新晃工業 Research Memo(2):AHUでシェア1位を誇る空調機器トップメーカー

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最新投稿日時:2022/01/13 16:02 - 「新晃工業 Research Memo(2):AHUでシェア1位を誇る空調機器トップメーカー」(フィスコ)

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新晃工業 Research Memo(2):AHUでシェア1位を誇る空調機器トップメーカー

配信元:フィスコ
投稿:2022/01/13 16:02
■会社概要

1. 会社概要と沿革
新晃工業<6458>は大規模建物向けセントラル空調機器メーカーであり、空調機器の製造販売、空調工事の請負施工、熱媒体自然循環システムの設計・施工・保守管理などを行っている。主要製品は、送風機や熱交換器(コイル)、フィルタ、加湿器などで構成されたフロア全体を空調する大型のAHUと、送風機(ファンモータユニット)、コイル、エアフィルタで構成された各部屋を空調する小型のFCUで、特にAHUは国内市場において長年トップシェアを維持している。巨大で複雑な空間を空調するための豊富な品揃えと、顧客の要望に沿って設計・製造する完全オーダーメイドが求められることから、空調機器業界は専業企業などへの集約化が進んでいる。なかでも同社は設計から製造、販売、メンテナンスまでの一貫体制に強みを持っている。このほか、個別空調の市場に参入するための戦略商品であるセントラル空調と個別空調の特徴を兼ね備えたヒートポンプAHUの製造販売や、既存建物の設備更新やメンテナンスなどを請け負う工事事業を行っている。

同社は1938年、藤井徳義(ふじいのりよし)氏により暖房機器の輸入販売を目的に設立された。1949年に第2次世界大戦で停止していた業務を再開し、1950年に同社を創業して業務用空調機器の製造販売に乗り出した。その後、1951年にFCU、1957年にはAHU(今日の工場生産型)を日本で初めて開発し、生産拠点の拡大やメンテナンス業務の取り込み、海外進出など、日本の経済発展とともに業容を拡大していった。足元では、東京オリンピック・パラリンピック特需後の端境期にコロナ禍の影響が重なったことで厳しい事業環境となったが、中期的には、東京や大阪で計画されている大規模再開発、ニーズが強まる更新・メンテナンス、成長を続けるデータセンターなどの需要拡大で、事業環境の改善が見込まれる。このため同社は中長期の再成長へ向けて大きく踏み出すべく、2021年に中期経営計画「move.2025」を策定した。


セントラル空調のメリットは「環境にやさしい」
2. 事業領域
空調機器は家庭用と業務用に分けられ、建物の規模や運用によって最適な機器が選択される。家庭用はいわゆるルームエアコンであり、TVCMでよく見かける民生用電機メーカー大手の製品が多い。業務用は、さらに個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、空調を必要とする部屋・エリアごとに室外機と室内機を設置する方式で、熱媒体にフロンガスなどを使用するが、設計・施工が容易で機械室を小さくすることできる。主に延床面積20,000m2以下の中小規模の建物で採用され、空調機器のシステムはパッケージエアコン、ビル用マルチエアコンなど汎用品で構成される。

セントラル空調は、建物を一体として捉え、熱源機器を集中設置してまとめて熱を作り(一次側空調システム)、冷温水(水)を熱媒体として各フロアに運ばれた熱にAHUやFCUがファンで風を発生させて室内の温度・湿度を調整し(二次側空調システム)、そして空調全体の管理・コントロールを集中して行う(計装システム)。延床面積20,000m2以上の大規模な建物に利用され、建物ごとフロアごとに求められる要件が異なるため、最適なシステムを構築するには完全オーダーメイドが不可欠となる。セントラル空調の最大のメリットは、熱の搬送にフロンガスを使わずに水を媒体とするため「環境にやさしい」ことにある。そのほかのメリットとしては、個別空調に使用されるフロンガスにはできない精密な温度・湿度制御ができる、スペースに合わせた上質な空気質を作ることができる、設置や設計の自由度高い一方で熱源をまとめて大型化するため効率性やメンテナンス性に優れる、などがある。同社は、このうちセントラル空調の二次側空調システムを主要な事業領域としている。

なお同社は、近年中小規模の建物で採用される個別空調領域にも積極的に事業を拡張している。個別空調では、セントラル空調に比べて簡易的なシステムや汎用品が使用されるが、換気を行う外調機についてはオーダーメイド仕様を要求されることが多くなっている。そのため、セントラル空調の分野で蓄積してきた同社のノウハウを生かす素地があると言える。同社はダイキン工業との提携をテコに、ヒートポンプAHUの製造販売拡大を行っている。熱源機器を集中しても効率化されない規模の建物では今後も個別空調方式が採用されるため、同社は地球環境への負荷に関して、地球温暖化係数の低い熱媒体への転換やフロンガス使用量の削減など、地球環境にやさしいシステムの設計も進めていく方針である。


早期に施主との関わりを持つ空調関連メーカー
3. セントラル空調の業界構造
セントラル空調という視点から見た業界のプレーヤーは、施主、設計事務所、ゼネコン(建築会社)、サブコン(設備会社)、空調関連メーカー(一次側・二次側・計装)である。大きな建物を建築する際、様々な仕様の建物に対し空調機器はオーダーメイドで合わせなければならず、設計という最初の段階から組み込む必要がある。このため、空調機器関連メーカーはゼネコンより早期に施主・設計事務所と直接的な関わりを持つことになる。しかし、発注の流れは施主→ゼネコン→サブコン→空調関連メーカーとなっていることから、商流上の契約先はサブコンとなることが多く、設計段階での関わりがあっても機器採用に直結しないこともある。また、建設業界の需要変動の影響を受けやすく、建設業界同様に国内市場が成熟している。そのような市場で同社と競合する二次側空調機器メーカーはクボタ空調(株)、ダイキン工業、木村工機<6231>、暖冷工業(株)などがある。同社は、こうした二次側空調機器メーカーのなかで国内トップシェアというポジションにいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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配信元: フィスコ

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