3. 収納代行サービスセグメントの動向
収納代行サービスセグメントの第2四半期は、売上高8,774百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益319百万円(同0.5%増)と増収ながら利益は横ばいで着地した。期初計画に対しては売上高、利益ともに未達となり、営業利益率も3.6%と前年同期の3.7%から低下した。
(1)決済サービスの動向
決済サービスの2019年12月期第2四半期は、売上高が8,466百万円(前年同期比2.3%増)と増収を確保したものの、期初計画に対しては4.6%の未達となった。決済サービスの内訳として、約90%を占める払込票決済サービス(コンビニ決済サービス)が7,468百万円(同2.6%増)、ペーパーレス決済サービスが673百万円(同0.2%減)、口座振替サービスが324百万円(同1.8%増)となった。
払込票決済サービスの成長率は、かつては年率10%前後の水準にあったがここ数年は5%前後に一段低下した状態にある。それが第2四半期は1ケタ台前半とさらに伸び率が低下した。この点について同社は、ゴールデンウィーク10連休に備えた消費者の購買抑制の影響としている。
一方で、払込票決済サービスの成長余地はまだあると同社は考えており、現在はキャッシュレス化とペーパーレス化の2つの施策による利便性向上に取り組んでいる。これらは中長期の成長戦略とも重なる部分であり、詳細は後述するが、キャッシュレス・ペーパーレス対応の強化により、他社との差別化を図るとともに、クレジットカードや代引きなどとの決済手段間競争における競争力強化に取り組んでいる。払込票決済サービスを手掛ける競合相手に先んじてスマートフォン決済導入を進めた効果もあり、自治体を含む新規取引先獲得は2019年12月期第2四半期において計画を上回った。この効果は2019年12月期下期から具現化すると期待される。
2019年12月期第2四半期の処理件数は前年同期比3.5%増の109,510千件となった。同社の年間処理件数は2018年12月期に初めて2億件を突破したが、今後も増加が続く見込みだ。こうした処理件数の増大に対しては、同社は2018年12月期までに業務処理のキャパシティアップを目的とした“基盤移行”(業務システムの刷新)を完了させている。この結果、年間2億件を超えて処理件数の増加が続く現状でも、安定的かつ余裕をもって業務遂行を実現できている状況にある。
(2)決済イノベーションの動向
決済イノベーションの2019年12月期第2四半期は、売上高が前年同期比6.2%増の308百万円となった。収納代行サービスセグメントの中では比較的高い伸びとなったが、期初計画に対してはわずかに下回った。内訳では、送金サービスが140百万円(前年同期比0.6%減)、収納代行窓口サービスが167百万円(同12.8%増)となった。
送金サービスの減収は、マイナンバー経過措置の期限切れによって登録者数が2019年1月に激減した影響で送金件数・送金金額が減少したことが主たる理由だ。しかしながら2月以降は送金件数・金額ともに急回復し、足元ではこれまでのトレンドラインの水準を回復している。
収納代行窓口サービスでは、2018年2月にウエルシアホールディングス<3141>傘下のドラッグストア全店舗に同社のシステム『Biz@gent』を導入する契約を締結して店舗数が一気に拡大したが、その後も店舗数は順調に拡大し、2019年12月期第2四半期末時点で3,654店舗(2018年12月期末比4.3%増)に達した。こうした店舗数の拡大が利便性向上と利用者数増加の相乗効果を生み出し、2ケタ増収へとつながった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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