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2021年は、地球環境や温暖化の課題に注目が集まり、カーボンニュートラルを目指す国連やIPCCからの情報発信に伴い、各国が2035年〜2060年の間に達成年を設定しCO2削減の動きが多いに加速した年であった。特に重点項目である再生エネルギーやEV関連企業からも続々とアグレッシブな発表が相次いだ。 しかし、実際には2050年カーボンニュートラル達成のハードルは高く、
・グリーンエネルギー(太陽光/風力/原子力等)の比率を上げるための課題
・EVバリューチェーンに潜む課題
・CO2を吸収・回収する CCUやCCS実用化への課題
等々解決の困難な課題が山積みで2022以降、それぞれの立場の企業がどう対処していくべきかの模索が続くだろう。しかし、どの業界の企業もこの変化に大なり小なり業績が影響されていくことは間違い無いだろう。
これらの課題解決のため、すなわちカーボンニュートラルを加速させ、カーボンネガティブを目指すためには、新技術の実用化も一つの大きな鍵となる。新技術の活用により破壊的イノベーション(これまでの既成の産業/市場が置き換わってしまうような変革)がいろいろな業界で起きていくかもしれない。
その芽と動向に注目していきたい。
1. 太陽光・風力発電の先端技術
太陽光発電の効率向上や日本が遅れていると言われる洋上風力の浮体新技術等が注目される。
・エイチ・アイ・エス<9603>は、フィルム構造で太陽光発電の変換効率をあげる新技術ペブロスカイト(PSC)の量産をポーランドのベンチャー企業とともに実現しつつある。
・大成建設<1801>は、浮体式の洋上風力発電の技術開発で室蘭市と提携、ENEOS<5020>は、洋上風力発電の事業開発を海外企業と連携して推進している。
2. EVの普及加速のためのバリューチェーンにおける新技術
裾野の広い自動車産業において、ガソリンとエンジン市場を急速に減衰させる破壊的イノベーションが進行しつつある。はっきりしていることは、ガソリン/エンジンを使わない車が増え、EV用モータ、EV用電池とMaaSが大きく伸びていく事である。
・トヨタ<7203>がEV車載電池へ1.5兆円の投資を発表し、EVのバリューチェーンの重要なポイントでの競争力をつけようとしている。
・パナソニック<6752>は、テスラへの電池供給をベースに世界でNo1のEV電池サプライヤであったが、近年中国のCATLに抜かれてしまった。今後は、日本が主導するリチウムイオン電池の新技術“全個体電池”の実用化を急いでいる。ルノー・三菱自<7211>・日産自<7201>は、全個体電池での連携も強化しつつある。
・リチウムイオン電池用の希少資源の争奪も熾烈だ。90%を占める資源国(オーストラリア、チリ、中国、アルゼンチン)以外の国は、資源国から入手しなければならない。豊田通商<8015>は、10年前からに豪州での調査・事業投資を実行してきた。2021年には、脱炭素社会の実現に向けて、2030年までの間に1.6兆円規模の投資を推進することを発表した。
・日本電産<6594> は、世界最大のモータ会社に成長したが、EVモータのシェアも2030年に40-50%を目指している。その中で一つの重要な新技術がインホイールモータの開発と実用化だ。 日立<6501>も開発を急ぐインホイールモータによる「ダイレクト駆動システム」は、モビリティデザインの自由度をあげ、小型・軽量化、コンパクト化、省エネルギー化をもたらす自動車産業の破壊的イノベーションにつながる可能性を秘めている。
・EV用モータのバリューチェーンの希少資源としてネオジム磁石が主役となっているが、デンソー<6902>は、ネオジム磁石と同等かそれ以上の性能が出せる「鉄ニッケル超格子磁石」の実用化に取り組んでいる。
3.CO2を吸収・回収する新技術
・鹿島建設<1812>や日本コン<5269>は、それぞれがCO2吸収コンクリートを開発し、その製造技術を共同研究し、建設業界におけるCCUによるカーボンネガティブを先導している。
・林業・建設業界のカーボンニュートラルへの貢献としてCLTが注目されているが、竹中工務店<非上場>や住友林業<1911>などの大手が耐久性・コストの点からその実用化を目指している。
・膨大な熱処理を行う基幹産業では、多量のCO2を排出している。自責として回収・貯蔵するCCS技術の導入が求められている。千代化建<6366>は、水素製造過程ででるCO2をCCSと組み合わせ技術導入を目指している。
上記に挙げた新技術の例はカーボンニュートラル時代の企業の業績をあげるための重要な領域だと思われる。この重要な課題に挑戦している会社に期待をかけ、今後もその動向に着目した情報を発信していきたい。
執筆者名:三竿郁夫 IA工房代表
ブログ名: 「IA工房」
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