「日経平均は3万円回復にトライも、注目点は超金融緩和策の継続可否」
●黄信号が灯るのはコロナ終息が見えてきた時
昨年12月29日から受け渡しベースで実質2021年相場に入り、11月の急上昇後にもたついていた動きから様相が一変した。形の上では「棹尾(とうび)の一振」となるが、それだけ新年の株価上昇に対する期待の大きさを表していると言っていいだろう。
動きが変わった背景には、懸案だった米追加経済対策が成立し、経済活動の活発化が期待されたことが大きい。さらに、ワクチン普及の期待も加わり、世界的に新型コロナウイルス第3波で懸念されていた経済悪化が一時的なもので済むとの安心感が広がった。
そもそも、環境面では株価上昇の土台は構築されていたとみるべきだろう。既に米FRB(連邦準備制度理事会)や日銀は超金融緩和策の継続を示していたことで、世界的な株価上昇を支える流動性に当面は変化がみられないとの見方に支配されている。あとは、金融緩和と両輪の経済対策が待たれていたため、これが実現したことによって、流れが変化したのだ。
一方、需給面では年末恒例とも言える、節税を意識した損益通算の処分売りが、2020年も株価の頭を抑えていたようである。それが実質新年相場となることで一巡、環境面での好材料が加わったことで、株価の上蓋が外れたとみていいだろう。こうなると株価の勢いは止まらない。ジャブジャブの余剰資金に支えられた相場は、理屈抜きの上昇相場を演出することになる。
リスク要因として引き続き注目される新型コロナウイルスは、変異種の登場などによって一段と先読みが難しくなった。ただ、コロナの懸念が大きい状況下では、今の相場を支える金融緩和、経済対策に変化が見られないということになる。ここで警戒したいのは、むしろコロナ禍が収まった、あるいは終息がみえてきた時のこと。金融政策に変化が感じられるようになった時が相場に黄信号が点灯することになろう。
2021年の干支は丑。相場格言で「丑つまずく」と干支の中で、2番目にパフォーマンスが悪いというアノマリーがあるが、そうなるかならないかは超金融緩和策が続くかどうかがポイントになるだろう。
以上を踏まえ、相場全体は乱高下を繰り返しながら、日経平均株価は下値2万4000円、年末3万2000円を想定。3万円回復にトライするとみている。
●2021年相場のテーマ
過剰流動性相場が続くものの、物色面でみると、すべての銘柄が上昇するとは限らない。80年代バブル時にも、パフォーマンスの優劣が生じたが、今回の相場でも上昇率に大きな差が生じるだろう。状況によっては、「新しい生活様式」に対応できない企業は、コロナ禍終息後も思ったような回復が見込めず、二極化の形態は「K字型」(下がる銘柄もあるという意味)となる可能性もある。つまり、ポストコロナでは、時代に合わない業態は淘汰され、構造改革の進む企業が買われる──といったイメージになるだろうか。
そうした中、オールドエコノミーが一部復権する可能性があるとみている。バイデン新政権の誕生をきっかけに、環境が世界的に大きなテーマになるとみられ、日本のオールドエコノミーの中でその豊富な技術、ノウハウがある企業が見直されることになろう。
以下、注目したい相場テーマについて列挙する。「環境」(「水素」「電気自動車」などを含む)「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「人工知能(AI)」「eコマース(EC)」「M&A」「物流」「センサー」「半導体」「防衛」「セキュリティー」──などに注目したい。
◆雨宮さんのお薦め「2020年ポートフォリオ10+1銘柄」
三菱重工業 <7011>
関東電化工業 <4047>
千代田化工建設 <6366> [東証2]
東邦チタニウム <5727>
フェローテックホールディングス <6890> [JQ]
タスキ <2987> [東証M]
No.1 <3562> [JQ]
アイシン精機 <7259>
オークファン <3674> [東証M]
アイル <3854>
いつも <7694> [東証M]
2020年12月29日 記
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表:経済ジャーナリスト。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
★元日~4日に、2021年「新春特集」を一挙、“25本“配信します。ご期待ください。
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