17日の米株式市場でNYダウは反発し、33ドル高となった。サウジアラビアが石油施設への攻撃で失われた石油生産量の7割を回復したと報じられ、また石油相が「月内に攻撃前の水準を回復する」と述べたと伝わった。原油相場の下落とともに消費関連株などが買われた。ただ、イラン最高指導者のハメネイ師がトランプ大統領との首脳会談に否定的な見方を示すなど、中東情勢を巡る地政学リスクへの警戒感は根強く、明日発表される連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとの思惑もあって方向感に乏しかった。本日の日経平均も13円高と小高くスタートしたが、やはり前日終値を挟み一進一退の展開となり、前場の上下の値幅は65円ほどにとどまった。東証1部の値上がり銘柄は全体の3割弱、対して値下がり銘柄は6割強となっている。
個別では、売買代金トップのリクルートHD<6098>や任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>などが堅調。前日は利益確定売りに押されたSMC<6273>だが、本日3%超高と急反発している。中小型株ではスマートフォン向けゲーム「ドラゴンクエストウォーク」の好調でコロプラ<3668>が引き続き賑わっており、GMOPG<3769>も日米がデジタル貿易で合意と伝わったことが刺激材料となって急伸し、ともに東証1部上昇率上位に顔を出した。一方、ソフトバンクG<9984>は2%近い下落。ソニー<6758>は米ファンドが要求していた半導体事業の分離・上場を拒否すると発表し、2%超下落した。
中小型株ではKLab<3656>が手仕舞い売りに押され急落し、大豊工業<6470>などとともに東証1部下落率上位に顔を出した。セクターでは、海運業、化学、その他製品などが上昇率上位。反面、鉱業、石油・石炭製品、鉄鋼などが下落率上位だった。原油相場の反落で関連セクターに売り買いが出た。
日経平均は前日終値を挟んだ小動きが続き、前場を折り返した。朝方から円相場がやや弱含みとなっており、前日の当欄で指摘したとおり、ここまでの株高に乗り遅れた投資家の押し目買いも入りやすいだろう。一方、日経平均は前日までの10日続伸で上げ幅が1400円近くに達しており、上値では目先の利益を確保する売りが出ているとみられる。アジア株はまちまちとなっており、積極的に上値を追う手掛かりは乏しい。もちろんFOMCの結果を見極めたいとの思惑も強いだろう。後場の日経平均は小幅高水準でこう着感を強めるとみておきたい。賑わっている材料株でも手仕舞いの売りが広がる可能性がある。
注目のFOMCでは、前回に続き0.25%の利下げが決まる見通し。ただ、金融市場は先んじて緩和期待を織り込んできており、こうした期待ほど米連邦準備理事会(FRB)がハト派姿勢を打ち出さないのではといった見方が根強くある。今後の方向性を占ううえで、FOMCメンバーの政策金利見通しやパウエルFRB議長の会見内容が非常に注目されるだろう。また、国内でも明日にかけて日銀金融政策決定会合が開かれる。世界的に緩和競争の流れとなるなか、追加緩和余地に乏しいとみられている日銀のスタンスにも注目しておきたい。
(小林大純)
<AK>
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