日本の大手仮想通貨取引所がハッキング被害を受けた事例としては、コインチェック(coincheck)を挙げることができる。顧客の預かり資産とみられる仮想通貨「XEM」が5.4億枚引き出されていることが分かったと報じられたのは2018年1月26日。結局、coincheckは約463億円を自己資金から顧客に返金することになったが、当時のビットコイン価格は1月25日の124.0万円から1月26日に安値の106.0万円まで約14.5%の調整となった。今回の起点をビットコイン価格で70万円とすると、14.5%の調整で59.8万円まで調整する。そうなれば、足もとの下値サポートラインである60万円半ばを割り込み、新たな調整トレンドがスタートすることになる。
一方、4月3日にはマネックスグループ<8698>によるcoincheckの買収提案報道がなされた。ビットコイン価格は4月1日に安値68.8万円を付けており、マネックスグループによるcoincheckの買収提案報道でいったん反発、その後4月11日のもち合い上放れを経て、5月5日の108.2万円まで反発した経緯がある。
今回はフィスコ<3807>グループが支援を表明している。テックビューロに対しては、フィスコ仮想通貨取引所のシステムを構築したことにより、Zaifのシステムを熟知しているカイカ<2315>がシステム再構築のサポートに入ることに加え、フィスコと資本関係があり、フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの関係会社を通じた金融支援および株式シェア過半数以上の資本参加等の検討を開始する基本合意がなされた。具体的にはフィスコデジタルアセットグループの関係会社を通じた(1)金融支援の金額50億円、(2)最終的な株式シェア過半数以上、(3)過半数以上の取締役の派遣および監査役1名の派遣について、正式合意を目指す検討を開始することになる。
ビットコイン価格の動きを見る限り、coincheckの問題がマネックスグループの支援である程度収束に向かい、反転のきっかけを与えたと考えられる。この期間は約2ヶ月とそれなりの期間を要したが、今回はフィスコグループの支援とセットである。ビットコイン価格に14.5%までの調整がなく、これまでのサポートラインである60万円半ばまで調整するものの、そこが起点となって早期に反転するきっかけになるかもしれない。
(ビットコイン価格はいずれもフィスコ仮想通貨取引所)
<MT>
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