13日の米株式市場でダウ平均は47.71ドル高(+0.13%)と4日続伸、ナスダック総合指数も+1.57%と4日続伸。6月卸売物価指数(PPI)が予想以上に鈍化し、金利が一段と低下。ドル安と相まって企業収益の改善につながるとの期待が高まった。ハイテクを中心に買われ、ナスダックは引けにかけて上げ幅を拡大した。米株高を受けて日経平均は168.57円高の32587.90円からスタート。7月限オプション取引の特別清算指数
(SQ)算出に絡んだ売買が交錯するなか直後に32780.63円(361.3円高)まで上昇したが、その後は急失速。為替の円高が一段と進行していたことが重石になり、下落に転じた後は一時32225.37円(193.96円安)まで下げた。一方、前引けにかけては買い戻され、プラス圏に再浮上している。なお、SQ概算値は32484.24円。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅高を受けてアドバンテスト<6857>が急伸し上場来高値を更新。東エレク<8035>、ディスコ<6146>、ソシオネクスト<6526>なども大幅に続伸。郵船<9101>、商船三井<9104>の海運も買われ、川崎汽船<9107>は年初来高値を更新。決算が好感されたSHIFT<3697>、久光製薬<4530>、ビーウィズ<9216>が急伸し、マニー<7730>も大幅高、ウイングアーク1st<4432>はストップ高買い気配となっている。東宝<9602>は業績及び配当予想の上方修正で買われた。東証スタンダードではニデック<6594>が株式公開買い付け(TOB)を発表したTAKISAWA<6121>、好決算に加え大幅増配や自社株買いが評価されたTONE<5967>がストップ高買い気配のまま終えている。
一方、2ケタ減益決算が失望された7&I-HD<3382>が大きく下落。3-5月期決算が市場予想を上回り業績予想を上方修正したファーストリテ<9983>は上昇スタートも失速して下落に転じた。Sansan<4443>は今期見通しが良好も3-5月期の営業赤字転落が売り材料視されて下落。決算が嫌気されたフィルカンパニー<3267>、ラクトジャパン<3139>、不二越<6474>が大幅安となり、松屋<8237>は好決算ながらも出尽くし感から大きく売られた。ほか、為替の円高を背景に日産自<7201>、マツダ<7261>、スズキ<7269>
など自動車が軟調。
セクターで電気・ガス、小売、保険が下落率上位に並んだ一方、海運、その他金融、金属製品が上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の67%、対して値上がり銘柄は29%となっている。
前日に急反発した日経平均だが、日経225先物は14日の夜間取引ではさらに上値を伸ばし、一時32800円まで上昇していた。しかし、本日の日経平均は高寄り後に32780円まで上昇しながら急失速し、早い段階で32500円を割り込んだ。下落に転じた後、32200円台前半まで下げ幅を広げるなど、前場だけで高値と安値の差は550円超にも及ぶ。
本日は7月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出日であり、前日からの値幅を伴った急激な変動はSQに絡んだ売買が影響していた可能性が高い。実際、前日は日経平均の上昇幅に比して、東証プライム市場の売買代金は3兆2829億円と5月以降の動向と比べると低水準にとどまった。オプションなどデリバティブ取引が主体の上げ相場だったと推察される。本日の高寄り後の失速ぶりも同様の背景と思われる。
また、為替の円高進行が止まらないことが日本株の上値抑制要因になっている。前日に発表された米6月卸売物価指数(PPI)は総合および食品・エネルギーを除いたコア指数ともに、前年同月比と前月比で揃って市場予想を下回った。米6月消費者物価指数(CPI)に続く下振れで、インフレ収束期待はさらに高まる格好となった。米金利は幅広い年限でさらに低下し、米10年債利回りは13日、3.77%(前日比-0.09ポイント)まで低下。一方、日本銀行の政策修正観測の高まりが続いていることで、ドル円は137円台半ば前後まで一段と下落。昨日の東京時間からさらに1円もドル安・円高が進んだ。
米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅に5日続伸したことで、東京市場ではアドバンテスト<6857>など半導体株が強い動きを見せているが、半導体以外のハイテク株は米ナスダック指数が大幅続伸した割には冴えないものが目立つ。為替の円高が日本株の相対的な弱さに明確に結びついていると捉えられる。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、7月3日時点での投機筋の円売りポジションは2018年以降で最大水準にまで膨れ上がっている。米国でのディスインフレへの思惑と米金利の急低下、そして日銀の政策修正観測により、こうした巨大な円売りポジションの巻き戻しが足元で急速に進んでいると推察される。
ドル円は75日移動平均線が位置する138円をあっさりと割り込んできた。これにより、今月27-28日に開催される日銀金融政策決定会合で政策の現状維持が確認されるまでは、ドル安・円高のトレンドがじわじわと続く可能性が高まってきた。
7月下旬からは4-6月期決算の発表が始まる。多くの輸出企業が想定為替レートとして1ドル=125-135円を設定しているなか、現状の水準であればまだ為替の恩恵は期待できるが、円安による業績上振れ期待はドル円が145円まで上昇した6月下旬ころからは後退せざるを得ない。引き続き、米金利の上昇一服がプラス効果として働き、かつ景気・為替との連動性の低い内需系グロース(成長)セクターへの投資が魅力的と考える。
(仲村幸浩)
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