―民泊新法、新型iPhone、日米政局…必見イベント軸に後半相場の行方を探る―
ゴールデンウイーク(GW)の連休が終われば、早くも年後半を視野に入れた相場が始まる。5月初旬までの前半相場は、年初の予想に比べて上値が重く、日経平均株価は1月高値を抜けない状態が続く。ただ、足もとの円安進行とともに、全体相場は上昇基調に入りつつあり、先行きには明るさが見え始めた。そんななか、今年後半相場のポイントは何か。市場の関心を集める注目イベントを中心に、後半相場の行方を探った。
●6月15日に「民泊新法」が施行、スマートロック関連など注目
年後半の株式相場では、安倍内閣による6月の「成長戦略」の発表が関心を集めるが、その内容は、電子政府の推進や第5世代(5G)移動通信システムの実現、介護ロボットの活用などと見られ、やや目新しさには欠けることも予想されている。
そうしたなか、注目されるのが6月15日の「民泊新法」の施行だ。20年の東京五輪に向けたホテル不足解消の切り札とも言われる民泊 だが、新法の施行により「年間の営業日数は180日」に制限されるものの、一定条件さえ満たせばフロントの設置が不要で住居専用地域(住宅地)で営業が可能となる。新法施行を視野に、民泊分野に不動産や旅行関連企業などがこぞって参入している。関連銘柄は、LIFULL <2120> やTATERU <1435> 、エボラブルアジア <6191> 、シノケングループ <8909> [JQ]、それにスマートロックの構造計画研究所 <4748> [JQ]など。
●9月に新型iPhone登場か、液晶シフトの観測も
また、9月には米アップルから「新型iPhone 」が発表される見込みだ。17年はiPhone誕生10周年モデルの「iPhoneX(テン)」が鳴り物入りで登場した。有機ELを採用しホームボタンを廃止するなど、その大幅刷新が話題を呼んだが、64Gタイプで10万円を超す高価格もネックとなり、販売は不振との見方が強まった。1日に発表されたアップルの1~3月期決算は堅調だったものの、依然先行きへの警戒感は残る状況にある。
そんななか、今秋に新たに発売されるiPhoneが注目されている。「新型iPhoneの愛称が9となるかXⅠ(イレブン)となるかはまだ不明」(業界関係者)だが、より手頃な価格帯が模索されるとの見方が出ている。このため、「歩留まりが悪く高価格化の要因となった有機EL搭載モデルの販売数量を減らし、高精細の液晶搭載モデルを増やすことも」(同)との観測も出ている。この流れは、目先的には液晶に強い日本メーカーには追い風となろう。ジャパンディスプレイ <6740> やシャープ <6753> 、それにNISSHA <7915> などiPhone関連株を改めて注目しておきたい。
●「自民党総裁選」「米中間選挙」の日米政局が相場左右
18年後半相場の大きなポイントとなりそうなのが、日米の政局だ。日本では9月に自民党「総裁選」、米国では11月6日に「中間選挙」が実施される。安倍内閣の支持率低迷とともに市場には「Abexit(安倍政権の終了)」との言葉も飛び交い始めているだけに、総裁選への注目度は高まりそうだ。自民党総裁選を経て、「最終的には安倍政権が継続する」(アナリスト)との見方は少なくないものの、「6月20日の国会会期末以降、政局が相場のテーマとなる」(同)との声が出ている。安倍首相の有力対抗馬は石破茂・元自民党幹事長と岸田文雄政調会長で両氏ともに中小企業、地方重視路線を敷くとの観測がある。地方創生関連の七十七銀行 <8341> や静岡銀行 <8355> など地銀や福田組 <1899> や北野建設 <1866> といった地方建設株など注目したい。自民党総裁選の行方は、19年10月に予定されている消費増税を実施するかどうかの決断に影響する可能性がある。
さらに、トランプ米政権の動向にも注目が集まる。トランプ大統領率いる共和党が中間選挙に勝利すれば、インフラ投資活発化でコマツ <6301> など建機株や、塩ビの信越化学工業 <4063> 、セメント関連の三菱マテリアル <5711> などが見直される可能性がある。一方、トランプ政権への不信感で米共和党が敗北した場合、大統領は共和党だが、議会は民主党という「ねじれ」が生じることを嫌気する売りが膨らむこともあり得る。ただ、一方では「米国の保護主義が後退するとの観点からはプラス面もある」(アナリスト)との見方も出ている。このプラス面を評価した場合、米国のアマゾン・ドット・コムやアップルなどが上昇し、日本でもIT関連株が買われるという状況も起こり得そうだ。
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