[資源・新興国通貨7/13~17の展望] 豪ドル:メルボルンが6週間のロックダウン

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最新投稿日時:2020/07/10 14:27 - 「[資源・新興国通貨7/13~17の展望] 豪ドル:メルボルンが6週間のロックダウン」(八代和也)

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[資源・新興国通貨7/13~17の展望] 豪ドル:メルボルンが6週間のロックダウン

著者:八代和也
投稿:2020/07/10 14:27

豪ドル

7日、RBA(豪中銀)は金融政策の現状維持を決定。政策金利(0.25%)と3年物豪国債の利回り目標(0.25%前後)のいずれも据え置きました。

声明では、「景気回復の内容やスピードについては依然として不透明感が強い」と指摘する一方、「景気の低迷は以前の予想ほど深刻ではなくなっている」と指摘。また、「国内の総労働時間の減少幅は以前の予想よりも小さい」との見方を示し、「国内のほとんどの地域での(コロナの)感染減少や(行動)制限の緩和を受けて個人消費にも持ち直しの動きがみられた」としました。豪経済について前向きな見方が示されたことは、豪ドルにとってプラス材料と考えられます。

一方で、メルボルン(豪第2の都市)でコロナの感染者がこのところ増加しています。それを受けて、ビクトリア州(州都メルボルン)とニューサウスウエールズ州(州都シドニー)との州境は7日深夜に閉鎖され、さらに8日深夜からメルボルン都市圏全域でロックダウン(都市封鎖)が実施されています(期間は6週間)。豪GDP(国内総生産)の約4分の1を占めるビクトリア州でのロックダウン実施は豪経済に大きな影響を与える可能性があります。豪州のコロナの感染状況によっては同国景気の先行きをめぐる懸念が市場で高まることも考えられ、その場合には豪ドルは上値が重くなるとみられます。

NZドル

RBNZ(NZ中銀)は6月24日の会合で“政策金利(0.25%)”と“LSAP(大規模資産購入)プログラムの規模(600億NZドル)”を据え置きつつも、必要に応じて追加の金融緩和措置を講じるとの姿勢を示しました。

市場では今後、RBNZはLSAPプログラムを拡大するとの観測があり、さらにはいずれマイナス金利を導入するとの見方もあります。16日発表のNZの4-6月期CPI(消費者物価指数)がRBNZの見通しを下振れた場合、追加緩和観測が一段と高まり、NZドルは上値が重くなる可能性があります。RBNZは5月の金融政策報告で4-6月期のCPI上昇率について前期比マイナス0.7%、前年比1.3%との見通しを示しました。

NZドルは投資家のリスク意識の変化を反映しやすいという特徴があります(リスクオフはNZドルにとってマイナス材料)。主要国の株価動向や米国でのコロナの感染拡大の状況、米中関係などにも目を向ける必要がありそうです。

カナダドル

カナダは産油国のため、カナダドルは原油価格(米WTI原油先物など)の動向に影響を受けやすいという特徴があります。15日、“OPECプラス(OPEC加盟国と非加盟主要産油国で構成)”の合同閣僚監視委員会が開かれます。そこで下される決定が原油価格、さらにはカナダドルに影響を与える可能性があります。

OPECプラスによる協調減産は8月から現行の日量960万バレルから770万バレルへと規模が縮小される予定。合同閣僚監視委員会は“現行水準の減産延長を決定するか”が焦点になりそうです。減産延長が決定されれば原油価格は上昇する可能性があり、その場合にはカナダドルは堅調に推移しそうです。

トルコリラ

3日、トルコの6月CPI(消費者物価指数)が発表されました。結果は前年比12.62%と、5月の11.39%から上昇率が加速し、2019年8月以来の高い伸びを記録。トルコの実質金利(政策金利から前年比のCPI上昇率を引いたもの)は、マイナス3.14%からマイナス4.37%へと拡大しました。

マイナスの実質金利はトルコリラにとって重石となってきました。マイナス幅が拡大したことで、リラの上値は一段と重くなりそうです。

リビア情勢にも注意が必要です。リビア内戦ではシラージュ暫定政権とLNA(リビア国民軍)の戦闘が激化しており、暫定政権は5月に中部の港湾都市シルトの奪還作戦を開始しました。リビア内戦は外国勢力の代理戦争の様相を帯びており、トルコは暫定政権を支援する一方、ロシアやエジプト、UAEなどはLNAを支援。エジプトはシルトをレッドライン(超えてはならない一線)としており、軍事介入の可能性を示唆しています。トルコが関与しているリビア内戦の緊迫化はリラにとってマイナス材料と考えられます。

南アフリカランド

南アフリカの鉱業生産と金生産が14日、CPI(消費者物価指数)が15日に発表されます(いずれも5月分)。市場は南アフリカ景気を懸念しているため、とりわけ鉱業生産と金生産の結果に注目です。南アフリカでは6月1日に全国的なロックダウン(都市封鎖)が緩和されましたが、今回の統計ではそのことはほとんど反映されないと考えられます。鉱業生産や金生産は4月(それぞれ前年比マイナス47.3%、マイナス59.6%)に続いて大きく落ち込むとみられ、その場合にはランドの売り材料となるかもしれません。

また、南アフリカランドは他の新興国通貨と同様に、投資家のリスク意識の変化の影響を受けやすいという特徴があります(リスクオフはランドにとってマイナス材料)。主要国の株価動向やコロナの感染状況には注意が必要です。

メキシコペソ

BOM(メキシコ中銀)は6月25日の会合で0.50%の利下げを決定。政策金利を5.50%から5.00%へと引き下げました。

9日、メキシコの6月CPI(消費者物価指数)が発表され、結果は前年比3.33%。上昇率は5月の2.84%から加速し、BOMのインフレ目標の3%を上回りました。

インフレ圧力の高まりは、BOMが利下げする確率の低下を示唆します。ただ、CPI上昇率はBOMの目標を上回ったものの、許容レンジ(2~4%)内には収まっています。また、コロナの影響によってメキシコ景気は大幅に悪化しています。30日発表のメキシコの4-6月期GDP速報値で景気の悪化が改めて浮き彫りになれば、BOMは8月13日の次回会合で追加利下げに踏み切るかもしれません。

来週(7/13- )はメキシコの経済指標の発表がありません。メキシコペソは原油価格の動向や投資家のリスク意識の変化の影響を受けやすい地合いになりそうです。原油価格が上昇する、あるいはリスクオフが後退する場合、ペソは底堅く推移するとみられます。原油価格については、OPECプラスの合同閣僚監視委員会(15日開催)が材料になりそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想

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