中国経済減速で需要減を見込むものの、自動車特需で今の株価は割安
1972年に富士通<6702>からNC(数値制御)部門が分離して設立しました。
FA(ファクトリーオートメーション、工場自動化)部門と、その基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業を三本柱としています。
【15年3月期実績の売上比】
ロボドリル(小型マニシングセンタ)やロボショット(電動射出成形機)などのロボマシン部門: 40.5%
工作機械向けのCNC(コンピューター数値制御)システムなどのFA(ファクトリーオートメーション、工場自動化)部門:34.6%
ロボット部門 : 24.9%
「ロボドリル」を含むロボマシンは、スマートフォンの製造に使われますが、同社の好調な業績は、スマートフォンの世界的普及を追い風に、同社の売上の4割を占めるロボマシン事業が牽引してきたと言えます。
ところが、中国景気減速による設備投資減で、FA部門は鈍化しているものの、北米を中心とした自動車需要の増加により、自動車向けロボが好調に推移することとなりました。スマホ向けはやや鈍化しているものの、電装化の進む自動車産業向け特需を迎えていると思われます。
第一四半期決算発表時には通期予想の下方修正が発表されたばかりですが、自動車特需を受け需要増が見込まれることから通期予想が若干ながら上方修正され、株価反発しました。
<2016年3月期第1-2四半期の業績>
売上高が2.1%増の3499億6900万円、営業利益が7.9%減の1273億4100万円、経常利益が5.6%減の1368億2900万円、四半期純利益が2.6%減の919億300万円となりました。
一方2016年3月期通期計画は上方修正されました。
売上高 13.9%減の6283億円>>13.5%減の6309億円
営業利益が26.7%減の2182億円>>26.7%減の2184億円
経常利益が25.3%減の2331億円>>24.3%減の2363億円
当期純利益が23.2%減の1595億円>>21.7%減の1625億円
今後の見通しとしては、FA部門が国内・米州は堅調、欧州は横ばい、中国では減速の見通し
ロボット部門は、米州・中国が好調、欧州でも需要が継続する見通し
ロボマシン部門は、全般的に堅調に推移するもののIT産業の短期的需要が減速する見込み
となっています。
それでもスマホ需要の縮小、中国経済低迷の長期化を想定した業績予想となっており、やや保守的に思われます。中国の金融緩和、円安基調の継続、さらに同社の総還元性向80%方針を考慮にいれた自社株買いの可能性を考えると現在まだ割安だと思います。