2. マーケットエンタープライズ<3135>の強みと特長
リユース品の取引においてはCtoC(個人間取引)の成長が注目を集めている。それに対して、同社も含めたリユース事業者が介在する取引はCtoBtoCとなり、両サイドのC(売り手と買い手)にとってB(リユース事業者)の存在分だけメリットが縮小する懸念も生じるが、同社はその点、リユース取引の利用者に対して安全・安心・簡便という付加価値を提供できる仕組みを確立しており、これが強みとなっている。逆に言うと、Bの存在の強みを発揮しにくい低価格商材(CD、本、ゲームソフト、衣類など)は取扱対象から除いており、CtoCとのすみ分けに成功している。
価格の面では、精度の高い査定データベースを構築して適正化や透明性の確保に努めている。これは買取価格や販売価格はもちろん、買取依頼件数の動向や商品の状態などのデータを反映しながら、日々更新されているものだ。これにより同一モデルで同程度のものであれば同じレンジの査定価格を提案できる体制となっている。
商品への信頼の確保という点では、「3大保証」(動作保証・延長保証・買取保証)を付けていることが最も典型的な事例と言える。こうした保証サービスは、個人の売り手はもちろん、リユース事業者であっても提供するのが難しいサービスだ。同社は買取り時の商品査定をきちんと行う体制を確立することで、こうした保証サービスの提供を可能としている。
取引の安全性については、上場企業であることが売り手と買い手の双方に大きな安心感を提供できているのは疑いないだろう。さらに、売り手に対しての支払いについては、リユースセンターに商品が到着して買取価格が確定すれば、最短で当日に代金を送金する体制となっており、事前査定と支払タイミングの明示で代金回収の目途が立てられるようになっている。これは売り手からすれば同社を選択する大きな動機付けになっているものと弊社ではみている。
ロジスティクスの重要さは言うまでもないが、そこでは簡便さが大事な要素だ。買い手の梱包・配送に対する期待値は高く、評価制度における重要な評価ポイントとなっている。同社はリユース事業者としてこの点が問題となるケースはほぼないと言えるだろう。一方、売り手側においては、出張買取・宅配買取・店頭買取から選択することが可能で、最も利用頻度が高い宅配買取の場合でも、同社が必要な梱包材を手配するため、自宅から一歩も出ずに買取手続きを行えるという簡便さがある。こうしたロジスティクス面でも、リユース事業者としての存在価値を提供できている。
前述のような、取引における安全・安心・簡便の提供に加え、買取拠点の全国展開もまた同社の強みかつ差別化要因となっている。前述のように、同社は買取拠点であるリユースセンターを全国に10ヶ所、事前査定・買取方法の提案対応等を行うコンタクトセンターを同2ヶ所、それぞれ展開している(2019年8月末現在)。インターネット特化型を事業モデルにおける特長としているが、現実のモノの移動を伴う以上、物理的な拠点の整備は必要不可欠だ。この点についてきちんとしたビジョンを持って全国展開している事業者は決して多くないなかで同社のこうした強みが、Amazon(アマゾン・ドット・コム
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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