日本電技 Research Memo(2):ビル空調などを手掛ける計装(オートメーション)の専業企業

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最新投稿日時:2020/07/09 15:12 - 「日本電技 Research Memo(2):ビル空調などを手掛ける計装(オートメーション)の専業企業」(フィスコ)

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日本電技 Research Memo(2):ビル空調などを手掛ける計装(オートメーション)の専業企業

配信元:フィスコ
投稿:2020/07/09 15:12
■会社概要

1. 会社概要
日本電技<1723>は、オフィスビルを始め、ホテル、病院、工場など大型の非居住用建築物を対象に空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)の分野、及び工場の生産ラインや搬送ラインの自動化といった産業計装(インダストリーオートメーション)の分野において、設計から施工、メンテナンスまでを手掛ける「計装エンジニアリング専業企業」である。特に主力の空調計装は、自動制御機器大手であるアズビルの最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として、豊富な実績とノウハウを誇っている。さらに、業界をリードする高いエンジニアリング技術を持っていることから、「計装エンジニアリング専業企業」としての強みも発揮している。なお、計装エンジニアリングによって建物の快適性や生産の効率性を支えることは、省エネ化を通じて地球環境に貢献していると言うことができるため、同社の事業そのものがESGの観点から評価できると言える。


あらゆる計装に対応できるエンジニアリング企業
2. 沿革
山武計器(株)(現アズビル)が、米国有数の制御機器メーカーであるハネウェルと1952年に資本提携契約を締結、国内で空調制御機器の輸入販売を開始した。しかし、計装機器を据え付ける計装工事会社が世の中にほとんどなかったことから、島田七良氏ほか当時の同社創業メンバーは、空調計装事業の発展を確信して同社を設立、「エレクトリック技術で日本一を目指す」という志を込めて日本電技株式会社と名付けた。このようにして同社は、1959年に空調自動制御の設計から施工、調整、保守までを一貫して行う、日本初の空調計装専業企業としてスタートした。以来、同社はアズビルと協働し、3大都市圏を足場に空調計装の業界をリードするとともに、長年培った空調の技術を空調以外の分野へも展開するなど、あらゆる計装分野に対応できるエンジニアリング企業へと業容を拡大していった。


アズビルと同社を含むアズビル特約店で市場シェアは7割以上
3. 市場環境
ビル空調は、個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、例えば雑居ビルのように1室ずつエアコンを置いて管理する手法で、ダイキン工業<6367>日立製作所<6501>などのメーカーが中心である。セントラル空調は、ビル全体の空調を建物の特定箇所で一元管理(中央監視)する方法で、同社など空調計装企業が中心プレイヤーとなっている。個別空調は比較的小さなビルやホテルなどの小部屋を得意とし、セントラル空調は中~大型のビルやロビーなど大空間を得意とする。空調計装の市場規模は1,660億円と言われ、その7割以上をアズビルと同社を含むアズビル特約店が占めている。このため空調計装は、事実上、アズビル製の機器が業界スタンダードとなっている。また、アズビル特約店の中で、同社は唯一エンジニアリング部門を有する専業企業というポジションにあり、自他ともに認める高い技術力を有している。

空調計装の市場は、ビルや工場などの建設時に売上の立つ新設工事と、その後のメンテナンスやリニューアル工事など年々収益が積み上がる既設工事の2つに大別できる。また、建物の個別の仕様・用途に合わせた空調設備の導入が求められるようになり、案件それぞれにカスタマイズできる技術力も必要になってきた。例えば、病院の空調計装は精度に厳しく、温度管理はもちろん空気清浄と院内感染防止の観点から適切な湿度管理が要求される。特に、手術室には厳しい空調の基準が設けられており、換気差圧を利用して空気の清浄性を高める空調制御などが必要とされる。このほか、研究施設やクリーンルーム、美術館など、空調制御技術が利用されている施設は数多い。ちなみに、収益性は新設工事に比べると既設工事の方が高く、元請となった場合さらに高いようだが、東京オリンピックへ向けて新設工事ラッシュとなったことから、新設工事の採算も改善しているもようである。


エンジニアリング能力と産業計装に特長
4. 強みと特長
計装とは、ビルや工場における空調や生産ラインといった各種の設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって有機的に連携・機能させることである。例えば、ビル空調計装であれば、「最少のエネルギーで快適な環境を実現する」技術と位置付けられ、温度・湿度・圧力などを計測してその情報を監視し、一定の環境を維持するために機器を制御しながら設備全体をコントロールすることによって快適性や省エネ化を実現する。計装技術は近年、省エネ化に必須の技術として注目され、最新のIT技術を用いた計測・監視システムが開発されたり、「地域冷暖房」のコア技術として利用されたりするなど進化を続けている。

一方、エンジニアリングとは、部分最適に陥りがちな設備・機械装置を、ユーザーにとって全体最適化する技術力を指す。こうした「計装」と「エンジニアリング」の機能を併せ持つ企業は少なく、「計装エンジニアリング」という技術力自体が同社の強みとなっている。また、ビルの計装は、前述したように主要プレイヤーがある程度ポジションを固めているが、工場の計装は、生産ラインの自動制御機器を工場に納入するメーカーがそのまま対応することが多く、全体最適という点ではやや難がある。こうした課題を解消する技術力を有する同社は現在、食品工場を中心に特定の分野で積極的に事業を拡張しているところである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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配信元: フィスコ

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