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※2018年8月21日9時に執筆
上場企業の四半期決算のピ−クが過ぎ、業績発表の内容で株価が大きく揺さぶられた銘柄は落ち着きを取り戻しつつあるタイミングに差し掛かったようだ。市場全体に手詰まり感の強いこう着状態が「夏枯れ相場」を象徴する8月相場だろう。
そうした相場ぶりが背景にあるからだろうか、個別材料株に投資家の期待を裏切る動きが目立つ。その筆頭格が東海カーボン<5301>だろう。同社の業績動向には個人投資家の注目度も高く、黒鉛電極市況の高騰から同業他社も含め業績の変化率には凄まじいものがある。
今月7日の大引け後の決算発表では事前の期待通り今期3度目の上方修正を発表し、私自身、翌日以降の株価大幅上昇を疑うことは無かった。近年、東証一部の営業利益100億円企業がそれを翌期に6.4倍に増額する事態などお目にかかることはなかった。営業益114億円が740億円に化けるのだからこれこそ異次元の話である。
こうした驚異的な数字を株価に織り込むのは意外に難しい。業績も株価も、投資家が腰を抜かすような動きに突入すると読んだが、案の定、株価はその日を境に急落を演じている。
短期売買を中心に据える個人投資家にとって、業績発表日に保有株を持ち越すか、事前に手仕舞うかは大きなギャンブルだ。株価が業績をまだ織り込んでいないのか、材料出尽くしとして反応するのか、買い方・売り方の業績読みに火花が散る醍醐味がそこにある。
しかも業績が良ければ株価が上がり、悪ければ下がるほど株式投資は単純ではない。発表後の周りの投資家の行動を見てから追随しようとする投資家もいる。スト−リ−が描けないところこそ短期投資の面白さかもしれない。
業績変化率の凄まじさは東証1部の中でも折り紙つきであるし、各紙記事の取り上げ方も申し分の無い、ある意味「すべてが整った」状況にあった東海カーボン株が大幅安まで売る込まれる光景は株式投資の難しさを学習する良い機会だった。
直近で心配されるのは市場が「上方修正銘柄は売り」といったマインドに傾くことだ。東海カ−ボンほどの強烈かつインパクトのある業績修正であっても株価が下がる、といった思考が勢いを増せば、目先の投資家がひねくれたスタンスを取り続ける可能性が高まる。
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執筆者名:兜町放浪記
ブログ名:兜町放浪記
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