5. ESG
4つ目の取り組みはESGを念頭に事業を行っていくことだ。井関農機<6310>は、国内製造所の生産活動から排出されるCO2を2030年までに2013年度比で26%削減すること(2019年削減率は目標9%に対して実績が12%と目標を上回った)、国内売上高に占めるエコ商品比率を2030年までに50%以上に高めることを目標として設定していたが、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同したことを受けて、さらなる環境経営の推進を実施している。具体的には、同社グループ連結会社全体における生産活動から排出されるCO2を2030年までに2014年度比で46%削減すること、国内売上高に占めるエコ商品比率を2025年までに65%以上まで高めること、取引金額の7割を占めるサプライヤーと連携した削減目標の策定や、環境に配慮した製品の開発を推進することを計画している。CO2排出量削減目標の対象に関しては、「グローバル生産拠点」だったものを「連結会社全体」へと拡大している。これにより、ESG経営をより一層加速させた格好だ。これらの環境経営の推進に加えて、事業を通じて「農業の強靭化を応援」「住みよい村や街の景観整備」「循環型社会を目指す環境保全」という3つの面からSDGsの実現に貢献する考えだ。
また社内活動においても、ワークライフバランスの充実やダイバーシティの確保などにより従業員のエンゲージメントを高めることを目標としている。
ESG投資は近年、頻発する自然災害、サプライチェーンにおける人権問題などを受け、機関投資家や個人投資家の間で急速に広まっている。こうしたなか、ESGを考慮しない企業活動を行っている企業は今後資金を調達することがますます難しくなると弊社は予想する。そういった意味でESGを念頭に事業活動を行っていくことは重要であると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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