■今後の見通し
3. 中期経営計画
システムインテグレータ<3826>は今回、新中期経営計画「SDGs Mind 2021」を発表した。計画名にSDGsを取り入れた理由は、同社の2つの理念とSDGsの考え方が合致するためだ。1つは、コーポレート・スローガンとして「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」ことを掲げている点にあり、もう1つは、同社が存在する意味(社員と共有)として、「存続することではなく、社会に価値を提供し続けること」を揚げている点にある。
業績目標値としては、2024年2月期に売上高で6,200百万円、経常利益で966百万円を掲げた。2023年2月期に過去最高業績を更新する見通しで、経常利益率も2024年2月期に15.6%と過去最高水準となる。また、3年間の年平均成長率は売上高で13.3%、経常利益で31.6%(受注損失引当金の影響を除けば13.8%)で、年率2ケタ成長を目指していく。主力事業では、市場環境が引き続き良好なE-Commerce事業やERP事業で年率2ケタ成長を見込み、Object Browser事業の売上高については堅調推移を見込む。なお、2024年2月期に経常利益率が15%台に上昇するのは、「OBPM」のクラウドサービス化に伴う収益のマイナス影響が一巡して、プラスに寄与し始めることが大きい。年率2ケタ成長を継続していくためには、人材リソースの拡充が必要となるが、同社では新卒採用の強化や海外開発拠点の開設等によって補強していく方針となっている。
経営数値目標を達成していくための重点施策として、同社は以下の5点に取り組んでいくことにしている。
(1) 既存事業
既存事業においては、ブランド力の向上による顧客数の拡大や、新サービスの事業化に取り組むことにより、売上高で年率2ケタ成長を目指す。また、クラウドサービスの拡大により、売上高に占めるストック収入比率を高め、安定的な収益基盤を構築していく。2021年2月期における全社でのストック収入比率は26.8%と前期の23.8%から上昇したが、今後投入する新規製品はクラウドサービスで提供していくことから、ストック収入比率はさらに上昇していくものと予想される。
(2) 海外展開
2022年の春にはベトナムに開発子会社を設置し、海外のリソースを拡充することで売上高の拡大を目指す。現在、本社勤務している4名のベトナム人をベトナム子会社に送り、10名前後の規模からスタートし、いずれは100名規模まで拡充していくことを視野に入れている。ベトナムではエンジニアの人件費も安いため、コスト競争力の向上にも寄与するものと期待される。ただ、ベトナムには現地企業だけでなく外資系IT企業も多く進出しており、採用が予定通り進むかどうかがカギを握る。一方、海外市場向けに「OBPM Neo」など製品・サービスを展開していくことも目指している。
(3) 新規事業
AI事業の「AISI∀-AD」については、実証実験段階から実用化段階に移行し、導入件数の積み上げを進める。収益化の時期としては2025年2月期以降を見込んでおり、2024年2月期までは投資段階と位置付けている。一方、「TOPSIC」については、サービスメニューの拡充により顧客件数を拡大し、収益化を目指す。そのほか、新サービスについても、既述の2製品を含めて積極的に開発を進めていく計画となっている。
(4) 社員のスキル向上
ここ数年、案件の大規模化、複雑化が進むERP事業やE-Commerce事業では、受注処理能力の拡大や収益性向上を図るために、社員のスキル向上を重要課題と捉えている。引き続き、エンジニアの研修・教育に注力していくほか、プロジェクトマネージャーの育成に取り組んでいく。
(5) アジアTOPの合理化企業
エンジニアの生産性向上に貢献する様々なツールを開発・提供し、また、社内でも活用していくことで、アジアTOPの合理化企業を目指していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 中期経営計画
システムインテグレータ<3826>は今回、新中期経営計画「SDGs Mind 2021」を発表した。計画名にSDGsを取り入れた理由は、同社の2つの理念とSDGsの考え方が合致するためだ。1つは、コーポレート・スローガンとして「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」ことを掲げている点にあり、もう1つは、同社が存在する意味(社員と共有)として、「存続することではなく、社会に価値を提供し続けること」を揚げている点にある。
業績目標値としては、2024年2月期に売上高で6,200百万円、経常利益で966百万円を掲げた。2023年2月期に過去最高業績を更新する見通しで、経常利益率も2024年2月期に15.6%と過去最高水準となる。また、3年間の年平均成長率は売上高で13.3%、経常利益で31.6%(受注損失引当金の影響を除けば13.8%)で、年率2ケタ成長を目指していく。主力事業では、市場環境が引き続き良好なE-Commerce事業やERP事業で年率2ケタ成長を見込み、Object Browser事業の売上高については堅調推移を見込む。なお、2024年2月期に経常利益率が15%台に上昇するのは、「OBPM」のクラウドサービス化に伴う収益のマイナス影響が一巡して、プラスに寄与し始めることが大きい。年率2ケタ成長を継続していくためには、人材リソースの拡充が必要となるが、同社では新卒採用の強化や海外開発拠点の開設等によって補強していく方針となっている。
経営数値目標を達成していくための重点施策として、同社は以下の5点に取り組んでいくことにしている。
(1) 既存事業
既存事業においては、ブランド力の向上による顧客数の拡大や、新サービスの事業化に取り組むことにより、売上高で年率2ケタ成長を目指す。また、クラウドサービスの拡大により、売上高に占めるストック収入比率を高め、安定的な収益基盤を構築していく。2021年2月期における全社でのストック収入比率は26.8%と前期の23.8%から上昇したが、今後投入する新規製品はクラウドサービスで提供していくことから、ストック収入比率はさらに上昇していくものと予想される。
(2) 海外展開
2022年の春にはベトナムに開発子会社を設置し、海外のリソースを拡充することで売上高の拡大を目指す。現在、本社勤務している4名のベトナム人をベトナム子会社に送り、10名前後の規模からスタートし、いずれは100名規模まで拡充していくことを視野に入れている。ベトナムではエンジニアの人件費も安いため、コスト競争力の向上にも寄与するものと期待される。ただ、ベトナムには現地企業だけでなく外資系IT企業も多く進出しており、採用が予定通り進むかどうかがカギを握る。一方、海外市場向けに「OBPM Neo」など製品・サービスを展開していくことも目指している。
(3) 新規事業
AI事業の「AISI∀-AD」については、実証実験段階から実用化段階に移行し、導入件数の積み上げを進める。収益化の時期としては2025年2月期以降を見込んでおり、2024年2月期までは投資段階と位置付けている。一方、「TOPSIC」については、サービスメニューの拡充により顧客件数を拡大し、収益化を目指す。そのほか、新サービスについても、既述の2製品を含めて積極的に開発を進めていく計画となっている。
(4) 社員のスキル向上
ここ数年、案件の大規模化、複雑化が進むERP事業やE-Commerce事業では、受注処理能力の拡大や収益性向上を図るために、社員のスキル向上を重要課題と捉えている。引き続き、エンジニアの研修・教育に注力していくほか、プロジェクトマネージャーの育成に取り組んでいく。
(5) アジアTOPの合理化企業
エンジニアの生産性向上に貢献する様々なツールを開発・提供し、また、社内でも活用していくことで、アジアTOPの合理化企業を目指していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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