14日の米株式市場でNYダウは103ドル安と3日ぶりに反落。12月小売売上高が9年ぶりの大幅減少となったほか、週間新規失業保険申請件数が予想より増加し、景気の先行き懸念から売りが先行した。また、トランプ大統領がメキシコ国境の壁建設のため非常事態宣言に踏み切る方針と伝わり、政治リスクへの警戒感も広がった。為替は1ドル=110円台前半と前日より円高方向に振れており、本日の日経平均はこうした流れを嫌気して88円安からスタートすると、朝方には20853.33円(286.38円安)まで急落する場面があった。その後やや値を戻したものの、アジア株も全般軟調とあって冴えない展開が続いた。東証1部の値下がり銘柄は全体の7割強となっている。
個別では、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、武田薬<4502>などが軟調で、トヨタ自<7203>は小安い。昭電工<4004>は今期業績見通しが市場予想に届かず3%超安。これにつれて東海カーボ<5301>も4%超安と下げが目立つ。他の決算発表銘柄ではトレンド<4704>やすかいらーく<3197>が商いを伴って急落。また、マイネット<3928>はストップ安水準まで売られている。一方、ZOZO<3092>やアドバンテス<6857>はしっかり。ソニー<6758>は小幅に上昇した。スルガ銀<8358>は第3四半期累計で大幅な最終赤字となったものの、足元の預金流出の落ち着きや一部証券会社の格上げ観測を受けて急伸。
また、IBJ<6071>などはストップ高水準まで買われている。セクターでは、食料品、非鉄金属、サービス業などが下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのは石油・石炭製品、電気・ガス業、鉱業の3業種のみだった。
米国の経済減速懸念、政治リスクへの警戒感を背景に米国株が下落し、東京市場でも売り優勢の展開となっている。12-13日の2日間で800円あまり上昇し、節目の21000円台を回復していただけに、目先の戻り一服とみた短期筋の売りが出やすいところだろう。日足チャートでは75日移動平均線が上値抵抗となった格好だが、一方で5日移動平均線レベルでは個人投資家の押し目買いが入っているとの観測がある。12-13日の急ピッチの上昇に乗り遅れ、下押し局面を買い場とみた投資家も多いとみられる。後場の日経平均もこの水準での攻防が続きそうだ。
しかし、前日までに2018年4-12月期決算発表が一巡し、企業業績の面では見直し材料に乏しくなってくる。また、12-13日の株価上昇局面で米政権運営や米中通商協議への楽観的な見方が織り込まれ、短期的にはトランプ氏の強硬発言などによるダウンサイドリスクが大きくなったとも考えられる。市場全体としては外部環境に振らされる場面が続きそうで、決算を受けた銘柄選別がより重要となりそうだ。
(小林大純)
<AK>
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