【井川純一の今夜も兜町で一杯】ラーメン先輩の記憶

　２月１６日（木曜日）の日経平均株価は９０円４５銭安の１万９３４７円５３銭と反落。今日は、小安く始まった後、次第に下げ幅を広げる展開です。米国市場は上昇基調を継続しているのですが、東京市場は円高進行が足かせになった格好ですかね。そして、決算も一巡し、さらなる手がかり材料難といったところ。う～ん、動きがとれません。
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　昨日、力の源（もと）ホールディングス<3561.T>が３月２１日に東証マザーズ市場へ新規上場すると発表された。一風変わった社名だが、あのラーメン専門店「一風堂」を中心に複数ブランドの飲食店を展開する企業だ。同社の本社は、福岡県福岡市。そういえば、同じくラーメンで有名な「一蘭」も本社は福岡市だったよなぁ。

いまや世界中で人気のラーメンだが、意外にこれを事業とする上場企業は多い。ちょい飲みでも力を発揮しているハイデイ日高<7611.T>をはじめ丸千代山岡家<3399.T>、幸楽苑ホールディングス<7554.T>、ワイエスフード<3358.T>、ＪＢイレブン<3066.NG>、ハチバン<9950.T>、そして「焼肉キング」の物語コーポレーション<3097.T>も丸源ラーメンを展開している。まだ、あるのかもしれないが、ラーメンが主力とするところは、まあそんなところだろうか。

　ラーメンといえば、若い時分、株の業界紙に入社したての頃、先輩記者に大好きな人がいたっけ。愛妻弁当を持参するのだが、ラーメンが食べたいばかりに、それを当方に毎日くれるのだ。「ほい、今日もよろしくな」と、昼時になるとデスクの上にポンと置く。こちらも昼食代が浮く上に、田舎出で独り暮らしのため家庭の味に飢えていたものだから、喜んで頂戴していた。いまでも、少々甘過ぎの感はあったものの、味のよく染みた、だし巻き卵の味が忘れられない。

　その“ラーメン先輩”だが、よれっとしたグレーの背広に、ぼうっとした風貌、正直なところ風采が上がらない感じであったよなぁ。ただ、この人、社内で一、二を競う情報通で銘柄選別はぴか一だった。なにを尋ねても「わかんないなぁ」とぼそぼそと言うのだが、時折瞳の奥でキラリ、いやギラリと光るものを感じることがあった。その時、「この人、やっぱり兜町の人間なんだなぁ」と思った記憶がある。後で聞いた話では、この先輩、シマの裏通りでは、なかなか知られた人だったらしい。

　あれから３０年以上経ち、既にその新聞社も倒産して、社員はちりじりとなった。もっとも、そのラーメン先輩は、かなり以前に退社しており、その後の噂は、まったく耳にしない。いまごろ、どの空の下でラーメンをすすりながら相場を見ているんだろうかなぁ。
《ＫＣ》

出所：株経ONLINE（株式会社みんかぶ）