同社グループでは、「調剤システム事業及びその関連事業」「医科システム事業及びその関連事業」「介護/福祉システム事業」「その他の事業」の4つの事業を展開している。「調剤システム事業及びその関連事業」は薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムを開発、販売し、付帯するサプライの供給、保守メンテナンスサービスを行い、全社売上高の76.6%(2020年3月期)、全社営業利益の103.7%(同)を占める大黒柱である。「医科システム事業及びその関連事業」は、クリニックを主とする医療機関向けに医療業務処理用コンピュータシステムを開発、販売し、付帯するサプライの供給、保守メンテナンスサービスを行い、全社売上高の13.3%(同)、全社営業利益の10.0%(同)である。「介護/福祉システム事業」は、介護/福祉サービス事業者向けのシステムと医療介護連携ソリューションを開発、販売し、保守メンテナンスサービスを行う。なお、「介護/福祉システム事業」は全社売上高の3.5%(同)だが、先行投資を行っているため、まだ利益が出ていない。「その他の事業」は、連結子会社を通じて、スポーツジム、保育園、薬局を運営し、全社売上高の6.6%(同)、全社営業利益の7.9%(同)である。
1. 調剤システム事業及びその関連事業
薬局向けの調剤業務処理用コンピュータシステムの開発・販売、付帯するサプライの供給や保守メンテナンスサービスを行っている。
主要製品は薬局向け医療業務処理用コンピュータシステム(製品名:「Recepty NEXT」)で、自社開発のソフトウェアをパソコンに導入調整してユーザーに納入する。同社及び連結子会社のコスモシステムズや販売代理店経由で販売している。OEM供給も行っており、ユーザーの薬局数は16,233件(2020年3月末、シェア32.5%)となっている。また、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)によるインターネットを利用した調剤レセプト支援システム、グループ薬局以外の在庫情報等を共有することができるシステムも提供している。
2020年3月期下期のセグメント間内部取引消去前の売上高は5,339百万円(前年同期比2.4%増)、セグメント営業利益は707百万円(同31.0%減)であった。ハードウェア提供方法の変更に伴う粗利減少により、一過性の減益となっている。
「初期売上」などのフロー売上と「課金売上」を始めとするストック売上に分けると、既にストック売上がフロー売上を上回っており、2020年3月期下期ではストック売上が6割を超える。
2. 医科システム事業及びその関連事業
クリニックを主とする医療機関向けの医療業務処理用コンピュータシステムの開発・販売、付帯するサプライの供給や保守メンテナンスサービスを行っている。主要製品はクリニック・無床診療所向けの医事会計融合型電子カルテシステム(製品名:「MRN(Medical Recepty NEXT)カルテスタイル」)及び医事会計システム(製品名:「MRNクラークスタイル」、「ユニメディカル」)で、同社またはEMソリューションが自社開発したソフトウェアをパソコンに導入調整しユーザーに直販、または販売代理店経由で販売する。2016年7月より「買ってすぐ使える電子カルテ」をコンセプトとした診療所向け電子カルテシステム「オルテア(Ortia)」の発売を開始した。ユーザーである診療所・クリニック数は2,810件(シェア3.1%、2020年3月末)となっている。
2020年3月期下期のセグメント間内部取引消去前の売上高は957百万円(前年同期比14.9%増)、セグメント営業利益は67百万円(同42.7%減)であった。「課金売上」主体のビジネスモデルに向けて転換の最中であり、一過性の減益となっている。「初期売上」などのフロー売上と「課金売上」を始めとするストック売上に分けると、既にストック売上がフロー売上を上回っており、2020年3月期下期ではストック売上が5割を超える。
3. 介護/福祉システム事業
介護/福祉サービス事業者向けシステムと医療介護情報連携ソリューションの開発・販売、保守メンテナンスサービスを行っている。2019年2月に、ジャニスから介護サービス事業者向けシステム事業を譲受し、2019年3月に施設系サービス分野及び地域包括支援センター向けサービス分野に強みを持つエムウィンソフトを連結子会社化し、介護/福祉サービス事業者向けシステム事業分野は大幅に強化された。これにより同社に今まで欠けていたピースがそろい、ヘルスケア分野(医科・調剤・介護/福祉)全般に対しての対応が可能となった。ユーザーの介護/福祉施設数は13 ,752件(2020年3月末、シェア5.5%)となっている。
2020年3月期通期のセグメント間内部取引消去前の売上高は497百万円(前期比482.1%増)、セグメント営業損失は348百万円(前期は129百万円の損失)であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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