3. 売上分類
ボードルア<4413>の売上分類は、1)サービス内容に基づく時間別売上、2)プロジェクト別売上、3)ストック別売上に分類される。
1) サービス内容に基づく時間別売上
保守運用業務に至るまでのインフラの構築に関するコンサル業務、要件定義、システムの構築など多岐にわたる業務については、受注時には成果物の特定が容易ではないことが多いため、業務の遂行に要した時間に対して、事前に取り決めたサービス提供者の時間単価を乗じた報酬を受領する。
2) プロジェクト別売上
単発で生じた作業依頼に対して成果物提供についての見積りを提示し、成果物完成後に納品検収ベースで報酬を受領する。
3) ストック型売上
システムの保守運用維持費用として月額報酬を受領するストック型収益である。対応しているシステムが存在している限り保守・運用は必要となり、継続性が高いことから、同社の安定収益の基盤となっている。1年以上継続してサービス提供を行う契約が年々増えていることから売上も毎年増加し、2023年2月期第3四半期はストック型売上は1,874百万円で、フロー型売上を超えて53.9%となっている。
4. 特長
同社は、限られた専門分野の集中的な研修と実務による早期育成から生まれる価格競争力、専門分野の深い業務知識と過去の蓄積された経験による効率的な業務、機動力ある対応力などにより既存顧客の他部署への横展開や顧客の同業他社へのモデルケース展開をねらう競争力の高いサービスを提供している。
ITインフラストラクチャ分野はニッチで専門性が高い分野のため社内で専門部署を育てにくく、関連対象の領域が狭いためインフラに関する人員を増やすことは難しい。ITインフラストラクチャの技術領域で言えば専門性が高いため、社内に専門部署を設置するのは高コストであり、競合が参入しにくい事業領域と言える。
同社ではエンタープライズ顧客への売上高が全体の66.3%を占めており、安定した顧客基盤を有している。2023年2月期第3四半期における業種別売上構成は、IT・通信キャリアが44%、金融が18%、官公庁が5%、サービスが3%、その他が30%となっており、業種の偏りが少なく取引先を分散していることが分かる。同社の顧客を大別すると、事業会社(IT通信業、金融業、流通業、医療、官公庁等)に限らず、事業会社の情報システム関連子会社、通信事業者及び同社と同業となる事業者も含まれている。同社は、幅広い業種の顧客に対応することが可能である。そして、専門技術を施した高付加価値サービスの提供により収益性を高めている。
5. 市場性・成長性
現在、市場でのクラウドサービスとITインフラストラクチャの大幅な技術改良の高まりにより、ITインフラストラクチャの周辺環境は急速な変化(パラダイムシフト)が進んでおり、ITインフラストラクチャサービスの需要を促進する主な要因となっている。ITサービスとアプリケーションをクラウド環境に移行する企業が増えるにつれ、従来型のオンプレミス環境は急速に減少してきている。国内のクラウドサービスにおいては、総務省が2021年3月に発表した「令和3年情報通信白書」によると、一部の事業所または部門でも利用している企業の割合は2020年で68.7%と約7割に上り、2019年の64.7%より4.0ポイント上昇している。また全社的に利用しているのが2020年には39.4%と約4割に上っており、今後もクラウドサービスに移行する企業は増え続けると見られる。
つまり、ITインフラストラクチャは、オンプレミス環境の下で利用できるデータセンターで一元管理したシンプルなシステムから、より専門性が高いサービスが必要な時代へとシフトしてきていると言える。5G及びIoTの普及によるSDN、NFV、ロードバランサー、サーバー、クラウドサービス、ITセキュリティ、ワイヤレスなどの需要拡大により、先端技術分野の市場が拡大すると見られるため、システム開発会社やファシリティ工事業者に比べて、先端技術分野を取り入れた専門性の高いITインフラストラクチャを事業領域とする同社にとっては追い風となる。
ITインフラストラクチャ市場における主な競合他社は、サーバーワークス<4434>、コムチュア<3844>、テラスカイ<3915>がある。そのなかで同社は、販社機能を持たず役務提供をメインに展開していることから、販売元の影響を受けずにマルチベンダーでの技術提供ができるという特長がある。そして、ITインフラストラクチャサービスは継続的に進化するため、競合他社に先んじて、新時代のスキルとテクノロジーに投資し続けることは不可欠である。2017年頃より先端技術分野に参入して築き上げた実績と技術を基に効率的な教育体制を持つ同社には、利点があると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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