■中期経営計画
4. 中期経営計画に沿った直近の動き
(1) メディカル物流サービスの新拠点とサービスの拡大
安田倉庫<9324>はメディカル物流のキャパシティ向上を進めている。2020年6月には、東京都江東区東雲にメディカル物流サービスの新拠点として、敷地面積3,236坪、地上4階建て、延床面積約6,682坪の「東雲営業所(東京メディカルロジスティクスセンター)」を開設した。りんかい線東雲駅から徒歩5分で、首都高速道路湾岸線有明ICの至近にあり、東京港や羽田空港へのアクセスに優れる好立地に加え、メディカル物流サービスに定評のある同社の高付加価値サービスを受けられることから、非常に強い引き合いがあるようだ。さらに同年12月末には、同拠点からほど近い東京都江東区辰巳に、敷地面積約1,600坪、地上7階建て、延床面積約5,400坪の「東雲営業所 辰巳倉庫(東京メディカルロジスティクスセンターII)」を開設する予定である。これらの2施設を一体的に運営することで、メディカル物流サービスの成長に弾みがかかることが期待される。
また、同社はメディカル物流サービスの拡充も進めている。具体的には、物流事業者として初めて医療機器修理業許可(修理区分:特管第一区分から特管第八区分まで)を取得し、OKIクロステック(株)と業務提携して医療機器の修理業務に参入する。医療機器キッティング業務や医療施設などから回収した製品を修理する機能が加わることで、倉庫・物流機能に加えて医療機器の検査・点検・検品・薬事ラベル添付業務、洗浄・廃棄、修理、コールセンター業務、オンライン遠隔監視サービス、AI予兆診断による故障予測適時保守など、高度なサービスをトータルに提供できるようになる。このほかにも、九州営業所で医薬品製造業を取得、輸入医薬品原料など出荷判定前の貨物の保管サービスを開始する予定で、サービスの高度化に合わせてGMP省令に適合した組織体制の構築や薬剤師の採用を実施している。このように、中期経営計画の達成に向け、メディカル物流サービスの高度化を推進している。
(2) 中長期成長に向けて積極的なM&Aを実施
倉庫・輸配送ネットワークを全国へ拡大する戦略に従い、2019年11月には大西運輸を、2020年1月にはオオニシ機工を完全子会社化した。ともに石川県金沢市を拠点に北陸3県をカバーしており、堅実な収益を誇る。大西運輸は小型から大型まで300台超の車両を取り揃え、関東や関西、中京地区につながるネットワークを持つ一般貨物自動車運送事業者である。また、オオニシ機工はクレーン作業や建材輸配送を得意とする一般建設業者である。これらのM&Aは、自社所有車両台数の大幅増加による輸送能力の増強、医療機器メーカーの多い北陸の拠点化によるメディカル物流サービスの拡大、北陸路線ができることによる積載効率の向上、オオニシ機工のクレーン車を利用した大型機器の設置、といったシナジー効果が期待できると考えられる。実際、2021年3月期第2四半期の同社業績に一定の貢献を果たしている。なお、このようなシナジー効果が期待できるM&A案件の更なる推進と業務の迅速化のため、2020年8月には、国内外におけるM&Aの企画・立案・実行を担う部署として「戦略企画部」を新設している。
(3) 本社移転と社債発行
同社は、2020年12月に本社を移転する計画である。移転先はJR田町駅至近オフィスビルのため、社員のみならず取引先にとっても利便性が格段に向上する。また、関係会社3社も含め本社機能がワンフロアに集約されることから、グループ経営の効率性が大きく改善することが期待される。
また、長期発行体格付け(日本格付研究所)がBBB+からA−、格付の見通しがポジティブから安定的へと向上した。このため、成長投資の資金的な担保として、2020年9月に第1回無担保社債(社債間限定同順位特約付:社債総額100億円)を発行した。これらはいずれも、収益面及び資金面において、中期経営計画達成に向けての基盤作りの一環と言うことができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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4. 中期経営計画に沿った直近の動き
