先週末の米国株式市場は独立記念日の振り替え休日で休場で、今日の東京株式市場は寄り付き段階ではやや手掛かり材料不足。ただ、金融財政政策が相場を下支えするという見方や、景気回復への期待感は引き続き強く、東京株式市場は買いが先行し、日経平均は寄り後も次第に上げ幅を拡大した。米国市場が3連休だったことから、海外投資家による売り圧力が小さかったとの見方もあった。小池東京都知事が、都民に対し不要不急の都外への移動自粛を要請しており、経済活動への影響が出始める可能性も指摘されているが、前場は、政策や景気回復への期待が強く、リスクオンムードが広がった。
個別では、信用取引規制の解除を好感したDLE<3686>、20年11月期上半期(中間期)
連結営業利益が前年同期比94.6%減ながら従来予想を上回ったネクステージ<3186>、ペッパーランチ事業の売却を正式発表したペッパー<3053>がストップ高。新規子会社の寄与を見込んで国内証券が目標株価を引き上げたノーリツ鋼機<7744>、国内直営アイウエア専門ショップの6月既存店売上高が前年同期比11.8%増と5月の同51.1%減から改善したJINSHD<3046>、21年2月期第1四半期(20年3-5月)連結営業利益が前年同期比2.3倍のアークス<9948>が大幅高。
創業110年記念配当30円実施を発表した内田洋行<8057>、AI人材プラットフォーム企業の子会社化を発表したジェイ・エス・ビー<3480>、6月の既存店売上高が前年同月比14.1%減と5月の71.8%減から改善したワールド<3612>が高くなった。
一方、20年8月期第3四半期(19年9月-20年5月)連結営業損益が2.07億円の赤字となった霞ヶ関キャピタル<3498>が一時ストップ安。新株式発行と株式売出しを発表し1株当たり価値の希薄化と株式需要悪化が懸念されたライフネット<7157>が下げた。
セクターでは、海運業、鉄鋼、証券商品先物、空運業、繊維製品などが上昇率上位。一方、鉱業1業種が値下がりとなっている。東証1部の値上がり銘柄は全体の83%、対して値下がり銘柄は14%となっている。
東京株式市場は、先週は22000円台前半での膠着相場となったが、今日の前場は堅調に推移し、22000円台後半に上昇した。先週は米国で6月の雇用統計をはじめ、予想を上回る経済統計が発表され、相場の下支え材料となった。しかし、これらが日経平均を押し上げることはなかった。一方、新型コロナ感染拡大への警戒感が強く、株価の上値が抑えられたが、感染拡大を手掛かりに相場が大きく下押すこともなかった。金融財政政策や景気回復への期待が相場の下支え要因となる一方で、新型コロナウイルス感染拡大への警戒感が上値を抑える、という構図だった。
こうした中、注目したいのが企業業績だ。今週から来週にかけて、2月や8月決算企業の四半期決算発表が本格化する。2月決算企業は小売りなどの業種が多く、第1四半期は営業自粛した百貨店などが苦戦する一方、「巣ごもり」需要などを取り込み好業績となっている企業も少なくない。また、4-5月の20年2月期決算発表時には、業績予想を「未定」とする企業も多かったが、第1四半期決算発表時に予想を開示する企業が増えることも考えられる。もし、第1四半期が好決算となり、堅調な通期予想を開示する企業が増えれば、個別銘柄の株価押し上げ要因となろう。市場全体ではこう着相場がしばらく続くと見る向きが多いようだが、個別企業に目を向けると、業績を手掛かりに株価が変動する銘柄が増えそうだ。
さらに、今月下旬からは3月決算企業の第1四半期(20年4-6月)決算発表が本格化する。上述の2月や8月決算企業で好業績が確認されれば、3月決算企業の業績にも期待が高まりやすくなる。3月決算企業はその数が圧倒的に多く、業績への期待感が高まれば、相場全体を動かす強力なエンジンとなる可能性もある。ここ最近は、業績予想を開示していない企業が多いこともあり、個別企業の業績動向がやや軽視されているように感じるが、ここからは、個別企業の業績への目配りがより重要になりそうだ。
さて、後場の東京市場は、前場に続き底堅い推移となりそうだ。先週の日経平均は25日移動平均線を下回って推移したが、現在、25日線は22400円台。前場の日経平均はこれを上回ってきており、ここから日経平均は再び25日線を下値支持線として、上昇波動に入ることも考えられる。また、上述のように、今日は、外国人投資家の参加が少ないと見られており、外国人投資家による売り圧力も強くなさそうだ。
<AK>
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