添加剤も拡大~
【ポイント】
・製剤機械の受注の底入れが遅れている。国内は低調であり、海外でカバーするという展開も十分でない。新製品の錠剤印刷機械はユーザーの投資抑制が響いて、思うようにマーケティングできていない。自動車用のリチウムイオン電池用部材も市場環境がよくない。
・2020年2月期の業績について会社側は下方修正したが、今の受注状況では2021年2月期の上期まで厳しい業績が続こう。その後は、受注も底入れして回復の方向に向かおう。製薬企業は薬価改定の動きに対して慎重は投資姿勢を見せている。また、ジェネリックブーム後の新製品開発や海外市場開拓に向けて手を打っているが、市場開拓には少し時間を要するとみておいた方がよい。
・もう一つの主力分野である医薬品添加剤は、国内向けは順調に伸びているが、2019年2月期に好調であったインド向けが減少している。半面、中国向けが期待できる方向にある。国内では、当社独自の添加剤ノンパレルが急成長しており、当社と信越化学工業で共同開発したSmartEXも拡大が見込める。ここ数年は既存設備の増強で乗り切れよう。
・抗がん剤などの高薬理活性剤への投資が今後拡大する。コンテインメント(封じ込め)がしっかりした製剤機械システムにしないとハザード(害)が生じる。この分野が重要になっている。また、最先端の連続生産用製剤機械の市場開拓も始まった。収益性の高い医薬品添加剤は、国内に加えて海外市場の開拓も可能である。
・中期5ヵ年計画では、国内のジェネリックブームの一巡を前提に、製剤機械の新製品開発と市場開拓と共に、医薬品添加剤の独自分野でのグローバル展開、リチウム電池の電極用コーティング装置の開発など、製剤機械以外の分野の開拓にも力を入れてきた。基本戦略は妥当であるが、実行戦略と目標数値については見直しが必要である。
・次の中期計画の方向としては、売上高250億円、営業利益20~25億円、ROE 10%という水準が目標となろう。2021年2月期の業績は回復に転じるが、本格的な好転はその先になろう。インド、中国などグローバル市場での需要開拓に注目したい。
目 次
1.特色 医薬品用製剤機械の独自開発で発展
2.強み 日本では圧倒的No.1、世界でも3強の1社
3.中期経営計画 新製品の開発力を強化、海外市場の開拓に取り組む
4.当面の業績 2021年2月期の受注はやや好転し、増益に転換
5.企業評価 新規分野の立ち上がりに期待
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2020年2月18日) |
698円 |
時価総額 | 128億円 (18.4百万株) |
PBR | 0.90倍 |
ROE | 2.7% |
PER | 33.4倍 |
配当利回り | 2.9% |
総資産 | 18182百万円 |
純資産 | 12921百万円 |
自己資本比率 | 71.1% |
BPS | 771.7円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2012.2 | 15236 | 1065 | 1123 | 608 | 35.3 | 7.5 |
2013.2 | 16396 | 1470 | 1618 | 765 | 44.4 | 10.0 |
2014.2 | 17616 | 1286 | 1341 | 787 | 45.7 | 12.5 |
2015.2 | 17424 | 1150 | 1249 | 695 | 40.4 | 15.0 |
2016.2 | 19027 | 1346 | 1394 | 961 | 55.7 | 12.5 |
2017.2 | 21164 | 2041 | 2097 | 1064 | 61.7 | 20.0 |
2018.2 | 19801 | 1971 | 1994 | 1477 | 85.7 | 20.0 |
2019.2 | 18408 | 1223 | 1326 | 843 | 50.2 | 20.0 |
2020.2(予) | 17000 | 600 | 600 | 350 | 20.9 | 20.0 |
2021.2(予) | 18000 | 800 | 800 | 500 | 29.8 | 20.0 |
(2019.11ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは直近予想ベース。2009年6月に1:2、2016年2月に1:2の株式分割を実施。EPS、配当は修正ベース。2015.2期の配当は50周年記念配2.5円(修正ベース)、2017.2期の配当は上場20周年記念配5.0円を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/furoinntosanngyou202002.pdf
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