(1) メディカル物流サービスの新拠点とサービスの拡大
安田倉庫<9324>はメディカル物流のキャパシティ向上を進めている。2020年6月には、東京都江東区東雲にメディカル物流サービスの新拠点として、敷地面積3,236坪、地上4階建て、延床面積約6,682坪の「東雲営業所(東京メディカルロジスティクスセンター)」を開設した。りんかい線東雲駅から徒歩5分で、首都高速道路湾岸線有明ICの至近にあり、東京港や羽田空港へのアクセスに優れる好立地に加え、メディカル物流サービスに定評のある同社の高付加価値サービスを受けられることから、非常に強い引き合いがあるようだ。さらに同年12月末には、同拠点からほど近い東京都江東区辰巳に、敷地面積約1,600坪、地上7階建て、延床面積約5,400坪の「東雲営業所 辰巳倉庫(東京メディカルロジスティクスセンターII)」を開設する予定である。これらの2施設を一体的に運営することで、メディカル物流サービスの成長に弾みがかかることが期待される。
また、同社はメディカル物流サービスの拡充も進めている。具体的には、物流事業者として初めて医療機器修理業許可(修理区分:特管第一区分から特管第八区分まで)を取得し、OKIクロステック(株)と業務提携して医療機器の修理業務に参入する。医療機器キッティング業務や医療施設などから回収した製品を修理する機能が加わることで、倉庫・物流機能に加えて医療機器の検査・点検・検品・薬事ラベル添付業務、洗浄・廃棄、修理、コールセンター業務、オンライン遠隔監視サービス、AI予兆診断による故障予測適時保守など、高度なサービスをトータルに提供できるようになる。このほかにも、九州営業所で医薬品製造業を取得、輸入医薬品原料など出荷判定前の貨物の保管サービスを開始する予定で、サービスの高度化に合わせてGMP省令に適合した組織体制の構築や薬剤師の採用を実施している。このように、中期経営計画の達成に向け、メディカル物流サービスの高度化を推進している。
(2) 中長期成長に向けて積極的なM&Aを実施
倉庫・輸配送ネットワークを全国へ拡大する戦略に従い、2019年11月には大西運輸を、2020年1月にはオオニシ機工を完全子会社化した。ともに石川県金沢市を拠点に北陸3県をカバーしており、堅実な収益を誇る。大西運輸は小型から大型まで300台超の車両を取り揃え、関東や関西、中京地区につながるネットワークを持つ一般貨物自動車運送事業者である。また、オオニシ機工はクレーン作業や建材輸配送を得意とする一般建設業者である。これらのM&Aは、自社所有車両台数の大幅増加による輸送能力の増強、医療機器メーカーの多い北陸の拠点化によるメディカル物流サービスの拡大、北陸路線ができることによる積載効率の向上、オオニシ機工のクレーン車を利用した大型機器の設置、といったシナジー効果が期待できると考えられる。実際、2021年3月期第2四半期の同社業績に一定の貢献を果たしている。なお、このようなシナジー効果が期待できるM&A案件の更なる推進と業務の迅速化のため、2020年8月には、国内外におけるM&Aの企画・立案・実行を担う部署として「戦略企画部」を新設している。
(3) 本社移転と社債発行
同社は、2020年12月に本社を移転する計画である。移転先はJR田町駅至近オフィスビルのため、社員のみならず取引先にとっても利便性が格段に向上する。また、関係会社3社も含め本社機能がワンフロアに集約されることから、グループ経営の効率性が大きく改善することが期待される。
また、長期発行体格付け(日本格付研究所)がBBB+からA−、格付の見通しがポジティブから安定的へと向上した。このため、成長投資の資金的な担保として、2020年9月に第1回無担保社債(社債間限定同順位特約付:社債総額100億円)を発行した。これらはいずれも、収益面及び資金面において、中期経営計画達成に向けての基盤作りの一環と言うことができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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