確率的にドル円は「膠着から上値期待を高めつつある」といった印象

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最新投稿日時:2021/09/25 08:50 - 「確率的にドル円は「膠着から上値期待を高めつつある」といった印象」(みんかぶ(FX/為替))

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確率的にドル円は「膠着から上値期待を高めつつある」といった印象

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/09/25 08:50
※今週から10月末、11月末の確率でお伝えします

 今週のドル円は下に往って来いの展開となった。週前半は109円台前半に落ち込んだが、週後半になって一気に110円台後半に上昇し、8月高値に並んだ。

 前半については、週明けから突如、中国第2位の不動産大手、恒大集団の債務不履行(デフォルト)への懸念が高まった。以前から言われていた話ではあるが、今週の社債の利払い日が接近するにつれて本格的に表面化したといった感じであろう。世界市場も一気にリスク回避の雰囲気が高まり、コモディティや株式に売りが強まり、ドル円も値を落としていた。

 その後、恒大集団が利払いは履行できると発表したことや、中国政府も関与し始めたことから、ひとまず事態は収まった格好となっている。ただ、23日の社債の利払いは30日間の猶予が付与されていることもあり、まだ履行されていないようだ。23日の利払いの規模は日本円で約39億円だが、恒大集団の6月末時点の負債総額は日本円で約33兆円規模に上り、これで収まるはずがない。第2位の不動産会社でこうであるのだから、3位以下の状況も想像に違わないであろう。

 市場にはリーマン危機のような世界的な信用不安に発展するのではないかとの懸念が広がっているが、恒大集団の問題に関してパウエルFRB議長は今週のFOMC後の会見で、「中国固有の問題」との認識を示していた。

 外国人による中国の不動産購入は、所有権がないことや、中国国内に不動産投資会社を設立しなければならないなど、中国政府の規制のハードルも高く、中国の不動産を直接購入している外国人は少ない。RMBS(住宅ローン担保証券)に投資している海外投資家もまだ少なく、不動産投資信託(REIT)はインフラを対象としたもののみで、まだ始まったばかり。中国人は不動産好きの国民性を持っているが、専ら中国国内の投資家によるものが大半を占める。外国人の多くは、直接投資の中でも株式や社債が中心であろう。そうであれば、ある程度はヘッジ可能。ただ、中国人投資家が不動産投資の損失を処理するために、海外に保有する不動産などの資産売却に走ることは想定される。

 むしろ、それ以上に、中国の成長の最大のドライバーであった不動産市場が低迷することによる中国国内の消費力の低下や、建設資材などの需要減のほうが、特に中国経済への依存度が大きい企業中心に、問題なのかもしれない。

 恒大集団に関して中国政府は、3分割する再編計画をまとめているとも伝わっていた。複数の国有企業が再編を支援し、実質的に不動産開発企業から国有企業に生まれ変わるのだという。

 ただ、中国の不動産市場は巨額だ。中国政府は恐らく、「得意の20世紀型の強権政治で乗り切ろうとする!」のであろうが、今後、どの程度まで処理できるのかは、かなり未知数の部分が大きいようにも思われる。

 一方、週後半のドル円はFOMCを受けて買戻しの動きが見られていた。一気に110円半ばまで上昇している。今回のFOMCは予想よりは若干タカ派な印象であった。パウエル議長の会見では、資産購入ペース縮小の終了は2022年半ばが適切との見解を示し、11月会合で行動する可能性にも言及していた。

 資産購入ペース縮小のタイムラインについては、タカ派なFOMCメンバーが主張していた22年第1四半期までの終了よりは緩やかではある。半面、10カ月かけた縮小との見方も多かったことから、11月開始として、来年の半ばの終了であれば、それよりはペースは若干早い。ちょうど真ん中を取ったという印象だった。

 また、市場は利上げ開始時期に注目しているが、今回発表されたFOMCメンバーの金利見通しでは、2022年の利上げ開始を18人のうち半分の9人が見込んでいた。前回は7人だった。前回から若干増えることは予想されていたものの、改めて2022年の利上げ開始も選択肢に入れてきたとみてよいであろう。もっとも、中国経済に不透明感が増すようであれば、上記のシナリオが一変することは留意しておく必要はありそうだ。

 さて、下記の確率を見ると、ドル円は110円台半ばまで上昇したことで、上値期待を高めている。108円と112円に着目すると、10月末までに108円に到達する確率は前週の32.3%から13.9%に低下した一方、112円は28.1%から49.1%に上昇。週後半に一気に上昇した。11月末に至っては、112円の到達確率を62.2%まで高めている。

 FOMCを経て「膠着から上値期待を高めつつある」といった印象だ。

◆来週以降10月29日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
114円: 7.9%( 3.7%)
113円:22.2%(11.3%)
112円:49.1%(28.1%)
110.74円(週末終値)
108円:13.9%(32.3%)
107円: 4.2%(13.0%)

◆来週以降11月30日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
114円:21.0%(12.2%)
113円:38.1%(24.0%)
112円:62.2%(42.4%)
110.74円(週末終値)
108円:29.8%(47.2%)
107円:15.2%(27.0%)

※ドル円のオプション取引から算出

【各通貨ペアのトレンド】
()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 中立継続
短期 ↓(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 中立継続
短期 ↓↓(↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑↑(↓↓)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立継続
短期 ↓↓(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 中立継続
短期 ↓↓(→)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

配信元: みんかぶ(FX/為替)

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