2. 2020年3月期の重点施策
エンターテインメント事業では、Lab.の構造改革を進める。Lab.の生産性を高め、収益の構造改革を行うとともに、より多くの人材をエンタープライズ領域で活躍できる人材へシフトさせる。スキルの高い人員を、エンタープライズ事業のテストエンジニアやセキュリティエキスパートへと育成し、より高い技術を必要とする高価格帯の業務を受注できるようにする。同時に、人材シフト後も高いサービス品質を維持することを目的に、各種研修プログラムを強化し、テスタースキルのボトムアップや全国15拠点のテストセンターであるLab.の管理者のマネジメントスキルの向上に注力し、事業基盤を強固なものとする。
また、ゲームメーカー向けサービスの拡充・強化を図る。18/3期に開始したカスタマーサポートにおいては、デバッグを通じてゲームの内容詳細を把握しているデジタルハーツがカスタマーサポートまで担当することから、企業のニーズは高く成長している。また、海外対応では中国・韓国の子会社を中心に、翻訳、グラフィック等のアウトソーシングを強化しているが、海外のクライアント数は2018年3月期の45社から、2019年3月期には67社と着実に増えている状況である。なお、2020年3月期は80社以上を目標としている。
エンタープライズ事業は積極的な人材投資を継続し基盤を強化
エンタープライズ事業では、テストエンジニアの増強を中心とする積極的な人材投資を継続し受注体制の強化を図るほか、サービスの付加価値向上に努め、飛躍的な成長を目指すとしている。人材強化においては、新規採用、人材育成、M&Aを活用するが、中でも特にゲームテスターからの育成に注力する。その理由は、同社には約8,000名のデジタル領域に親和性の高い登録テスターが在籍しているからである。このテスターの中には非常にITリテラシーが高く、エンタープライズ領域でも活躍できる人材もおり、実際に同社独自の教育プログラムにより現在テストエンジニアとして活躍するメンバーもでてきている。IT人材不足が深刻化し、あらゆる業界でIT人材獲得の競争が激化する中、同社の8,000名のポテンシャル人材は非常に強みになると考えている。
また、これらの人材強化を進めるにあたり、同社ではエンジニアの再定義を行った。20年3月期以降、これまでの「上流エンジニア=全エンジニアの総数」から、テストエンジニア、システムエンジニア、インフラエンジニアの3つに細分化する。テストエンジニア数については、19年3月期の89名から、20年3月期は150名を目標としている。その他の施策としては、CTO(最高技術責任者)を中心に、テスト自動化プロジェクトを推進するほか、テスト自動化エンジニアの育成に注力する。受注体制については、リソースの一元管理を行い、テストエンジニアの稼働状況およびプロジェクト進捗管理を強化し、機会損失のない体制を整備する。
また、システム開発の体制強化としては、開発の上流行程からシステムテストまで一貫して受注することで収益機会を最大化させる。そのため、システムエンジニアの増強やアライアンスを強化させるほか、システムエンジニアの増強やコストコントロールの強化を目的に、オフショア拠点を拡大させる計画である。
さらに、セキュリティ事業については、大手企業からの受注を獲得し、通信業界や旅行業界など複数の案件が進行中である。セキュリティ検査や監視分野のエキスパートを強みに、さらなる事業拡大を推進させる。セキュリティ人材の育成については、独自のフローを構築している。具体的には、最初にゲーム好きを初めとする約8,000名の登録テスターの中から基礎知識に関する社内試験に合格した人のみ受講可能なデジタルハーツ サイバーブートキャンプを実施する。サイバーブートキャンプは高度なスキルを身に着けることが出来るとして、希望者が多い状況である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
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