―「生成AI」「半導体」「インバウンド」の各関連株に熱視線が集中―
今春にかけての相場は、米国を中心とする景気後退懸念と金融システム不安に揺れた。これら要因は、年央から年後半にかけても相場を揺さぶり続けそうだ。その一方で、東京市場は「低PBR是正」や「賃上げ」などが評価され、日経平均株価は5月に入り2万9000円台に乗せ、年初来高値を更新する力強い値動きとなってきた。今後の注目テーマは「Chat(チャット)GPT」で一躍脚光を浴びた「生成AI」、国際的な戦略物資となった「半導体」、経済再開で復活する「インバウンド」だ。ゴールデンウィーク(GW)明け相場に活躍する各テーマの妙味株をそれぞれ3銘柄ずつ紹介する。第1回は「生成AI」を取り上げる。
(1)【生成AI】
乱舞するニュースリリース、「マネタイズ」の確度を選別へ
対話型のAI「チャットGPT」をはじめとする生成AIが社会に衝撃をもたらしている。国会質疑でも使用されるなど、関連するニュースに触れない日はないと言っていい。足もとでは自社のビジネスに生成AIを導入する企業の発表が相次いでいるが、株式市場での注目点はやはり「マネタイズ(収益化)」の可能性に尽きるだろう。業務刷新を図る企業へのソリューション、既存サービスの革新的な発展を通じ、収益拡大の確度の高そうな銘柄に、投資家の資金が集中することとなるに違いない。
●pluszero <5132> [東証G]~「GPT-4」信頼性向上に貢献
このほど、独自のAI技術「AEI」と、チャットGPTなどに用いられる最新の技術基盤「GPT-4」の関係性についての投資家向け資料を開示した。GPT-4の精度と信頼性の更なる向上にAEIの技術が貢献するとの内容で、一例としてチャットGPTの回答をAEIがチェックするなどの活用が期待されている。チャットGPTの存在もAEIの開発を加速させるなどの相互補完関係があるという。同社の企業向けのAIソリューション事業の競争力を一段と高める公算が大きい。
●メタリアル <6182> [東証G]~専門家育成などスピーディーな事業展開で関心
子会社のロゼッタが、AI開発のAPTO(東京都渋谷区)との提携に乗り出したことが注目を集めている。メタリアルによると、生成AIの深化には「RLHF」と呼ばれる人間の手による調整作業が必要となるほか、企業が生成AIを通じて高度な成果を得るためには「プロンプトエンジニア」と呼ばれる技術を持つ人材が欠かせないという。今回の提携を通じ、専門家の育成と企業への提供を行うとしているが、事業環境の変化にスピーディーに対応しようとする姿勢が際立っており、先行者利益の享受による更なる事業拡大に期待が膨らむ。
●弁護士ドットコム <6027> [東証G]~司法・契約業務の生成AI応用でリード
司法領域での生成AIの応用で中核的な役割を担う企業と位置付けられている。2月にはGPT-4などの言語モデルを活用したサービスの研究を目的とする「プロフェッショナル・テック・ラボ」の創設を発表。法律相談や、電子契約サービス「クラウドサイン」のデータを活用した契約相談のチャットなどで新サービスを検討する。23年3月期第3四半期累計(22年4-12月)の単体決算は最終減益ながらも、クラウドサインは投資フェーズから収穫期に入ったという。今期の利益回復シナリオが横たわるなか、生成AIの応用は事業に相乗効果をもたらしそうだ。
★5月3日~7日に「ゴールデンウイーク特集」などを"28本"配信します。ご期待ください。
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